- Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061852402
作品紹介・あらすじ
謎の人物から死の予告状を届けられた教祖が、その予告通りに地上80メートルにある密室から消えた。そして4時間後には、二重生活を営んでいた教祖のマンションで首なし死体が見つかる。死体は教祖?なぜ首を奪ったか?連続怪事の真相が解けたときの驚愕とは?新鋭の骨格豊かな力作。
感想・レビュー・書評
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法月綸太郎3作目で・・・、いい加減しつこいので止める。名探偵法月綸太郎シリーズ2作目は新興宗教グループで起こる教祖の殺人を扱った事件。本作ではくどいくらいに探偵法月による推理のトライアル&エラーが繰り返される。このスタイルは当時現代英国本格ミステリの雄だったコリン・デクスターの作風を踏襲したものだ。前作がカーで、本作がデクスター、第1作目は似非ハードボイルド風学園ミステリと作品ごとに作風と文体を変えていた法月氏。よく云えば器用な作家、悪く云えば決まった作風を持たない軸の定まらない作家である。
こういうトライアル&エラー物は何度も推理が繰り返されることで、どんどん選択肢が消去され、真相に近づくといった通常の手法に加え、堅牢だと思われた推理が些細なことで覆され、現れてくる新事実に目から鱗がポロポロ取れるようなカタルシスを得られるところに醍醐味がある。しかしそれは二度目の推理が一度目の論理を凌駕し、さらに三度目の推理が二度目の論理を圧倒する、といった具合に尻上がりに精度が高まるにつれて完璧無比な論理へ到達させてくれなければならない。それはあたかも論理の迷宮で彷徨う読者へ天から手を差し伸べて救い上げる行為のように。
しかしこのトライアル&エラー物が諸刃の剣であるのは、それが逆に名探偵の万能性を貶め、読者の侮蔑を買うことにもなるのと、論理が稚拙で魅力がないと単なる繰言に過ぎなくなり、読者に退屈を強いることになるのだ。そして本作は明らかに後者。繰り返される推理がどんどん複雑化して読者の混乱を招き、もはやどんな事件だったのかでさえ、記憶に残らなくなってしまった。実際私も本稿に当たる前に記憶を呼び戻すために色々当たってみたら、こんな話だったのかと思い出した次第。したがってこの感想を読んだ方はお気づきのように、今まで私が述べてきた内容は本書の中身に関する叙述が少なく、読後の印象しか滔々と述べていない。とにかく読み終わった後、徒労感がどっと押し寄せてきたのを覚えている。
しかし今回調べてみて読んだ当時気づかなかったことが1つあった。それは事件の当事者である甲斐家と安倍家という2つの家族の名前だ。双子という設定も考慮するとこれは聖書に出てくる「カインとアベル」がモチーフとなっている。そういったバックストーリーを頭に入れて読むと、案外理解しやすいのかもしれない。
お気づきのようにここまでの法月作品に対する私の評価というのはあまり芳しくない。しかしこの評価は次の『頼子のために』で、がらっと変わることになる。 -
『おまえがしゃべっていることは、何ひとつ裏付けがないぞ。おまえは可能性という名のおもちゃを弄んでいるだけだ。』
密室の塔、首なし、双子、新興宗教、名探偵、素敵なガジェット揃いで良かった。30年前の作品だなんて、もはや古典だな。
『雪密室』『頼子のために』『ふたたび赤い悪夢』『キングを探せ』も早く読みたい!
最近やたら有栖川有栖、島田荘司、法月綸太郎が読みたいのは、原点回帰か。 -
すごい。エラリークイーンの名を飾れる作家は何人かいるが(有栖川さんや青崎さん)、エラリーの何度も躓きながら推理を解体し再構築していく推理過程を再現してる点では法月綸太郎が一番では。そしてパズラーを極めている。
生首に聞いてみろと同様真正面から首なしトリックに挑んでいる(個人的には生首〜がこれまで読んだ首なしトリックの中で傑作だと思う)
本格への愛を感じる作品でした。 -
綸太郎の推理に振り回されてちょっと疲れる。
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久々に本格ミステリーを読みました。
途中登場人物が???となりましたが、最終章は唸りました。これぞ本格ミステリー。これぞエンターテイメント。
やはり今ほどインターネットや携帯電話が普及してない時期のミステリは面白い。 -
法月さんのは面白いのだけど、綸太郎が披露する推理説明が難しくて分かりづらいのが難点(><)
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推理が二転三転…もう最後は訳がわからない…。3人の兄弟の名前も覚えられない…。