作品紹介・あらすじ
この世にたしかなものなど何もない。あるとすれば人と人が出逢えたことだ。それとて幻想なら、美しい幻想を見て生き抜こうではないか。アフリカの王に立ち向かう男が見たものは…。人はなぜ夢を見るのか。アフリカの大地に見果てぬ夢の絵を描いた男と女の物語。
感想・レビュー・書評
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「アフリカの手」・・一度アフリカの地に足を踏み入れたものはその魅力に嵌りどんな地に行けどもその手によってこの地に戻ってくると・・・主人公黒田十三は雑誌編集者としてアフリカ大陸を訪れ、目の前に繰り広げられる自然、風景、弱肉強食のダイナミズムを目の当たりにし、さらには原住民の画家ムバタの素朴な絵にも魅了される。アフリカに惹かれ自分の夢を追い続けた十三は、日本の友人たちにアフリカの壮大な景観を見てもらおうとホテル建設を決意する。破天荒だけど自分の夢を持ち続ける生き方が人間的魅力となって読者を惹きつける。
著者プロフィール
1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞する。’16年紫綬褒章を受章。著書に『三年坂』『白秋』『海峡』『春雷』『岬へ』『駅までの道をおしえて』『ぼくのボールが君に届けば』『いねむり先生』、『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』、エッセイ集『大人のカタチを語ろう』「大人の流儀」シリーズなどがある。
「2023年 『ミチクサ先生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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