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- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061960947
感想・レビュー・書評
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金子光晴の全小説7編を収録。戦後間もない東京の風土を舞台に、身を持ち崩した人間の刹那的感情と、死へと棚引く霧靄の如きロマンチシズムがねっとりと絡む。知っての通り金子の日本語は超絶に美しい。特に表題作においてはこの世のものとは思えぬ妖艶色めく言葉が寸断なく連なり、魔物に魂抜かれたような気怠さが残った。辞書によると「尸解」とは《人がいったん死んだ後に生返り離れた土地で仙人になること/死体を残して霊魂のみが抜け去るものと死体が生返って棺より抜け出るものとがある》とあり、いかにも金子は仙人の風体だと得心した次第。
戦後の国民の、手の平を返した民主主義の流行をユーモア散りばめ揶揄しているのがまた金子らしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
金子氏の日本語を自在に操り、妖艶な世界や幻想的な世界を描き出す手腕にいつも感服する次第です。日本語の持つ美しさや表現の可能性を自覚させられます。「赦免状が三分おくれたために 胴から首が離れた例もある。 ましてや、七日間と言えば なにごとがあっても不思議はない。」このようなフレーズを私も吐いてみたい。