作品紹介・あらすじ
その人形は官能的な肌と壊れた心をもっていた。天才的な人形作家、人形を溺愛する青年、人形になりきろうとする女優、そしてパトロン。人形に憑かれた人々が織りなす情念のアラベスク。新境地を拓く、初めての長編ミステリー。
感想・レビュー・書評
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ミステリーなんだろうけど、プロットが上手くない。わざと時系列をごまかしてミステリーに仕上げた感じ。登場人物にも魅力的な人がなく作者の不気味な雰囲気を出したいという狙いがプンプン臭い作品
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202002
生きているかのような人形を巡る愛憎。前半がある意味第三者から見たストーリで、後半が真相編。
前半は読み進めるのが辛すぎ、後半はそこそこ楽しめた。人物をぼかす必要があるのはわかるけど、明らかにそこに仕掛けがあるとわかっているのによく繋がらない文章を読まなければならないのは苦痛でしかなかった。そして、最後の唐突なハッピーエンド感で、重苦しい雰囲気が台無しになった感じがした。別れたままの方が良かったのでは。
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甘過ぎる結末で驚いた。
物語のじっとりした質感は面白かったのだけど、叙述トリックは必要だったかなぁ…。
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人形作家の女の子の心情が自分と重なるところがあって切なかった。
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【8/14】近図。(聖,了,まゆら,創也,草太)(人形)(芝居、劇団)。一般
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途中で明かされる事実にびっくりはするものの、そこからの説明とエピソードがあまりに長いのがなんだか残念。長いせいで仕掛けがどうでもよく思えてしまった。ラストは色んな意味で驚きの爽やかさ。
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見事に引っかかりました・・・。なんか違和感あるなーとは思ったんだけど。読み終えてからもう一度簡単に読み返して補完。あーこんがらがった。お人形さんのお話。球体関節とかいう語句が出てくるとまだ「イノセンス」を連想してしまいます。ラストは陳腐だけどこーゆーの好きだな。面白かった。
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人形を演じる女優、人形に恋をした少年、人形師・・・人形に何かしら思い入れがあるそれぞれ別の人間が、ある一つの人形に吸い寄せられるようにして、つながっていく―。
全体に妖しく漂う雰囲気が物語によく合っている。ミステリーと言うだけあって、謎解きは驚愕。途中のありえない展開に、ただただ驚かされる。物語に惹きこまれ、最後まで飽きずに読めるところも良い。
ただラストは今までの流れと比べると、あっさりとし過ぎかなとも思う。決して悪くはないのだけど。もっと残酷なバッドエンドでも良かった。
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人を愛せずに人形を愛することで、自分を癒そうとする人たち。
その人たちを愛してしまったことを受け入れられず傷つかないためにそのことに気づかないふりをする人たち。
陳腐な感想にはなるが、結局は人を愛さずにはいられない人たちの姿には読んでいて救われた思いがした。
だからこそ相手がそこに気がついてそういう存在がいることに救われることを願った。
救われない自分を愛してくれる人がいることは、絶対に救いになると思うから。
著者プロフィール
1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。
「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」
加納朋子の作品