0の殺人 (講談社文庫 あ 54-2)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1164
感想 : 108
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061852273

作品紹介・あらすじ

物語の冒頭に置かれたに、驚くべきことに、奇妙極まりない殺人劇の容疑者たち四人のリストが公開されている。この大胆かつ破天荒な作者の挑戦に、果してあなたは犯人を突きとめられるか?ご存知、速水警部補と推理マニアの弟と妹が活躍する、異色の傑作長編推理。

感想・レビュー・書評

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  • 速水三兄弟シリーズの2作目。
    警部補である恭三が、一般人である弟の慎二と妹のいちおの推理に頼って真相を究明するという話。

    恭三があまりにも人間臭くて、ミステリーでなくユーモア小説を読んでいる感じ。でも、ミステリーとしての骨格は非常にしっかりしている。

    ゆる〜いミステリーを読んでもいいな、と思われる方はどうぞ。

    20年ちかく前に読んだ作品で、作者から予め、「犯人はこの4人の中から」と限定されている。劇のようで、安心感と楽しさがある。

    2021年最後に読んだ本。2021年、いちばんよく聴いたkirinjiの「再会」をかけながら本作を読み、新年を迎えたいと思う。

    フォロワーのみなさん、今年一年、本棚&感想で楽しませていただきました。ありがとうございました。2022年もよろしくお願いいたします。

    まーちゃんさん
    岡嶋二人さん、「そして扉が閉ざされた」とても良かったです。来年もよろしくお願いします。
    akodamさん
    いろいろな本棚&感想を参考にできました。まだ手にしてない高評価本を読む日を楽しみにしています。来年も引き続きよろしくお願いします。
    えびっちゅさん
    「ハケンアニメ」と「ななつのこ」特に良かったです。来年も引き続きよろしくお願いします。
    goya626さん
    本棚に専門書のような本がときおり並んでいるのが魅力です。来年も追いかけますのでよろしくお願いします。
    ダイちゃんさん
    感想が詳しく分かりやすいです。今後、本棚から数冊ピックアップしていこうと思います。引き続きよろしくお願いします。

    以上です。

  • 読者への挑戦状が載っている作品を読みたいと思って購入した、この0の殺人。
    ノートにメモを取りながら読了しました。

    藤田カツ、串田浩子、串田辰夫、三浦源治。
    この4人の中に犯人はいる。
    騙された、というか、そんな偶然起こるかーい!ってツッコミたくなりました。

    0の殺人。
    タイトル回収ですね。

    速水三兄弟の他の作品も読みたい!

  • やっと速水3兄弟シリーズを読み終わった。
    アリバイ関連については予想できるものの全部を当てるのは難しそう。99人が100人に1人になるんじゃないかな。
    やっぱり、いちおがどうもハマらないんだよなぁ。シリーズ通してずっと、いちお、いらなくない?って思ってた。
    そして、お楽しみの木下君。あれ?今回は注意に注意を重ねて無事に怪我もせず、むしろラッキーな方?…な訳がなかった。官邸爆破犯、GJ!

  • 「三人の人間が、一人の人間を殺そうと色々と計画を練った挙げ句に全部失敗して、その当人は自然死しちゃったわけよ?つまりこの一連の事件の中には、殺人なんて一つもなかったってことになるのよ」。今作は王道的だった前作とは違い、構成も結末も変化球。なんとか読者を驚かせようという気概を感じた。各々の事件がひとつの真相のもとに繋がっていく様は気持ちがいい。速水兄妹&木下のコミカルな雰囲気も健在だけど、一番好きな場面は、串田辰夫のアパートの管理人トヨばあさんとのやりとり。これより面白く老婆を形容する作家はいるのだろうか。

  • シリーズ2作目はいきなり作者からの注意事項が述べられている。それは「容疑者は4人で、さらにその容疑者は減っていく、したがって多くの方はこの事件の真相を見破れるだろうけど、百人に一人は見破れないかもしれない」といった趣旨の文章だ。
    もちろん、一ミステリ読者としては見破れらいでか!とばかりに勢い込んで読むながら推理するがいやあ、ものの見事に百人の一人になってしまった。
    コメディタッチの軽い文体はクイクイ読み進めてしまうので、推理が組立てられないまま、終わりに向かってしまう。でも本書においては真相を見抜けなかったことが全然悔しくなく、むしろ爽快感が得られる。これほど綺麗に騙されると非常にすがすがしい。読後、誰かに勧めたくなる作品だ。本当はもう一つ付け加えたい賛辞があるが、それをいうと頭のいい人は察してしまうので止めておこう。

    しかし思えばこの頃から異色の存在ではあったんだろう、その後の彼のミステリ作家としての道のりはいわゆる新本格作家たちとは違う方向に進む。前述したゲーム『かまいたちの夜』の原作者という他ジャンルへの係わり合い、もう無くなったが電子書籍サイトE-Novelの立上げなど、様々なことにチャレンジしている。他のミステリ作家が本格ミステリの本道を極めんと内側に意識が向かっているのに対し、彼はミステリで何か他に面白いことが出来ないかと本という媒体を越えて興味が外側に向かっているのが特徴的だ。

    さて『殺戮に至る病』が未読の私は本作が我孫子氏のベスト。したがって私は躊躇なく5ツ星を献上する。ちょっと最近5ツ星が連発しているが、これはまだミステリ初心者であった私が読んだ作品群であり、その初読の印象に基づいて採点していることによる。つまり島田氏から端を発する綾辻氏、法月氏、我孫子氏、歌野氏の一連の新本格作家達の諸作品が私にとってミステリの黄金体験なのだ。
    5ツ星の割には少ない感想だが、これは未読の方はぜひ読んで欲しい。軽~く読んで、スパッと騙されて下さい。

