ガラスの遊園地 (講談社文庫 か 48-4)

著者 :
  • 講談社
3.25
  • (0)
  • (2)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 50
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061849198

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • テレビ創成期の話し。景山民夫はスピリチュアルに傾倒していく。

  • 泣いた。
    これ読むと、青島幸男と国会でコントの打ち合わせするなどといった、言わば最近の景山の各種コラムネタ体験が、上手に昭和40年代のフィクションとして導入されているのが解る。おそらく劇中のさまざまなエピソード、例えば当時、人気の絶頂を誇っていたバンド、クレイジーキャッツ(作中ではスパンク・ボーイズ)のパーティなど、単なるリサーチだけではなく、景山自らが体験した事実などを新旧交えながら、昭和40年代に置き換えて書き進められている箇所は多数あるのであろう。
    物語は昭和43年から昭和49年(僕の生まれた年だ)の6年間を2年ごとに扱う。ほとんどヤクザのような切った張ったの世界で、言語道断の出鱈目な男たちが、かつてこの国にいた本当のスター俳優やエンターテイナーたちをきらびやかな舞台の上に飾り、それを電波に乗せてテレビという魔法の箱に送り込むこれはファンタジー。
    同時に、テレビ局が会社として徐々に官僚化し、番組制作の熱が薄まり冷めていく様を、「エンゼル・サンデー」(明らかに現実の名作バラエティ番組、「シャボン玉ホリデー」をモデルとした作中番組)の黄金期から最終回、浅間山荘事件中継、オイルショック、ジャイアンツ長島の引退などを交えながらも、あくまで当時の世相ネタに寄りかかりすぎることなく、それ以上に熱い当時のテレビ局内のドタバタや人間関係にスポットを当て、しかも恋愛要素を限りなく排除したドラマとして書き上げるさまが素晴らしいし、そのストイックさはとても胸を打つものだ。

    講談社ハードカバー、講談社文庫、集英社文庫版とありますが、景山の文庫版あとがきと大橋巨泉さんの解説が収録された、講談社文庫版がおすすめかと。すでに絶版ですが、ブックオフに100円で売ってます。
    なるほど、小説ってこうやって書くのかー。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1948年3月20日生まれ。
主な著書
『さよならブラックバード』(1999、 文庫、角川書店 )
『どんな人生にも雨の日はある』(1999、ブロンズ新社)
『ハッピーエンドじゃなけりゃ意味がない』(1999、ブロンズ新社)
『KIKOの冒険』(1999、ブロンズ新社)
『野鼠戦線』(1999、文庫、徳間書店)
『』
『オンリー・イエスタデイ』(1998、文庫、角川書店)
『途中で、ごめん。』(1998、マガジンハウス)
『エル・ドラードの鷲』(1998、中央公論)
『 仰天旅行』(実業之日本社)
『九月の雨—トラブル・バスター4 』(1998、文庫、徳間書店)
『さよならブラックバード』(1998、角川書店)
『パンドラの選択』(1998、文庫、中央公論社)
『リバイアサン1999』(1997、 文庫、角川書店 )
『ハイランド幻想』(1997、文庫、中央公論社)
『ホワイトハウス』(1997、文庫、角川書店)
『時のエリュシオン』(1997、幸福の科学出版)
『 宗教に入るひとの心が分かりますか?—新新宗教と精神療法』(共著、1996、弓立社)
『スターティング・オーバー』(1996、文庫、中央公論社)
『トラブル・バスター〈3〉国境の南』(1996、文庫、徳間書店)
『すべては愛に始まる』(1996、角川書店)
『野鼠戦線』(1996、徳間書店)
『トラブル・バスター』(共著、1996、同文書院)
『東へ三度、西へ二度』(1996、マガジンハウス)
『トラブル・バスター』(1995、文庫、徳間書店)
『俺とボビー・マギー』(1995、文庫、徳間書店)
『サラマンダー』(1995、ベネッセコーポレーション)
『この人に逢いたかった!〈上〉』(1995、文庫、中央公論社)
『この人に逢いたかった!〈下〉』(1995、文庫、中央公論社)
『だから何なんだ』(1995、文庫、朝日新聞社)
『パンドラの選択』(1995、中央公論社)
『九月の雨』(1995、徳間書店)
『ハイランド幻想』(1994、中央公論社)
『チュウチュウ・トレイン』(1994、角川書店)
『普通の生活』(1994,文庫、朝日新聞社)
『ボルネオホテル』(1993、文庫、角川書店)
『スターティング・オーバー—僕の1991年』(1992、ブロンズ新社)
『 遠い海から来たCOO』(1992、 文庫、O角川書店)

「1993年 『僕の憲法草案』 で使われていた紹介文から引用しています。」

景山民夫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×