- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062134200
感想・レビュー・書評
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再読。
話題の「ファナモ」、原作はこちらです。
こちらの後半に入っています。
原作というより原点というか、前日譚というか。
おそらくまだファナモがそんなに普及してないだろうと思われる頃の、別のカップルのエピソードになっています。
ファナモの利便性は、やはりその非・不潔感にあるのだろう。
あくまでも「清潔感」ではなく、非・不潔感。
その隣に握り寿司が置いてあってもつまんで醤油などをつけて小粋に口に運ぶことができるくらいの。
恋人達の間ではお互いの体の一部としてそれを交換しあったり、アクセサリーにして身につけたり、
別れの時にはまるで置き手紙よろしくテーブルの片隅に残していくやり方が流行るにちがいない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここに出てくる宇宙人のフェイクですらない存在感。一周して逆にヒリヒリするとか、そういうことでもない。
ただそこにいることで、確実にその背景を支配してしまう存在でありながら、自覚もないし、主体性もない。登場シーンの段取りの悪さは、むしろ信頼に足るほど。
僕は、作品と現実を対応させて読むという旧来の読書スタイルやリアリティに、読み手として、もうすでに無理を感じているところが大きい。
スカした言い方をすれば、それはつまり、「ポストモダン以降の文学の前提」であり、この作品では、「宇宙人の記者会見」がその役割を担っていたと思う。
そしてとにかく主人公の思考が些末。ここに共感を覚えずにはおれない。
併録の、『ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ』では、女性目線で語られる自意識の現代バージョンに、細部でたくさん笑わせてもらった。
八つ当たり的に、「転べ!」と念じるところなんて、もうなんかその気持ちが分かりすぎてカタルシスを得た。
大災害のあったその日に株価の話をしている人間がたくさんいるような世界で、唯一の救いとなるリアリティとは、こういうものだ。 -
38度の熱がある時に、横になりながらこれを読んでる自分はなんだw 頭の中のセリフをそのまま文章化したような感じの文体。新感覚SFか。
発想や設定は斜め上なようでいて妙に親近感を覚える。そこそこ共感はするけど…他のも読みたいかどうかはわからん…人を選ぶ小説・作者だと感じる。 -
「恋愛の解体と北区の滅亡」4…宇宙人の侵略中にSMクラブに行く主人公。そのやりとりがリアルなほどおかしみが増していく。
「ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ」3…美意識最優先のタクヤのいきざま。着想とタイトルだけで成立。 -
再読ですけれども、割かし面白かったですかね! 著者の…というか、主人公の思考がつらつらと書き綴られるんですけれども、それだけでもう、これは著者の力なのか…面白いんですね!
ヽ(・ω・)/ズコー
宇宙人の設定とかねぇ…一応あるんですけれども、あってないようなものっていうか…ただ小説っぽくするためにこのような設定を設けたんでしょうけれどもね。
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、そんなわけで前田氏は本来、劇作家なんですけれども、文芸とかいった分野の外の人が小説を書くと意外と面白いものが出来上がるんだなぁ…みたいなことを思いつつ、さようなら。
ヽ(・ω・)/ズコー -
宇宙人に侵略されている近未来の話なのかと思いきやあくまでも日常を描いている。前田司郎さんは日常を切り取るのが本当にうまいなぁと思う。そして日常の中にある非日常を描くのもリアリティがある。好きな作品。ファナモのほうもファナモという概念をすんなり受け入れることができるし、かと言って押し付けがましくないし、日常で、素敵だった。