  • 最後までスラスラと読み進めていくことが出来る。
    作品の評価の高さとラストが!という声にどうなるのだとドキドキしながら読むと、確かにその発想は面白いと頷けるもの。個人的に殺戮にいたる病のようなラストを期待してたので少し肩透かしをくらった部分もあるにはありましたが。
    タイトルには別の意味も込められていそうだなぁと色々と考えるものがありました。

    前作の8の殺人のように講義なるものがなかったのも好印象でした。

  •  あらすじ

     大富豪である藤田カツ(76)には身寄りが少なく、残された親族は甥と姪、そしてカツの弟しかいなかった。カツは莫大な財産を築いており、その遺産の行方が注目されていた。そんな折、カツの喜寿を祝う席で姪が毒殺される。

     
     作者は我孫子武丸。前作「8の殺人」から続く速水3兄弟のシリーズ第2弾です。

     あらすじを読んだ人は、なんだ遺産相続絡みのよくある話かと思いきや、そうは問屋がおろしません。

     
     この話の最大の特徴は、1ぺージ目に挿入された「作者からの注意」にあります。
     
     それによると主要登場人物は藤田カツとその甥と姪、そしてカツの弟、また速水警部補とその弟・妹そして部下の木下の計8名です。速水警部補と弟・妹、そして木下は「殺人者」ではなく、またこの4人は故意嘘をつかないとはっきり明言されています。
     ということは、容疑者はたったの4人しかおらず、なおかつ物語が進むにつれて、その容疑者も死んでいくので推理の範囲はどんどん狭まっていき、容易に解答可能でしょう。

     …などといったようなことが書かれています。

     あげく、最後の1文には、「こんなに簡単だけれど100人に1人ぐらいは間違えてしまうんじゃないでしょうか、その一人があなた(読者)であることを願っています」といったようなことまで書かれています。

     
     たぶん「作者からの注意」というより「作者からの挑戦状」なんでしょう。

     
     僕はあまり深く考えず読み進めましたが、真相はなるほど僕も100人のうちの1人になってしまいました。

     話の流れは演劇を意識しているのか各章のタイトルは「1幕」「2幕」などとなっています。ラストの「カーテンコール」はすばらしい演出だと思います。



     ぜひお勧めなんですが、残念なことにこれ…もう絶版なんですよね…。8の殺人みたいに新装版でないかな。

    (漢字帳)

  • 09.10.17.Sat 読了。

    我孫子武丸さんは、中高学生のころに「かまいたちの夜」というノベルゲームの1と2をプレイしたこともあり、自分としては馴染みの深い作家さんというイメージです。でも本を読むのはこれが初めてだったりする。
    そしてミステリ&ホラーに免疫がなかった時代(今も恐怖物はそんなに得意じゃない)だったので、三日ほど一人で眠れなくなった事は記憶に新しいです。

    まあ、それはそれとして。
    この0の殺人、普通に面白かったです。
    かなりかっちりとした推理物なのですが、主人公3人、速水兄弟がとても個性豊かで魅力的。
    殺人も起こるんですが基本的に明るいタッチで描かれているので、重苦しい雰囲気はないです。
    若干ブラックジョーク的な?いやそれも少し違う気がするなあ。

    「かまいたちの夜」で我孫子さんのギャグセンスは知っていましたが、つい、くすっと笑ってしまうような計算されたセンスは素晴らしいです。

    シリーズ物らしく、この「0の殺人」の前に「8の殺人」、これの続編で「メビウスの殺人」などが出ているらしいですが、自分はこの小説から入りましたがあっさり入れたので恐らくどこから読んでも大丈夫。

    あらすじとしては、1989年の2月から4月にかけて起こった事件を、担当刑事だった速水恭三が約半年後の12月になって弟・慎二と、妹・いちおに相談していく、という構成になっています。

    この慎二といちお、かなりのミステリマニアという設定で、ちらちら出てくるミステリの知識などに我孫子さんのミステリに対する愛を感じます。

    こう、交互に事件の経過や犯人の独白、兄弟の推理などが出てくるんですが、最後の推理でだまされたぁー!ってなります。
    自分はなりました。まあ、ミステリ慣れしていないということもあるのでしょうが…。
    タイトルにも実は意味があります。それもまたオモシロイ。

    ミステリが好きな人もそうでない人もさらっと楽しめる一品だと思いますね。

  •  速見三兄妹シリーズ第二作目です。今回は最初に犯人が提示されます。それから色んな事件が起こりますが、最後には「巧くやられた!」と驚嘆の声を上げる事に。前作の『8の殺人』に肩透かしを食った人にも安心してお薦め出来ます。読み終えた時にタイトルの意味を知る事に...

  • 物語冒頭に入る作者からの挑戦。 幕間に入る殺人者の独白。 あなたは4人の容疑者から真実を見抜けるか。

    デビュー作から続きまして速水兄妹シリーズの2作目。 読者への挑戦ものだが一筋縄ではいかない感じがにじみ出ている。 200Pほどの短めの構成、分かりやすい章立て、幕間の遊び心、兄妹ならではの軽い掛け合いで非常に読みやすい作品になっている。 初心者におススメも納得の整った作品である。 

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属する。89年、『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に、『人形はこたつで推理する』にはじまる「人形」シリーズほか、『殺戮にいたる病』『ディプロトドンティア・マクロプス』『弥勒の掌』『眠り姫とバンパイア』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』『狼と兎のゲーム』『裁く眼』『怪盗不思議紳士』『凜の弦音』『修羅の家』などがある。小説の枠を越えマルチに活躍し、ゲームソフト「かまいたちの夜」シリーズの制作でも知られる。

「2022年 『監禁探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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