親鸞(一) (吉川英治歴史時代文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061965119

作品紹介・あらすじ

義経が牛若といって鞍馬にあったころ、同じ源氏の血をうけて、十八公麿(後の親鸞)は生れた。平家全盛の世である。落ちぶれ藤家の倅として育った彼は、平家一門のだだっ子寿童丸の思うままの乱暴をうけた。彼は親鸞に生涯つきまとう悪鬼である。9歳で得度を許された親鸞の最初の法名は範宴。師の慈円僧正が新座主となる叡山へのぼった範宴を待っていたのは、俗界以上の汚濁であった。

感想・レビュー・書評

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  • 時代になじむのが大変でした。
    そうか…牛なのかカゴをひくのは…
    そうか…ハエがたかるのか家の中に…
    そうか….政治が安定してなくて、貧乏人は食べ物もなく鶏の骨をしゃぶっているのか(しかも取り合う)

    可愛くて純粋で利発な十八公麿(まつまろ)が、範宴となり、彼なりに進む道について思い悩むところまで。

  • 十八公麿として落ちぶれ藤家に生まれるも、義経のまた従兄弟という血筋から、源平争乱の時代に出家し、範宴となった後の親鸞。若き日の、叡山での学問、修行の時代を描く1巻。座主の言葉、世に怖いものがあるとすれば、それは人間だ。人間で怖いものがあるとすれば、それは自分だ。自分の中に棲む狐や鷲や栗鼠は本当に怖い。この言葉は、後の範宴の苦悩へとつながっていく。すなわち、若い血潮が疼き始める。飢えているといえば、私には何か飢えが感じられる。それは、母の肌を恋うような血潮の淋しさだ。このように、真摯に自分と向き合うことに、憧憬を抱く。

  • 20140119 スーパーマンではない人間としての親鸞の話。苦難から聖人になるまでの物語。励まされる。

  • (欲しい!)/文庫

  • 歴史小説を読むときは、歴史の勉強になるなーと思うことが多いのですが、今回は少し違います。
    思うところは2つ。
    1つ目は言葉。吉川さんの使う言葉にはは、最近の本にはない古い言葉や、使われなくなりつつある言い回しが豊富にあります。それがかなり面白い。意味を拾いながらになるので時間はかかりますが、楽しくて仕方ありません。
    2つ目は親鸞上人の生き方。本を読んで、その生き方に触れていると、自分の心の波立っている部分が落ち着いてきます。この本に、いま、だいぶ助けられています。
    まだまだ先がありますが、ゆっくり時間をかけて読んでいこうと思います。

  • 親鸞上人の生き方がとても豊かに描写されている、私の考え方を変えてくれた本

  • 1~3全巻読了。
    親鸞さんは、お坊さんで初めて結婚した人だったんあな~。2回も!

  • 全3巻。
    久しぶりの吉川先生。

    坊主ってことで読んでなかった親鸞。
    久しぶりに吉川先生が読みたくて
    複数卷だったので。

    ああ。
    やっぱうまいなあ。
    話。
    面白い。

    引き込まれる。
    ストレスフリー。
    坊主だしめんどくて嘘くさいんだろうと思ってたけど、
    すんなり入れる。
    ぐっとくるし。
    坊主なのに。
    途中でフェードアウトした側近だけ気になるけど。

    これから時代が変わって
    戦国の武将がみんな苦労するんだなあって
    変な感慨。

  • 1170年ごろ。清和源氏の八幡太郎義家の孫娘の”吉光女”が母とされており,源義経は親鸞のまた従兄弟にあたる。9歳の時,慈円(後の天台座主)のもと得度し,範宴(はんねん)と改名。
    叡山の天台宗門徒の形にとらわれた仏教を民衆のための仏教にしようと一生を費やす。従来の聖道自力(自力本願)の僧は,やたらに自分にも行いがたい禁欲を強いられており,いたずらに物絶ちをもって清浄とし,形式にばかり囚われて実はかえって裏には大きな矛盾を抱えており,夜中には叡山から洛中に下りて,酒や女と遊ぶようになる。浄土門の易行道(他力本願)では,そういうエセ聖の真似を最も嫌う。ありのままの姿を清浄とするのである。肉もよいし酒もよい。女人が男性を,男性が女人を持つ。これも自然の人間の姿のままを尊ぶ。おのずからそこには男女の道というものがある。道を外さぬほどならば,それでよい。職業も他の生活もそのありのままで立派に往生できる。難しい事ではない。そのためにはただ念仏を唱えれば良い。実社会というものを尊重し,人間の生活を本義にしているのだ。
    残水の小魚,食をむさぼって,時に渇くを知らず。
    糞中の穢虫(えちゅう),居を争って,外の清きを知らず。
    こう言って,実社会での富や名声に嬉々としている人々を悲しむべき人とした。
    ありのままに生き,それを尊いとするため,南無阿弥陀仏の御名号を唱えるべきと親鸞はすすめた。
    全3巻

  • その存在は、この世に生を受けた時から、何かを予感させる存在だった・・・。
    巧妙な語り口で、「親鸞」という一人の人間を真っ向から書き挑んだ快作。
    歴史上の人物として、ただ名のみの存在としてしか知らなかった私にとって
    一時点のみの人物が、この本を通して、そして芳川英治の目を通して、一人の
    人間の生きた道を垣間見ることができたのは何よりの収穫であったかもしれません。

    第一巻は、その親鸞の誕生から20代までの話。

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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