- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062118323
作品紹介・あらすじ
新宿のキャッチバーを辞め、騙されてタコ部屋暮らしを始めた。いまある現実をそのまま受け入れよう。旅人の寂しさにつつみこまれて眠りにおちた。ヒッピーもベトナム戦争も終わってなにもない'70年代、僕は正真正銘、二十歳の童貞である。最新長篇小説。
感想・レビュー・書評
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風俗業界で働く人たち。
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スガシカオさんが「青春のホルマリン漬け」を作るきっかけになったと聞いて読んでみた。
雄琴という実在する滋賀県のソープ街を舞台にした1970年代のお話。
わかりやすい優しさでもなく傷の舐めあいでもなく、
少しずつ進んでいったらそこは他よりも明るい場所だったというような
不思議な読後感の本だった。 -
落ちるとこまで落ちてそれでも希望を胸に這い上がる主人公!っていうのとは少し違うが、あれよあれよと沼底まで落ちた主人公がただもくもくと与えられた理不尽な仕事をこなしていく。
最後はこれはこれでいい終わり方だったなと思う。 -
面白い。
ひどく生々しい風俗の話。
色々な想いの女が仕事をしてて、その気持ちや境遇なども様々で、眈々と話が進む。主人公の見守る事しかできない無力さと哀愁が共感して。切ない気持ちになる一冊 -
初・花村作品。雄琴という町を舞台にトルコ風呂(いわゆる風俗店)で働く羽目になってしまった男の子の物語。
風俗というだけでかなりディープな内容なのだが、所々にユーモアの要素もありで、というよりそれが唯一の救いかと思えるくらい酷いエピソードが満載です。笑
厭味ったらしくない人間くささ、みたいな読後感。 -
“性”は人に一生つきまとう問題だと思う。人生のどこかで早いにしろ遅いにしろ一度は深く掘り下げて考えるもの。日常的に性を無視して生きていくことは不可能だから。
「悲しい」という言葉がたくさん出てくる。悲しい人がたくさん出てくる。悪役の栃憲は自分が悲しい人だと意識していない。がしかし、性によって利益を得て性に翻弄される人をこばかにするような人、こんなに悲しい人なんていないだろう。
主人公はずっと冴えないままで汚く遣る瀬無い思いを抱えて性と対峙していくのを予感させて物語は終末を迎える。
(20110317) -
微妙感。記録小説と思わないで読んだのが敗因。そうおもうと面白い。
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ベトナム戦争終結の頃、無気力な若者は新宿ぼったくりバーのバーテンダーから、騙されて雄琴ソープ店のボーイに転落する。いやぁ、下には下があるもので(笑)
実は、前の会社の保養寮が雄琴にあって、会社の同期会で一度だけ行った事があります。当時は何も知らず、後で惜しかったなんて、絶対に思いませんでしたが、そういう場所だったんですね〜、どうりで同期連中が宴会後にいなくなったわけだ〜
題材に抵抗あるかもしれませんが、いい作品です。切なく、けっこう純粋で、ユーモアも利いてる青春物。裏側の怖さはありますが、笑い飛ばしてる部分あるし、ソープ嬢もきつい仕事でしょうね。客としてみたら、女性は体で短時間に稼げていいなって話にもなりますが・・いえ、僕は客の経験は。。。忘れました(爆)
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これまで、萬月作品で挫折した事は無い。他の方は余り良い批評では無い様だが、現実、どうなんだろう?
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単純に「面白い!」と思える作品。青春のほろ悲しさと可笑しさ、っていうのかな。なんかすごく素直な気持ちで読めてしまったなぁ。