ちいさなちいさな王様

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062083737

作品紹介・あらすじ

ある日、ふらりと僕の部屋にあらわれた、僕の人差し指サイズの気まぐれな小さな王様。

感想・レビュー・書評

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  • ミヒャエルゾーヴァ、アクセルハッケを好きになるきっかけになった本。
    ミヒャエルゾーヴァの絵は、壁の隙間から、不思議な世界を教えてくれ、人生について助言してくれる王様が本当にいるんじゃないかと思ってしまう。
    本棚で大切にしている本です

  •  ぼくの前に突然現れた人差し指ほどの王様。王様の世界では、生まれたときが1番大きく物知りでだんだんと小さくなって消えるのが普通らしい。

     ぼくの世界と王座の世界の違いを互いに話しながら進むストーリーで価値観の違いや死生観などがテーマの大人向けの絵本のような一冊です。

     全く異なる世界にいるからこその考えがとても面白く、常識が覆されるような思いでした。わ

     どんな本かわからない本を買える梟書茶房で買った思い出の一冊。とてもいい本に巡り会えたと思いました。また行って本を買うのもいいですね。

  • 『ある日、ふらりと 僕の部屋にあらわれた、
     僕の人差し指サイズの 気まぐれな小さな王様。』

    十二月王二世と名乗る小さな小さな王様が、ある日主人公の僕の部屋に現れる。
    太った身体に深紅のビロードのマントを着て。
    王様は僕の部屋の本棚の隙間に暮らしていて、気まぐれにやってきては、この世界のことを教えてくれと僕に命ずる・・・

    1993年にアクセル・ハッケが書いたこの作品は、もともとは新聞に連載されていたらしい。
    日本でも人気の高いミヒャエル・ゾーヴァが挿絵を手掛け、哲学的な内容をより神秘的にして、1996年に日本国内でベストセラーになったという。
    私がゾーヴァを知ったのは映画『アメリ』の中で、アメリのベッドサイドにあった豚の電気スタンド!あまりの可愛さに「あれは誰が作ったの?」と調べまくったら、美術担当にゾーヴァの名があり、その後この小さな本にたどり着いたというわけ。
    感動が押し寄せるとか、思わず涙するとか、そんな類のお話ではないけれど不思議と心に残り、このたび何度目かの読了ののちレビューにチャレンジ。

    この王様の国では、生まれた時は初めからすべてを持っていて、年を重ねるごとに身体は小さくなり知識も失われ、大人から子どもへと成長していくのだという。
    王様との出会いからいくつもの思考実験を重ね、不思議な体験をしていく僕の話。
    多くの寓意にあふれていて、僅か108ページの小さな本とは思えないほど読後感は大きい。

    『大きくなることは素晴らしいことなのだろうか?』という王様の言葉に、ページをめくる手も止まる。本当は小さくなっているのではないだろうか?
    確かに知識と経験は増えたけれど、子どもの頃に持っていたはずの夢や想像力は小さくなった。
    すると、人間の世界はあまり素敵ではないと王様が言うのもうなずける。
    王様が「夢や子ども」を表しており、僕が「大人と現実」を表しているのだとすると、この二つは相容れないのだろうか。

    作品の中では、ふたつのボーダーラインがだんだん曖昧になっていく。
    僕の経験がどこまで想像の世界だったのか、種明かしは?と疑う場面もある。
    更に、王様の描写の方が僕よりもはるかに細かくリアルで、サラリーマンという以外全体像が不明な僕に比して、その性格は喜怒哀楽が激しく無邪気そのもの。まさか実在するのか、いや実在してほしいとさえ願ってしまう。

    この作品は、夢と現実との対比がテーマなのだろう。たぶんどちらも同程度に大切で、どちらが欠けてもいけないものなのだ。
    ちょっと辛辣で意地悪な王様に、僕がかけたこんな言葉がある。
    『きっと 小さな王様が欠けていてさびしい思いをしている人が 世の中には、
     本当はもっとたくさんいるんだよ。ただ、そのことに気がついてないだけで』
    そう、私も。
    この頃時々、じいっと本棚の隙間を見つめていたりする。

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      私もこの本が本当に大好きです♪
      購入して何度も読んでいます。
      読むたびに感じることが違う本です。
      ne...
      こんばんは(^-^)/

      私もこの本が本当に大好きです♪
      購入して何度も読んでいます。
      読むたびに感じることが違う本です。
      nejidonさんの感想凄いです!

