だいにっほん、おんたこめいわく史

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 86
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062135245

作品紹介・あらすじ

ロリコンで成り上がり!憲法を地上げ!美少女を官軍化し、遊廓を復活!独裁政権を牛耳り、反権力を自称!その名は、おんたこ!!!世相の病的深層を近未来に託して描く、戦い続ける前衛のさらなる奇書!さあ、時代の醜悪さを文学に、留めよう。

感想・レビュー・書評

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  • 文学

  • お馴染みロリリベの知感野労に牛耳られた笙野ワールド、あくまで「にっぽん」ではなく「にっほん」のシリーズ第一弾。アメノタコタラシノミコトを信仰する御章魚教(みたこ教)は、アメノタコグルメノミコトによって読み替えられた「おんたこ」に迫害され、中興のカリスマ野之百合子も失踪したまま。

    一人称「うちども」のみたこ信者、一人称「おたい」のF市の遊郭の少女の霊、一人称「もれ」のS倉の古墳の主の霊など、なんだかよくわからないものが跋扈して、基本的にわかりやすいとはいえない笙野作品の中でもさらに本作はわかりにくい部類に属するかも。

    個人的には100才の笙野頼子による小説内小説「笙野頼子の後半生」が面白かった。

    彼女の戦いは被害そのものだけではなく、結局被害妄想に見える事との戦いだったのである。(中略)不当に扱われ説明し続ける事が彼女の文学になっていたのだった。それは私的な不幸の問題を公的テーマとして構成しなおし、説得するという作業であり、まさにアンチ国家的な書き物であった。またそんなアンチ国家を語るために彼女は様々な空想上の、幻の国家を書くようになった。(P126)

    ・・・というくだりなど、笙野作品の成り立ちをよく現していると思う。巻末の著者自身による解説「言語にとって、ブスとはなにか」よりも、この「笙野頼子の後半生」のほうが笙野作品への理解の一助になるかも。

  • おんたこが支配している日本の近未来の話。
    かなりぶっ飛んでいる。
    しかし、全く荒唐無稽の話にも思えず、逆に今の日本に似ているかも…と恐ろしく思うことも何度も。
    作者のユーモアが救いの文章。

  • 私的な不幸を公的テーマに捉え直す笙野文学。今回の敵は、『絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男』同様、確信犯的左翼知識人、ロリコン、数の論理の市場原理、そして他の笙野本にも共通する国家神道によって抑圧された神仏。これらが日本の近未来、「にっほん」に跳梁跋扈している様をいつも以上の独特のリズミカルな(?)文体で描く。作中メタ(メタ・メタ)小説も導入され、物語中の作者笙野頼子は、この「にっほん」国を徹底追求して、自ら狂気に陥ってしまうというオマケつき。ほらほら聞こえる?すっちゃんすっちゃんすっちゃんすっちゃん。

  • 読まないうちは死んではいけないよあなた

  • 駄目だ、放棄!

  • 6/13

  • 読了:2009/10/26 図書館

    「知と感性の野党労働者会議(知感野労)」

  • 2008/12/7購入

  • 大変そう。
    [2007/12/25,]図書館で借りた

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著者プロフィール

笙野頼子(しょうの よりこ)
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。
81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。
著書に『ひょうすべの国―植民人喰い条約』『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』『ウラミズモ奴隷選挙』『会いに行って 静流藤娘紀行』『猫沼』『笙野頼子発禁小説集』『女肉男食 ジェンダーの怖い話』など多数。11年から16年まで立教大学大学院特任教授。

「2024年 『解禁随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

笙野頼子の作品

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