愛と癒しと殺人に欠けた小説集

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 85
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062136730

作品紹介・あらすじ

描かれるのは、ありふれているけれど奇妙なこの世の真実。しごく真っ当にして、やっぱり変な六編からなる小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 私は十分な癒しとちょっとの愛を感じられた。まえがきにある通り、一般の小説に見られる愛や癒しや殺人は少ない。なんというか、石橋をミリ単位で叩いて渡るような繊細な作業が重ねられたんだろうなと思えるような文章。愛と癒しと殺人を避けるというはあと今だと露悪とか、とにかくそういう盛り上がりを排除して小説を仕上げるのはきっととてつもない技術なんだろう。
    「ヌード・マン」と「えりの恋人」が好きでした。

  • 3時間

  • 何という訳ではないけど、どうしようもなく日常でのふがいないできごと
    誰しも思い当たる節があるであろう、かなしみ

  •  小説は世界を映す鏡という二百年前の人物による定義に、だれに頼まれてもいないのに、今さら一票を投じることにする。世界は理解されなくてはならず、世界は生きている人々の眼前に像として提出される必要がある。小説にはそれができる、と信じたい。私の小説がどうかのかは、また別の話。
    (P.14)

  • 「なぜだっていいよ。君と握手をしたいんだ」
    描かれるのは、ありふれているけれど奇妙なこの世の真実。しごく真っ当にして、やっぱり変な6編からなる小説集。『新潮』『群像』ほか掲載を単行本化。
    (2006年)
    --- 目次 ---
    ヌード・マン

    ローマの犬
    スキーに行こう
    微笑む女
    えりの恋人

  • タイトルすごくいいのに!

  • 著者の最新作「ポケットの中のレワニワ」のことを著者自身がTVで話されてるのを見ていて、ほう~こんな作家さんがいるのか~、読みたいな、と思ったのはいいのだけど、はて?なぜか著者名に記憶がある・・・、え?何か読んでたっけ?とふと「読みたい本リスト」を読み返していて、見つけました!そうかっ!この人か!と思い出し、最新作より先にリストに載せていたこちらを先に読んでみた次第。著者にとっては実験的な短編集らしいのですが、文学オンチの私にはどこかどう実験なのかはさっぱり?ヽ(´ー`)ノ
    でも、このある時間&空間をそのまんま切り取ったような何の示唆も特に込められたようなメッセージもない話というのは意外に深い余韻を残しますねぇ?
    私は最後の「えりの恋人」が気に入りました。(最初の「ヌード・マン」も印象深かったですけど。)
    で、その著者の“実験”のひとつで、「あとがき」を「まえがき」にされてることがあるんですけど、その中で、

    『断言できるのは、恋愛やら家族愛やらを深刻に、感動的に描いたり、また読者の心を癒したり励ましたり共感を得たりすることを直接の目的として、これらの小説は書かれていないということだ。小説の目的とは何か? となると面妖な話題になりそうなので素通りしたいところだが、小説を読んで愛やら癒しやらを感じるとして(あるいは逆に、非常な残酷さや恐怖、また笑ったり泣いたりすることでもいい)、そういったものは小説の本質そのものではないと私は考えているのである。このような要素が小説の魅力になるなら、それは素晴らしいことだ。だが、なくたって構わない。』

    とあるんです。なるほど、そういうことか!と、なんか自分の中の言葉できないけど言いたい!みたいなものを表現する言葉を教えてもらったような気分になり、かなり気に入りました、この作家さん。

  • タイトル&前書きがあるという珍しさに惹かれて。6つの物語。それぞれ話は違えど全体的なトーンは似ている。しょっぱな「ヌード・マン」の世界についていけず。最後の展開が私の嫌いなタイプ。なのでその後の話にあまり期待しなかったんだけど、思いがけず楽しめたものも。この中では「掌」がいちばん好き。最後の「えりの恋人」も嫌いではないけど、ちょっと分かりにくかったために後味が微妙。

  • タイトルは素敵。

  • 装丁とタイトル惚れ。まあまあ。

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著者プロフィール

伊井直行(いいなおゆき)
1953年、宮崎県生まれ。83年「草のかんむり」で群像新人文学賞、89年『さして重要でない一日』で野間文芸新人賞、94年『進化の時計』で平林たい子文学賞、2001年『濁った激流にかかる橋』で読売文学賞受賞。他の著書に『お母さんの恋人』『青猫家族輾転録』『愛と癒しと殺人に欠けた小説集』『ポケットの中のレワニワ』『岩崎彌太郎「会社」の創造』『会社員とは何者か? ─会社員小説をめぐって』などがある。

「2016年 『尻尾と心臓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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