- Amazon.co.jp ・本 (728ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062085755
感想・レビュー・書評
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貴重な歴史の証言。
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地下鉄サリン事件に巻き込まれた人々のインタビュー。
被害者なのに容疑者扱いされたり、警察や官機構のずさんさが目立つ。 -
阪神大震災が起きた2ヶ月後、オウム真理教により、地下鉄にサリンがまかれる。そこに乗っていた被害者とその遺族への約60件のインタビュー集。
そのインタビューで、著者は地下鉄に乗っていた被害者たちへ不運さを同情することはない。そして、彼らがどんな人生を歩んでいたかを丹念に取材する。
著者が知りたかったのは、その地下鉄にどんな人が乗っていて、何を感じたか。それだけだったんだろう。巻末の「オウム論」はおまけのようなものだ。 -
地下鉄サリンの被害者へのインタヴュー。
事件当日の築地の様子などテレビで観てはいましたが、
どれだけ普通に暮らしていると思っている自分と被害者とは何も違わない、自分にもあり得た事件だったと思う1冊です。 -
地下鉄サリン事件の被害者や、オウム真理教の(元)信者へのインタビュー集。『システムと個人』をテーマにした作品の多い著者ですが、これもノンフィクションながらその一つと言えるかも。
社会が許容できなくなったカルト集団についてのルポ、という感じです。『神の子どもたちはみな踊る』や『1Q84』とあわせて読んでも面白いかと。 -
以前買ったが、実家においてきてしまっていた。図書館で見つけ、ふと読みたくなり、重かったけどよいしょと借りて帰った。借りてからも、授乳の合間に読むには物理的にも心理的にも重かったため、しばらく放置していた。しかし、読み始めたら全然止まらなくなり、ずんずん読んだ。
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地下鉄サリン事件被害者のインタビュー。
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1995年3月20日の地下鉄サリン事件の関係者へのインタビュー。村上春樹の真摯な姿が目に浮かぶ。一人一人と向き合う姿勢は感服。読んで、心が苦しくなったし、涙も出た。でも、やはり、知らないより、知っている方がいいと思った。私の中で、オウム真理教、又、他の宗教、まだ、分からないとしか言えない。いつか、なにか分かるだろうか…
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地下鉄サリン事件の被害にあった方々の証言は生々しい。
それぞれ実に個性的な方々の証言が興味深い。
そして、村上春樹がむすびの部分で、指摘していることも考えさせられた。
「私たちを含んで機能している社会システムは多くの部分で、個人の自律的パワープロセス獲得を圧迫しようとする。」
「オウム真理教に帰依した人々の多くは、麻原が授与する『自律的パワープロセス』を獲得するために、自我という貴重な個人資産を麻原という『精神銀行』の貸金庫に鍵ごと預けてしまっているように見える」「それはかれらにとってある意味ではきわめて心地の良いことなのだ。何故なら、一度誰かに預けてさえしまえば、その後は自分でいちいち苦労して考えて、自我をコントロールする必要がないからだ。」
バンクスの次のような言葉が引用される「自我より大きな力を持ったもの、たとえば歴史、あるいは神、無意識といったものに身を委ねるとき、人はいともたやすく目の前の出来事の脈絡を失ってしまう。人生が物語としての流れを失ってしまうのだ。」
「自我を譲渡したその誰かから、新しい物語を受領することになる。」その物語は「粗雑で単純である方が好ましい。更に言えば、できるだけジャンクである方がいいかもしれない」「麻原彰晃にはそのようなジャンクとしての物語を、人々に気前よく、そして説得力をもって与えることが出来た。」
「それに対して、『こちら側』の私たちはいったいどんな有効な物語を持ち出すことができるだろう?麻原の荒唐無稽な物語を放逐できるだけのまっとうな力を持つ物語を」
そして、ここに小説家としての自分のなすべきことを見ているのである。
この課題は、私にも与えられている課題だと思う。
「まっとうな力を持つ物語」を語ることは、親、教師、友人としてなど、だれにでも与えられている課題であろう。 -
村上春樹のこの本は大好きなんだけど。。。