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- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061982444
感想・レビュー・書評
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上方落語のスターであった桂春団治の評伝です。
本書に収められている「河出書房版あとがき」によると、講談社から刊行された「20世紀を動かした人々」というシリーズに桂春団治がとりあげられ、著者が執筆者にえらばれた経緯が語られています。それによると、編集委員である桑原武夫が春団治の芸の魅力をくり返し著者に語ってものの、そのつど酒に酔って著者はその話をおぼえておらず、著者自身が春団治の魅力にとりつかれたというわけではないようです。
そのためもあってか、大衆芸能の分野において春団治がどのような役割を果たしたのかといったことは、あまり立ち入って語られておらず、もっぱらその私生活について調査することに本書の多くのページが費やされています。そのためもあってか、元の妻であった東松トミが、医療品問屋の未亡人であった岩井志うによって妻の座から追い落とされたものの、その後も春団治の生活の面倒をみていたエピソードなどばかりが印象にのこって、春団治がだれであるのか知らない読者には肩透かしの印象をいだかせるのではないかという気がしてしまいます。
表題作のほか、「紅梅亭界隈」と「東松トミの半生」が収録されています。詳細をみるコメント0件をすべて表示