- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062073349
作品紹介・あらすじ
あなたと手をつなぐ人がきっと、いる。
真夜中の屋根のぼりは、陽子・リン姉弟のとっておきの秘密の遊びだった。やがて、思いがけない仲間がくわわって……。
わたしだって知っていた。いちばんしんどいときはだれでもひとりだと知っていた。だれにもなんとかしてもらえないことが多すぎることを知っていた。だからこそ幼い知恵をふりしぼり、めちゃくちゃでもやりたいようにやってきた。小人たちの足音に耳をすまして、自分もいっしょに走ろうと、走りつづけようと、やってきた。(本文より)
感想・レビュー・書評
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児童文学だが大人でも楽しめる作品だと思います。
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児童文学のカテゴリーに入れられる作品かもしれないが、大人が読んでも面白く読めます。
森絵都さんらしい、ユーモアのある表現が随所に見られます。
中学生が、他人に寄り掛からず、それでいて孤独ではない生き方を模索する、そんなお話でした。
悪くはないのですが、大人の存在感が希薄なところが気になりました。 -
中学生の時に読んだら一番良いでしょうね〜大人だって星空を眺めたい時はありますね。主人公は中学生の陽子、担任が急に辞めた後、それ以上の深い理由はなく、学校に行かなくなる。おっとりした弟のリンと仲が良く、夜中によその家の屋根に登るという遊びを思いつき、スリルと不思議な感覚を味わいます。
そこへ意外な仲間が加わって…
わかりやすい文章で、思うように出来ない思春期のもやもや、孤独への恐れ、行き場に迷うエネルギーといった形にならないものを描いています。
友達の抱えている問題はその子にしたら真剣なものだけど、陽子の健全さもあって深刻になりすぎずに前向きな流れに。
「ぼくたちはみんな宇宙のみなしごだから、ばらばらに生まれてばらばらに死んでいくみなしごだから、自分の力できらきら輝いていないと、宇宙の暗闇にのみこまれて消えちゃうんだよ」
それが、辞めた先生が友達の一人に言い残していた言葉で、自力でやっていかなければならないからこそ時には手をつなげる仲間を作りなさい、と…
輝く星でいっぱいの宇宙を想像すると、みなしごというよりはふと、宇宙の子供のような気持ちになりました。 -
子供らしい旺盛な好奇心と、自分の行動を冷静に判断する醒めた視点を併せ持つ、中学二年生の主人公・陽子が魅力的に描かれています。
悩みや困難に直面しても、自分らしさを失わずに真っ直ぐに突き進む姿の潔さと、繊細な心の揺らぎが、ごく自然に表現されているところも良いですね。
タイトルが持つ意味には厳しさも含まれますが、シンプルな言葉で紡がれるメッセージは、きっと世代に関係なく多くの方の胸に響くのではないでしょうか。 -
母に図書館から借りてきて貰い、読んでみました
最初読み始めた時は「これ一体どういう話になるんやろ」と思っていたけれど、途中からやめられなくなってきて1時間位で読み終わりました。
超単純に説明するなら、ずばり屋根に登る話。
でもその遊びを通して大切なものを手に入れることができた四人の中学生の話です。
最後の屋根の上のシーンは感動しました。
涙腺崩壊とまではいかないけど、じわり みたいな
ただし、ちょっとした笑えるところがかなりあって公の場(電車内とか学校とか)で読むのは周りから変な目で見られると思うのでおすすめしません^^ -
森絵都さんのお話はあまり読んだことがなかったのですが、6年生の教科書に森さんの他のお話が載っていたのでこちらを読んでみました
中2の陽子と中1のリンの姉弟は屋根に登る遊びを考え付く
しかも人の家の屋根,,,
友だちとの関係や学校、家のこと
焦燥感やら惰性やら色々なことが混じりあう感情の表現が上手ですね
夏休みが明けたら辞めていた担任のすみれ先生の言葉がとてもいい
短い間だったけど、そんな先生に出会えたのはとても貴重だなと
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森絵都って、ちょっと斜めからみながらあったかい話を書くよね。なかなかよかった。
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やっぱり森 絵都さんの本は、思春期に読むのに限ります。
私、中学生時代に森さんの本に出あえていたら、
かなり救われただろうなぁ。
この本も、「娘がお年頃になったら、こっそり本棚に
忍ばせておく本」にしよう。 -
”自分的”森絵都フェアー第3弾。
カギっ子兄弟が退屈を紛らわすために思いついた遊びが、屋根に登ること!
夜中に街の中で登りやすそうな屋根を見つけて、こっそり登ってしまう遊び。
ひょんなことからその遊びに気づいたクラスメートたちが飛び入り参加するのだけど、
それぞれに遊びではない思惑がある。
登校拒否やいじめ、疑似友情といった、
現代社会の闇に触れているようだけど、やっぱそこは森絵都。
あいだあいだにあるコミカルな表現が楽しい。 -
小学生の時に読んだからよく覚えてはいないんだけど感動した。屋根を登ることとか、あたしも何度かやってみたいなって思ってたなぁ。この話を読むと、あの頃の気持ちを思い出す。あの気持ちはずっと忘れずにいたいなぁ。