ぼくらはみんな生きている: 都市動物観察記

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062120388

感想・レビュー・書評

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  • 開発された都市に動物たちはどのように順応しているのか。東京の都市部に生きている野生動物たちの姿をとおして、自分たちも自然界の一員である人間ができることを考える。

    都市部で一番見かけるのは、鳩や雀などの鳥、そして鯉や亀などの池や川にいる水辺の生き物たちだろう。
    それらは人々が気軽に餌をあげたり、「仲間がいるんだから」と飼えなくなったペットを放したりすることにより、本来の生態系からも変化を見せている。
    まずは、在来種を減らしてしまっていること、そして人間が餌をくれる場所に集まってしまうので生物の集中化が起きたり、さらに種類の違う同士での交配も起きてしまう。

    都会の便利さに合わせた生態系に変えた動物もいる。
    動物園に訪れて飼育動物の餌をちゃっかりいただく野生動物たちもなかなかの数になっている。動物たちにとっては動物園が自然か人工のものかなんて関係なく、餌があって敵が来ないとなったらそりゃー通うよね 笑
    本来の住処が開発されてしまって都心に住み着くことにしたシティー派の動物も多い。海辺を離れたハヤブサなどの猛禽類が、高い煙突のてっぺんに巣を作り同じく都心部に住む鳥や小動物を餌にする。海辺の崖と鉄塔や煙突のてっぺんが「環境が似ている」というのが面白い。

    都会の中に取り残されたような自然もある。だいたいは地域開発から逃れた旧家の庭だ。まわりは開発され、箱庭のような自然のなかで大きな昆虫が集まってきている。

    東京には、昔からある大名屋敷跡の庭園や、神社仏閣などの守られた自然がある。そして自然を取り戻す試みとしてのビオトープも盛んだ。だが、ただ植物を植えたり動物を放せばよいわけではない。その土地の元の自然に近い形にする必要がある。ビオトープはその地域の「昭和30年代」の動物や植物を戻すことを目指すと良いらしい。
    こうして生態系にあった自然が戻れば、動物たちは気がついてまた帰ってくるだろう。

  • 「動物愛護週間」に合わせて図書館で紹介するために読む。

    野生動物たちのすみかは大自然から大都会へ!?人間の生活の変化が野生動物たちのライフスタイルにどんな変化をももたらせているのか、わかりやすくおもしろく紹介。絶滅が心配されている○○が東京のあんなところで生息している!?なんていうビックリもたくさんありますよ。

    小学校高学年からおすすめ

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「絶滅が心配されている○○が」
      ○○って何だろう?
      私は大阪の下町に生息していて、ニャンコやスズメは勿論ですが、蝙蝠や鼬はよく見かけます。
      ...
      「絶滅が心配されている○○が」
      ○○って何だろう?
      私は大阪の下町に生息していて、ニャンコやスズメは勿論ですが、蝙蝠や鼬はよく見かけます。
      得体が知れないのは、川の中に棲んでると思われる何か(巨大魚?)・・・この本読めば何かヒントが掴めるかな?
      2012/12/05
    • ゆうさん
      >nyancomaruさん
      こちらは、POP用のコメントでした。○○は、鳥類です。本著にも、蝙蝠のページもありました。案外、逞しく生息してい...
      >nyancomaruさん
      こちらは、POP用のコメントでした。○○は、鳥類です。本著にも、蝙蝠のページもありました。案外、逞しく生息しているものだなぁと感心しました。巨大魚気になりますねぇ。きっと川の主ですね。
      2012/12/07
  •  小3の子供の国語のテキストの問題文で採用されていて、他の内容も気になったので読んだ本。
     小学生(中・高学年)でも読めるような文章ではあるが、内容は子供向けに限定されているわけではない。大変面白かった。
     サブタイトルのとおり、都市動物について書かれている。
     ちなみにテキストにはコウモリの事が書いてあった。

     東京近郊や都心も同じ地球の上なのだから、自然であることは変わりなく、むしろ人の手によって、急激な環境変化を起こされた場所、と解釈すべきかもしれない。そんな中で、都市部でたくましく生きている野生の動物たちを紹介している。
     確かに自然豊かに見えるような里山も、植林で本来の姿を変えてしまっている山々も、人が入る前の本当の自然と同じと呼べるか?と言ってしまえば、違うのかもしれない。
     この本のタヌキの話が印象的。都心にもタヌキは住んでいるのだそうだ。もともと郊外に住んでいたタヌキは開発で住処を追われ、さらに山奥に逃げ込んだものと、その逆に都心へと逃げ込んだものとがいるらしい。東京都心が野生動物の逃げ場になっているとは、なかなかの皮肉である。
     紹介されている内容は、都会に住む者にとって身近な場所での動物たちの微笑ましい姿が多く、素直に面白い。
     だが、時折現れる著者の思いや、その背景を考えると、単純に「自然を大事に」という理想論を伝えようとしているだけではない。色々考えさせられる内容だった。

  • 2018/11/26 詳細は、こちらをご覧ください。
    『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1100.html
    2008/10/4 読みました。
    「ネイチャーリーダー初級講座」 というのに参加しています。
    「自然案内人入門」 講師 佐々木洋(プロ・ナチュラリスト)
    講師の先生の本には、目を通しておかねば! というわけで、
    「街の虫とりハンドブック」 とあわせて 前日に この本も読みました。
    この本では、東京で暮らしている生き物たちの話が、わかりやすい語り口で書いてあります。
    まるで、佐々木さんが 目の前で話してくれるかのよう! 楽しい本です。

  •  都市の野生生物たちを紹介。カルガモとマガモのハイブリッド(マルガモ)、ゴイサギなど動物園をエサ場にしている動物園ビジター、ゲンゴロウなど都市部では見られなくなった生きもの、ミシシッピーアカミミガメなど野生化した元ペット、釣り糸など人間の出したゴミの被害にあう動物などがとりあげられている。

  • 豊かな自然とは大都会東京にある。

    そんな風に常識を覆す本。

    実は東京で見られる珍しい動物を教えてくれる。

    人間のエゴを知らしめてくれて、人間が動物に対してやさしさからしていることがどんなに不幸なことかを具体的な例で紹介してくれている。

    対象年齢は低めなので、めっちゃ読みやすい。

  • 4-06-212038-0 141p 2005・4・15 2刷

  • 第51回青少年読書感想文全国コンクール課題図書

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著者プロフィール

プロ・ナチュラリスト®️。東京都出身、在住。プロフェッショナルの自然解説者として「自然の大切さやおもしろさを、多くの人々と分かち合い、そのことを通じて自然を守っていきたい」という思いのもと、国内外で自然解説を続けている。30年以上にわたり、40万人以上の人々に、自然解説を行う。著書に『都市動物たちの事件簿』(NTT出版)、『ぼくらは みんな 生きている』(講談社)、『きみのすむまちではっけん! となりの「ミステリー生物」ずかん』(時事通信社)など多数。NHKテレビ『ダーウィンが来た!』など出演。BBC(英国放送協会)動物番組アドバイザー。NHK大河ドラマ生物考証者。

「2023年 『生きものハイウェイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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