生存する脳: 心と脳と身体の神秘

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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062100410

作品紹介・あらすじ

人間の心的活動は、間断なく状態が変化する「身体」と「脳」との「ダイナミックな相互作用」をとおしてのことであり、身体を考慮せずに、「情動」も「感情」も合理的意志決定も、自己も意識も説明できない。

感想・レビュー・書評

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  • <メモ>

    【ソマティックマーカー仮説】
    ある対象Xに相対した時に起こる身体状態をマーキングし表象化しておくことにより、同じような対象に遭遇した時、そいつを呼び出して、素早い意思決定と行動を可能にする。

    「外界が身体に引き起こす変化でその外界を表象する」

    身体状態をモニタリングし、そこから表象を読み取る。
    その表象の役割を果たすのが情動であり、情動をモニタリングした観察結果が感情である。

    情動についてどう感じたか?→感情


    【自己】
    対象Xに対しての神経学的、身体的反応のたえざる流れが自己=「意識の流れ」

    過去の記憶、そこから作り上げる未来のイメージが自己だとすれば、その運動は各瞬間に行われており、過去を引き継ぎつつ、それでいて変化をも許容する可塑的な自己として流れていく


    【情動の重要性】
    私たちの意思決定には情動という要素が欠かせない
    情動により形成されたソマティックマーカーによって、選択肢の一次振分けがすでに終了してから始めて意識によって理性的な選択がなされる。
    しかもその「理性的な」選択は、情動によるべちゃべちゃなバイアスがかかった状態で行われる。

    意思決定において情動の影響は果てしなくでかい。というよりも最終決定権と最初期の方向性を握っていると言っても過言じゃない。
    意思決定はあるテーマが議題に上がる前に、ほとんど決着がついているとも言える。
    重要なことはどのようなテーマを議題に挙げるか?またはどのようなプロセスで議題化するかということが重要。

    自動性のプロセスが働く前に、準備的に方向付けておかない、決して逃れることはできない。

    しかし同時に情動がないと私たちは何も決定することができなくなるのも事実だ。
    偏りが何もないということは、なんでもいいということ=どうでもいいということ。
    全てがフラットで差異が存在しない索漠とした心象世界がそこにはある。

  • つまらん。

  • 脳の一部(前頭葉)を事故でなくした男。
    知的変化・少。感覚運動変化・小。
    失ったものは
    安定したパーソナリティ(人格損傷)。
    場当たり的、衝動的。
    いろいろなことは考えられるが
    ささいな日常決定ができなくなった。
    新皮質と感情をつかさどる脳の部分をつなぐ場所が
    損傷を受けていることによる影響。

    遠藤利彦「感情の心理学」

  • 前頭前腹内側領域 ventromedial prefrontal region 正常な意思決定に重要 情動感情の障害 病徴不覚症 anosognosia 情動と感情がどこにも見当たらない 損傷をうけると推論と情動のプロセスが両方だめになる領域 前頭前腹内側領域、体性感覚野、扁桃体、背外側部 一次の情動 扁桃体と前帯状回が中心的役割を演じる辺縁系回路に依存 二次の情動 意識的および無意識的コントロール 頬骨筋 無意識のコントロール眼輪筋 本物の笑いは目が笑う 情動とは特定の脳システムを活性化する特定のメンタルイメージを結びついた一連の身体状態の変化である 情動を感じることの本質は、そのサイクルを引き起こしたメンタルイメージを並置しながら、そのような変化を経験することである 感情と身体とは不可分である 特定の反応オブションとの関連で悪い結果が頭に浮かぶと、ある不快な著感(gut feeling)を経験する。その感情は身体に関するものなのでこの現象にソマティックな状態と専門語を付した。そしてその感情は一つのイメージをマークするので、それをマーカーと呼ぶことにした。ソマティックマーカーは特定の行動がもたらすかもしれないネガティブな結果にわれわれの注意を向けさせ、いわば次のように言い、自動化された危険信号として機能する。「この先にある危険に注意せよ、もしこのオプションを選択すればこういう結果になる」  訳者解説 ソマティックマーカーという二次の情動から生み出された特別な感情が、いわば自動化された危険信号として機能し、多数の行動オプションのうちネガティブなものをふるい落とし、われわれが少数の選択肢から選択できるようにしている 身体と脳がこころを生み出す

  • 脳に損傷をうけねがらごく普通に生存した患者から、前頭葉の機能や脳の機能を読み解いていきます。身体と脳があってはじめて本来の脳としての意味がある。幻肢といわれるないはずの手足が痛くなったりすることは、他の本にも出ていますが、さらにすすんで、脳は肢体があってこそその機能が発揮される、という考えで考察しています。けっこう厚みもあり内容がすこし哲学的な部分もありつらいこともありましたが、よみおえれば、脳に対するあたらしい見方ができる本と感じられました。

  • 脳(特に前頭前野)と感情や性格が密接に関係していることが証明されて面白かった。
    損傷を受けた脳は、その人の人格をも豹変させ、理性をなくし、落ち着き、責任感、思いやりなどもなくなるという驚きの結果となった。
    このような推論障害は、ほとんど表に出る機会がないので、なかなか問題視されないのではないだろうか。
    心や愛情はどこにあるのかという根本的な疑問を投げかけ、考えるきっかけとなった。 

  • 面白い!こういう考え方でとらえるのもありなのかと。

  • 難解で途中で挫折中。

  • 脳科学に興味を持つきっかけになった本。心は脳と身体の相互作用の中で生まれてくる。

  • わが家を担当して頂いてる理学療法士さんからお借りした1冊。
    第10章の『身体にあやつられる脳』は大変、興味深いです。

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