風物語 (講談社文庫 あ 4-12)

著者 :
  • 講談社
3.31
  • (2)
  • (5)
  • (18)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 84
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061841482

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 阿刀田 高の【風物語】を読んだ。

    12の短編を収めた短編集。

    阿刀田 高はどうしてこんな綺麗な文章が書けるのだろう?言葉の選び方、ストーリーの展開、技法、す

    べてに洗練された大人のセンスの良さが際立つ。

    短編の名手である。

    けして心に竜巻を起こすような物語ではない。そよ風のような心地よさがスッと心の一部分をかすめ、揺

    らす物語だ。それがとても心地よすぎるので阿刀田作品を度々読みたくなるのだろう。

    阿刀田 高の描く作品に登場する人物は大人である。それはつまり、人生の深みを知っているということ

    だ。好いた惚れたの甘い恋愛だけではなく、幾多の山を越えてきた大人だからこそ感じる男女の哀愁があ

    る。30歳を越えて阿刀田作品に触れると「そうだよな」「わかる、わかる、その気持ち」と頷く自分が

    いるのだ。

    本書でも、そんな場面が次々と描かれる。切ない恋心だったり、淡い想い出だったり・・・。

    カバー裏に「時は風、風は人生―さまざまな人生の哀歓を巧みに描き出す大人の寓話集」とあるが、まさ

    にその通りだ。

    疲れた心にそっとなびく、そよ風を・・・そんな時、手に取りたい1冊である。

  • 短編集。全12話。

    今回もよかったぁ。じわっとくるんよね。よさが。そんでどん×2広がってく。まるで潮が満ちてくように。

    お気に入りは、『三十年』、『危険な絵本』、『住みよい町』かな。

    どれも、違ったスパイスがピリッと効いてて最高でした♪

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

阿刀田高の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×