- Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062141246
作品紹介・あらすじ
明治36年、できたばかりの東京・日比谷公園で開かれる「公園裁判」。謎の"原告"に、ミッション・スクール同窓の5人の"被告"。その一人・元屋夏雄の妻は、夫の過去を尋ねて、彼らの青春時代を辿っていく。
感想・レビュー・書評
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またしても設定が明治時代、この時代好きだなぁ。
突然元屋家に送られた「公園裁判」なる葉書から物語は始まる。時を遡り学生時代「あの夜に何が起こったのか?」真相を知るため、久しぶりに旧友たちは集結する……かもしれない。
ある夫婦が失踪してしまった事件の日、彼らと親交のあった元屋夏雄ら五名の回想がメインとなる。しかしこの小説はほぼ無関係とも云える夏雄の妻セツが視点だ。終盤になって「そういえばどうしてセツの視点だったんだろう」と思うほど、彼女はメインではない。だが家族再生の物語、ある夫婦の物語と思えば、確かに彼女は主体となっている。母親とは本当に強い。この時代ならなおさらだろう。さらに女らしく猪突猛進というか、直感や感情のままに動くところがまたおもしろい。
前半は若干のろのろとしているし、何よりすべて簡単にわかりそうなものなのに単純にたどり着けないもどかしさがある。夏雄の手紙からは俄然スピードが入り、「あの夜何があったのか?」から「あの夜誰もが隠し事をしていた」ことがメインとなってくれば、あれこれ想像しながら元屋夫婦の行く末を見守るためページがめくられる。
「何が起きたのか?」というミステリより家族小説として楽しませてもらえた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
また明治時代の話。
前の登場人物が出てきます。
日比谷公園といわれてもぴんとこないなぁ。 -
途中まで、私にはただ冗長な物語だったんだけど、途中から俄然面白くなってくる。日比谷公園が完成した明治時代が舞台で、当時の世相空気を織り込みながら、「10年前のあの晩に何があったのか」好奇心を刺激する物語になっている。骨太で良質のミステリだ。 この作品の題名が「レイニー・パーク」で、てっきり現代が舞台の物語だと思ったら明治時代が舞台だったように、とにかくいろいろな意味で、信用ならない物語だ。明治時代だと油断してると、「おおお」現代の世相を風刺し、あてこすってるとしか思えないような箇所もあるし。こういうの「上手い!」って言うんでしょうね(笑)。 謎解きの物語であると同時に、家族の物語でもあって、セツと同じぐらいの男の子がウチにもいるので、失踪した夫の行方を追って奔走しながら真相に迫っていくセツを応援してました!やきもち焼いてるセツも可愛かったな。くすくす。隠しテーマは「家族の再生」だったのかしら。 とにかく、物語の真ん中に「公園」ありき。タイトルの意味が明かされたクライマックスには感動。胸が熱くなったわ。現代では当たり前のようにどこにでもある「公園」の本質について、考えたくなる本かも。