この悲しみの世に (講談社文庫 そ 1-16)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061845886

感想・レビュー・書評

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  • 20年位前に初めて読んでから、ずっと同じ熱をもって
    心の中にあった作品。
    事あるごとに、色々な方にこの本を薦めてきたように思う。

    しかし今回読み直してみて、20年前のような衝撃はなかった。
    自分の中に蓄積されてきた経験と、小説の中の経験がある
    程度イーブンになってしまった故だろうと思う。
    だからこそ、主人公の女性に対して今となってはとても苛立つ。
    分かるからこそ。

    「恋愛」という不可思議でクレイジーで不条理な罪と喜びの
    極みにあって問う、「愛」の真理という深遠なテーマには、
    改めて深く引き込まれ、心に大きな手ごたえを受けた。

    「この悲しみの世」
    という言葉が、当時の私には重く切なく響いた。
    今の私には逆に慰めと響く。

    人間の哀しさ、愚かさに正面から切り込んでいる深い一作。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。聖心女子大学卒。93年恩賜賞・日本芸術院賞受賞。2003年文化功労者に。2012年菊池寛賞受賞。著書に『人生の収穫』『「群れない」生き方』『人間の道理』『老いの道楽』等多数。

「2022年 『未完の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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