      そして、私もこの本でゾーヴァが大好きになりました。
      ゾーヴァに関する本も読みました。
      「ミヒャエルゾーヴァの仕事」と「ミヒャエルゾーヴァの世界」とてもよかったですよ。
      どちらかにアメリの話も載っていました。
      2017/07/03
    • nejidonさん
      けいたんさん、コメントありがとうございます
      (^^♪
      レビュー数が多くてびっくりしました・笑
      それだけ、この本を好きなひとが多いのでし...
      けいたんさん、コメントありがとうございます
      (^^♪
      レビュー数が多くてびっくりしました・笑
      それだけ、この本を好きなひとが多いのでしょうね。
      けいたんさんもお好きだとは、何だか嬉しいです。
      内容も良いのですが、ゾーヴァの絵がとても素敵。
      表紙だけで惹きつけられますよね。
      他にも何冊かゾーヴァの本を読んだのですが、これが一番良いかなと思い、
      レビューにしてみました。
      あとは「魔笛」も幻想的で良かったですね。

      挙げてくださった二冊が、こちらの図書館にはないのですよ、シクシク。
      一番欲しいのは画集なのですが、さすがに高い!!
      うーん、ご近所でしたら借りに行きたいところです。
      また素敵な本に出会ったら、お話してくださいね。
      2017/07/05
  • 壁の向こう側をわざわざみようなどと思うのかね?
    どうなっているか知りたいのなら、想像してみればいいじゃないか。ゆっくり落ち着いて、目を閉じてだな、その向こう側の世界を自分で思い描いてみればいいのだ。おまえだって、子どものころは、それが当たり前にできていたのだぞ。

    ここが心に止まった。

    子どものころ持っていたこの力を、呼び覚ましたい気持ちになった。

  • 確か、映画の アメリ の部屋に、この本の絵が、飾っていたような…

  • すきまというものは、自分だけしか知らない世界の入り口なのかもしれない。

    読めば読むほど不思議な本。

  • 忽然と僕の部屋に現れた<小さな王様>の名は<十二月王二世>。 僕の人差し指サイズの小さな王様。この王様の世界では大きく生まれて成長するにつれ小さくなり、しまいには見えなくなってしまうという。「大きくなるほど小さくなる」のは、人間も年を取ると縮んでいき死を迎えるけれど、小さな王様の世界では「命の終わりは永遠の始まり」だという。 さて、この世の中で起きていることや、いま目の前にある現実の世界は、全て本当のことなのか・・・? 〝いま大人が読むべき絵本〟と柳田邦男氏お薦めの哲学的示唆にとんだ幻想の物語。

  • ある日あらわれた人差し指サイズの王様とサラリーマンとの5つの遣り取り。児童書・童話っぽい装丁ですが、「大きくなると小さくなる」「存在しないものが存在する」「忘れていても覚えている」など相反する言葉の哲学的な命題と、王様が何気なく大事な事を言っている風で大人向けに思います。が、大人の自分でも核は掴めなかった^^;『たまには自分の頭で考えたらどうだ!』と王様に叱咤されそうw

    • はこちゃんさん
      おぅ!これ好きでーす(*^_^*) 私も登録しよっと♪
      おぅ!これ好きでーす(*^_^*) 私も登録しよっと♪
      2013/09/04
  • 『眠っている時に起きている』
    つまらない現実の世界が夢で、実は希望に満ちた夢の世界が現実でって話。
    そう考えるとつらいことも乗り越えられそうな気がする。
    想像の世界は素晴らしい。王様はそう教えてくれる。心が癒されます。
    挿絵がまたいい。挿絵にこんなに感動したことはない。
    ミヒャエル・ゾーヴァと言う人の絵だ。素晴らしい。

  • 僕の部屋の壁と本棚の隙間から気まぐれに人差し指くらいの王様がやってくるようになったという不思議な話。王様の問いかけが奥深く児童書であるにかかわらず大人も読める奥深いお話になっています。そしてなんといっても挿絵がかわいい。

  • 絵本みたいで読みやすかった。
    子供心を思い出せるような本で、よくわからんけどほっこりする話。日常を大事にしようとか小さなものに幸せがあるとか考えずにただ読んでいったら、ほっこりするだけでおわる。

