紅水晶

著者 :
  • 講談社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062143875

感想・レビュー・書評

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  • 歌人だけあって、言葉のチョイスが素晴らしい。圧倒される言葉の数々に、不思議な浮遊感を味わいました。

  • いくらでも読んでいられる文章。惹かれる。

  • 詩人さんだけあって、小説の中でもとても美しくて独特な日本語の使い方をされているというのが、強く印象に残った。
    「顔の真ん中へゆっくり沈み込んでいく石」などの表情や心情の表現の仕方が、本当に面白い。人間と自然、動物、色彩、物などが溶け合うかのような。
    実際、動物や植物の記述も豊富でお話がいっそう豊かに広がっていた気がする。
    ただ、話の展開にあまり入り込めなかった。それと、ぼんやりしている主人公の話(「くらげの庭」「紅水晶」)は、彼女らにちょっとイライラした笑
    白黒ハッキリつけられないのが人間だとは思うんだけど、あまりにもぼんやり続きで。
    最後の短編、「六角形」はすごく面白かった。たくさん話して感情を露わにする方が、まあわかりやすいんだろうし。

  • なんとなく不穏な雰囲気の短編集だ。
    蜂飼耳は詩人だと思っていたけれど、物語れる人でもあるんだなぁと思った。物語が、きちんと物語として立ち上がっていて、一方でさすが描写は詩的であり抽象性を強く帯びる箇所もある。ただ、それは計算された抽象性であって決して不足ではない。
    石屋の男と薬剤師の女を描いた表題作が一番不穏で危うく胸に残ったが、バンコクの空港で出会った娘ほどの女とのやりとりから「子孫を残す」ことについて思いを馳せる女の話と、らんちゅうを飼育し森を歩くのが趣味の女の話のほうが好みだった。

  • 心の奥底が、しん、と冷たくなる。暗くなる。
    石の肌のように冷たくて、出来たての傷みたいに血生臭い。
    催眠にかけられるように
    すっと染み込んでくる文章。

    不安になる。音が消える。

  • 2010/01/14 文章が深遠というか美しいというか。静かだけど狂気の物語なのだろう。

  • 短編集なのだけど、前半の話なんかがすっごく良くて、静かで繊細な世界観が好き。
    借りた本だけど改めて自分で買おう、と思った。

  • 「週刊ブックレビュー」で紹介されていて気になっていた本です。とても美しいです。けれども感性が余りに鋭くて、所々怖くなりました。表題作が一番心に残りました。

  • 『こぼれ落ちる猿の声』

    「二十二歳の、この先まだたくさんの希望や絶望が待っている
     熟しきらない果実の顔」

    「雪は灰色の空から精子のように降り注ぐ。覆う。
     地を受胎させようと試みる。白く汚す」

    『紅水晶』

    「こんなところでなにをしているんだろう。夢でも見ていて、
     我に返る。そんな気持ちで素早くあたりを見まわす。
     ものを吹き飛ばすには弱すぎる風が、渡っていく」

    「灰色の無関心に見えたものは、優しさだったのだろうか」


    いちいちいいぜ。たまらないぜ。

  • 2009.02.06. 詩人さんです。筆名が印象的で、それだけずっと前から知ってたんだけど、どこかの雑誌でエッセーを読んだら好印象だったので小説も。独特の、言葉の遣い方をします。「庭のくらげ」が好きです。全体的に、ちょっと、怖い感じがするのは気のせい?

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著者プロフィール

詩人。1974年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。詩集『いまにもうるおっていく陣地』(1999年・紫陽社)で、第五回中原中也賞を受賞。現在、詩作の他、「週刊朝日」「図書新聞」などにエッセイを連載。

「2003年 『ひとり暮らしののぞみさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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