女獣心理 (講談社文芸文庫 のD 2)

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  • 講談社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061982536

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  • 『ヘンリー&ジューン』のジューンを彷彿とさせる魔性の女ソヤが破滅していくまでの物語。主人公はソヤに惹かれ、彼の妻沙子もまたソヤを愛すという三角関係の末に、2人を捨てて狂死という、日本文学にはあまりない展開です。
    主人公のいるまえで、再開したソヤと沙子が2人だけで親密に語り合うシーンはもろにジューンとアナイスという感じで美しいです。
    「ええ、毎晩、そして暗い間は寂しかったの。」
    「ほんとうに…」

  • 美はしきもの見し人は はや死の手にぞわたされつ 愛の痛みは果てもなし 美の矢にあたりしその人に
    TRISTAN, August von Platen

    神話の世界から舞い降りた清らかな存在は、俗世の淀みでは息ができない。そしてその稀有な美しさに魅入られた者もまた、運命を狂わせる。

  • 2018.11.27 図書館

  • 美大を出、「自然の模倣以上に、美を創造する」才能を持ちながら、父母の死により、諏訪伯爵の庇護下で男達の憧憬の的になるも、伯爵からの愛情の為に失踪し、生活の為徹夜で働く、九曜征矢(くようそや)、レダと呼ばれる女。巷間からは「堕落した女」になったと事実無根のレッテルを貼られ、弁解する事もなく、ただ自分の矜恃を守り、その悩み多き魂がついに狂う迄を、私=新和塁(しんなとりで)の目から語られた物語。「人間にとって幸福な状態は調和か狂気」と友人であり塁の許嫁の沙子に語るレダ。「ああ狂者のみが独り幸福である。彼等は現実の感情を失ってしまったから。」〜モーパッサン

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著者プロフィール

野溝 七生子(のみぞ・なおこ):1897年、兵庫県生まれ。本作『山梔』は、懸賞小説として応募され入選し、新聞連載後、1926年に春秋社より刊行された。さらに北原白秋主宰「近代風景」や長谷川時雨主宰「女人藝術」などに作品を発表。また東洋大学で教鞭をとり、森?外に関する論考などを執筆した。他の著作に『女獣心理』(講談社文芸文庫)、『南天屋敷』(角川書店)、『月影』(青磁社)、『ヌマ叔母さん』(深夜叢書社)、『野溝七生子作品集』(立風書房)、『暖炉 野溝七生子短篇全集』『アルスのノート』『眉輪』(展望社)などがある。1987年没。

「2023年 『山梔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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