  • 小さな王様の国では、歳をとるとどんどん体が小さくなってくる。
    でも、小さな王様が言うには、
    おまえたちは、はじめにすべての可能性を与えられているのに、毎日、それが奪われて縮んでいくのだ。それに、幼いうちは、おまえたちは、知っていることが少ない代わりに、想像の世界がやたらに大きいのではなかったのかね?でも、次第におまえたちの想像の世界はどんどん小さくなっていき、知識だけがますますふくれあがっていく。そうじゃないのかね?
    って、いう小さな王様の言葉や、

    きっと、小さな王様が欠けていてさびしい思いをしている人が、世の中には、ほんとうはもっとたくさんいるんだよ。ただ、そのことに気づいていないだけで。っていう主人公の言葉に、

    考えさせられました(o^^o)

    なかなか、よい本ですよ!!

  • 人差し指サイズの小さな王様。王様の世界では大きく生まれて成長するにつれ小さくなり、しまいには見えなくなってしまうという。
    確かに子どもの頃は無限にあった可能性も想像力が大人になるにつれてどんどんしぼんでいく。ルールやしがらみでがんじがらめ。それって成長って言えるのか。それでも王様に出会えた人はラッキーだ。だってもう知っているから。
    手元に置いておく本。

  • ある日、ふらりと僕の部屋にあらわれた、僕の人差し指サイズの気まぐれな小さな王様。王様の言うところによると、どうやら彼の世界では子ども時代が人生の終わりにあるらしい。僕らのところとは違って……。ある日、ぼくの部屋に人さし指ほどの王様が現れた。王様の世界では、生まれた時は大きくて年をとれば小さくなるという。王様に誘われたぼくは、本棚の後の王様の部屋へ行く。そこには小さなベットと夢のつまった箱があった。
    原題:Der kleine König Dezember
    (1993年)

  • これは大人も読むべき童話です。
    産まれたときは大きいのに成長するほどちいさくなっていく王様がある日突然現れる。
    どうやら心に寂しさを感じている人のところに現れるようです。
    その王様がとても哲学的。
    そんなお話が5話。
    本当に面白かった。
    アクセル・ハックの他の本も読んでみたい。

  • 人間の世界では大人になるにつれて大きくなるが、この本に登場する王様の世界では大人になるにつれ小さくなってやがてなくなってしまうのだという。いったいどういうことなのか?大人になって成長するって何だろうと考えさせられる。

  • 大人になるということはいろいろなことができるようになることだと思っていた。
    本当に?
    子どもの頃の想像力、なんにでもなれる可能性、大人になれば失われることのなんと多いことか!
    あるサラリーマンの前に現れた小さな王様は、生まれたときは大人でなんでもできてなんでも知っている。そこから年をとるごとにできることが少なくなり、知識も減り、体も小さく縮んでやがて見えなくなってしまう。
    しかしその分想像の枠は大きくなり、世界は楽しいものとなる。
    大人になること、子どもの頃を忘れること、大人が読むとすこしせつなく、子どもは大人になることを少し残念に思うかもしれない。
    小学生の子どもは途中まで読んで「なんだか怖いから読みたくない」と中断していた。

  • 以前に原宿ブックカフェで紹介していたので、読んでみました。

    キュートで純粋なちいさな王さま
    彼の行動だけでほんわかした気持ちになれます

    私もいつか王さまに逢えるときが来たら、一緒に沢山の想像をしたいな~

    大人の世界に疲れたときはまた読み返したい

  • ある日 「僕」の前に現れた小さな王様。

    生まれてからだんだん小さくなり、
    小さくなるほど物を忘れるけど偉い世界。
    そんな王様の不思議な世界の話や、
    王様と過ごしていると、あたりまえだった僕の世界が
    変わって見えるようになる話など。

    話は童話のようでありながら、哲学的な話、警句などが
    ちりばめられています。
    そのまま童話的に楽しむもいいし、籠められた意味を考えてみるのも
    またいいと思います。
    挿絵もやや暗めながら、柔らかくユーモアがあり
    よかったです。

  • タイトル通り、小さな王様のお話。
    高校の図書館にあって何度も借りて読みました。
    今思うと、映画ベンジャミンバトンの設定はここからなのかしら?

