長い終わりが始まる

  • 講談社
3.15
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感想 : 160
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  • Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062147873

作品紹介・あらすじ

大学4年生の小笠原は、マンドリンサークルに入っている。未来になんて興味がなく、就職活動よりも人間関係よりも、趣味のマンドリンに命をかけている。そして、とても好きな人がいる。いつまでも流れていく時間を描いた青春文学。

感想・レビュー・書評

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  • なにやらちくちくとするのは、小笠原さんの自意識だったり、田中の曖昧な言葉だったり。
    大学生の頃の必死に自分の居場所を探していた感覚を思い出した。
    皆となんて面倒だと思いながらも、皆の中でしか生きられない苦しさとか。
    今もたいして変わってないかもしれない。

    声が好きだとか、優しいとか、何か1つで人を好きになることは出来るのに、自分のことはそれだけじゃ好きになれないみたいだ。
    小笠原さんの孤独感は、自分を好きになれないことが原因ではないかと思う。
    身に憶えのある感覚。
    それが少し不快でちくちくする。

  • 図書館で借りた本
    大学生の話だけど、今でも面白く読めた。小笠原さんは刃物のようで危うい、屈折だけど、田中くんをいいと思うのはすごくわかる。あと、音楽いいなと思う。

  • 図書館より。
    大学4年の小笠原(23歳女子)はマンドリンサークルで活動している。
    小笠原の目には、サークル仲間のほとんどは「友だちを作るため」とか「思い出作りのため」にチャラチャラとサークル活動をしているようにしか映らないが、自分はあくまで芸術のために活動しているという自負がある。楽器に対する勘も悪くないと思っている。それなのにサークルの中で上の立場にはつけないことを不満に思っている。
    そして同じサークル仲間で4年の田中(22歳男子)はきっと自分と同じだと思い、小笠原は田中に好意を抱いていたが…。

    私は団体でやる部活やサークルで活動した経験はないけれど、たぶんこの小説、すごくリアルなんじゃないかと思う。
    とくに大学のサークルともなると、目的や真剣さも人それぞれかなり温度差があるだろうし、活動していく中で仲間同士ぶつかったり、「あの人が気にくわない」「あいつより自分の方が上手いのにどうして」みたいな不満が生まれるのは絶対に避けられない。

    主人公の小笠原は、言ってしまえばとても青くて痛々しい。
    周りが惚れて認めるような絶対的な才能はないけれど、器用ではある。「自分は周りとは違う」という自意識のために、和を乱したり身勝手な行動で困らせることも多い。そしてそんな自分を省みることはない。

    とても短い小説で、タイトル通りはじめから終わりに向かって走るような雰囲気が漂っている。
    とくに大きな事件が起きるわけでもない物語は、大きな事件はそうそう起きない現実とリンクしていて、そういう部分もとてもリアル。
    すかっと爽やかではない。でも最後、小笠原のちょっとした達観は、大人への第一歩なのかもしれないと感じた。

    田中も、こういう男いそうだなと思った。若い頃、なぜかかっこよく見えてしまったボーイフレンド、みたいな。
    後になって思い返してみたら、何で好きだったんだっけ?と思うタイプ。笑
    そういう相手に少し寄り道してしまう痛々しさも、リアルな青春だ。

    大好きとは思わないけど、何だか引っ掛かる小説だった。

  • 世の中は、こんな話ちっとも好きじゃない、って人ばかりなんだろうなあ、きっと。わたしは切実に好きだ。泣きたくなる。

  • 最後の1ページだけに共感。
    「小笠原は真剣にひとりっきり。今まで生きてきて、誰からも好かれたことがない。」
    まるで自分のことみたい。

  • 音楽やってる人には面白いのかな。
    でも、小笠原の偏りすぎる真面目さには付いていけないかな。
    そして田中の事も好きになれない。
    そんな2人のサークルを通しての情景。

  • 今まで読んだナオコーラ作品ベストスリーに入る。
    大学のマンドリンサークルに真摯に命かけて取り組む小笠原。コンダクターの田中のことをずっと好きだけど、田中には彼女がいて、その彼女とわかれても小笠原は彼女になれない。働く自分が想像できなくて就活に身が入らずに内定も貰えない。何かのためとかじゃなく、今できるマンドリンに精一杯打ち込むことを無駄だなんて微塵も感じない小笠原。小笠原が人間を知る瞬間のシンプルな温かい文章と風景描写が素晴らしく、脳内スクリーンフル稼働でした。

  • 私論ではあるが、純文学において、3人称はいまいちだと思っていた。
    しかし今作は違った。しっかりと、思い、描写が伝わってくる。
    小笠原の感じる、『音』や『匂い』を同じように感じてみたいと思わせてくれた。

    「好き」ってなんなんだろう?
    誰かに好かれることなのだろうか?
    こんな感情にも「意味なんてない」のかもしれない。

    すごく素敵な小説でした。

  • おんなのこにはわかっちゃう。ほかのよりずっとずっとすき。

  • 山崎ナオコーラさんの本は、読んだ後の感想に困ります。

    面白いともちょっと違うと思うし、感動するとも違う。
    独特の感じです。

    それでも、好きな部類に入ってしまうから、また不思議です。
    ただでも、感想文書くの下手なのに、この人の本は、ホント感想書きづらいw


  •  小笠原、田中のようには、なりたくはない❢

  • 誰からも大切にされない、必要とされない女の子。女という性でいることは、常に求めらることに価値があり、自分の為になったことがない。小笠原の気持ちが痛いほど胸に刺さる本でした。

  • #ほどほどに一生懸命うまくやる始まる長い青春の終わり

  • 自分には合わなかった

  • サークルという特別な空間の周りの人の優しさ。類は友を呼ぶ。それを素直に受け入れられない自分。社会に出たら失われていくもの。
    久々にプレ2、星コン弾きたい。

  • 136:ゆっくりと、じわじわと、わかるような気がする。マンドリンと田中、長い終わり。このお話をこれ以上具体的に書くことはできないだろうなぁ、とも思う。「人のセックスを笑うな」から続く、心地よい共感とどことない寂しさは、わりと好きです。

  • ナオコーラさんの文章、好きです。

  • 私はサークル活動していなかったけど、学生時代にサークルのことばかり話す友達がいて、その子のことを思い出した。

    高尚っぽいことを語っていても、
    結局は学生の自己満足やワガママ。
    でも、それが青春なんだな。
    それが全力でできるっていうのはある種の才能だと思うのです。

    私はこの小説を30代で読んだけど、
    青春まっただ中でサークルに没頭している大学生が読んだらどうなんだろう。
    「この人、●●っぽい」とか、知り合いに重ねながら読むのかな。
    でも、サークルに没頭している大学生は、きっとこんな小説は読まないんだろうな。

  • 小笠原さん大変やな。わかるわあって部分と、わからんわあって部分と。

  • 先日、山崎ナオコーラさんの「長い終わりが始まる」を読みました。

    ちょっと前に、「ご本、出しときますね?」に山崎ナオコーラさんがゲストで出てて(平野啓一郎さんと一緒に)、その回を見た僕は、久しぶりに山崎ナオコーラさんの本を読んでみようと思い、今回読んでみました(ちなみに、山崎ナオコーラさんの小説は、「人のセックスを笑うな」と「カツラ美容室」を、以前に読んでます)。

    う〜ん、個人的には、あまり引っかかりませんでした・・・。

    出来が悪い小説ってわけではないんですけど、純文学の小説って、忙しくて、心や時間に余裕がなかったりすると、アンテナに引っかかりにくいのかも、と思ったりしました。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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