  • なんだか ほんわりとしているようで、深いお話でした。哲学かなぁ~。
    見方を変えると 考え方が変わるね。


    クマグミ買ってから 読むことをおすすめ。

  • 数々の書店で平台に並べられているから期待の新刊かと思いきや、ずいぶん古い本だった。『絵のない絵本』がイメージにあがってきた。
    グミベアを抱える王様をイメージするととてもかわいく、それだけでも小さい王様を欲している人は多いのではと思うのだが、そういう意図ではないというのはもちろんわかっている。私は常々老いが怖いと感じているが、この王様は老いるほどに小さくなり「もっと小さくなったらこんなことをする!」と小さくなり消えゆくのをまったく気に病んでいない様子。私も老いを楽しめるようになりたい。

  • 大人の寓話。
    平凡な人生を歩む僕の前に現れた
    どんどん小さくなっていく王様。

    王様と僕との対話が
    我々が抱えている悩みを
    180度、視点を変えて見せてくれる。

    ちいさな存在とは、なにか?
    それは王様なのか、自分なのか。
    では、王様とは誰なのか。

    自分の人生において、
    自分自身が王様になるためのガイドブック。

  • 子どもの頃の想像力。
    大人になってからの想像力。
    比べてみると、全然違う。
    大人になるにつれて、頭の中は現実や常識や忙しさで、いっぱいいっぱい。
    だけど、この本は、自分達の埋れて隠れてしまった想像力をスコップで少しずつ掘り出してくれるような力があります。
    こんな発想が出来る作者。
    すごい。
    読めばきっと、自分の中の何か大切なモノが 、”宝箱”が見つかるはず。

  • STAP細胞作成に成功した小保方晴子さんが中2の時に読み、感想文を書いてえらく表彰されたという作品。

    王様の世界では、子供時代が最後にあり、体がだんだん縮んで行く。王様は我々の世界を「はじめにすべての可能性を与えられているのに、毎日、それが少しずつ奪われて縮んでいくのだな」と評する。体はでかくなる反面、世界が小さくなる私たち。痛いところをつかれ、ハッとさせられる。

  • 人間は基本的に年齢を重ねるごとにその身体も大きくなっていく。ただ、それとは逆に、小さい頃夢見ていた壮大な夢が歳を取るにつれいつのまにか埃のように小さくなり、しまいには消えてしまう人もいることは確かであろう。だが、この物語の王様の世界では正反対。だからこそ見えるものがある。いま、大人が読むべき絵本と言われているのが納得できる。

  • これは大人の絵本です。

    解釈を理解してません。
    多分、簡単に言うと、表から見えることだけが全てじゃない。
    自分の体験したことが全てじゃないと言ってるのではないかと思います。

    多分‥。

    こんな解釈なので、つい、ふと何度も読んでます。
    でも、毎回、ミヒャエルの絵に見とれる始末‥。
    いつまで、こんなことが続くのやら‥

  • ぼくのそばには親指ほどの王様がいて、年を重ねて大きくなっていくぼくとは対照的にちいさく自由になっていく様を語る。

    ☆☆☆
    高校受験のときにふと手にした文字の多い絵本を再読。ちいさい王様の言葉はむちゃくちゃだけど、でもいつもどこかに人生を明るく生きるヒントが隠れているから読んでほっこりする。
    ファンの多いゾーヴァがイラストを書いているのもポイントが高い。
    私が今まで読んだ中で一番好きな本!

  • 絵本?というには妙に難しい哲学が沢山で
    考える。というか想像させられる。

    って考えたら著者の作戦通りかな。

    想像することの楽しさを忘れた
    頭がちがちの大人に読んでほしい絵本。


    キレて角砂糖を投げる王様が憎たらしいけど可愛いです。

  • 素敵な絵です。手元に置いといて、何度も読み返したくなる本。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「何度も読み返したくなる本。 」
      シュールな内容と、ゾーヴァのイラストが、ピタッと合った感じで素晴しいです!
      「何度も読み返したくなる本。 」
      シュールな内容と、ゾーヴァのイラストが、ピタッと合った感じで素晴しいです!
      2013/02/15
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著者プロフィール

1956年、ブラウンシュヴァイクに生まれる。南ドイツ新聞の記者を経て、2000年よりフリーの作家として独立。南ドイツ新聞の週刊マガジンのコラムニストも務める。著書に『ちいさなちいさな王様』『キリンと暮らす クジラと眠る』『冷蔵庫との対話 アクセル・ハッケ傑作集』『クマの名前は日曜日』『プラリネク』など。


「2019年 『僕が神さまと過ごした日々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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