帰命寺横丁の夏

  • 講談社
4.17
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本棚登録 : 248
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062171731

作品紹介・あらすじ

死んだ人が生き返る!?

帰命寺横丁からあらわれた幽霊の女の子。気がつけばクラスの一員だった!!

祈れば生き返ることができる「帰命寺様」から、くりひろげられる柏葉幸子の大ファンタジー!

感想・レビュー・書評

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  • 次々読みたくなるくらい面白かった。

  • 子どもの頃、大好きだった柏葉幸子さん。久しぶりに読んだけれど、やはり大好きです。
    夏、お盆のころに読めばよかった~とちょっと残念なのは自分の都合。お話にはとても満足。

    主人公のカズは、ある夜中、家の仏間から出てくる女の子を目撃する。
    ゆ、幽霊?!驚くカズにさらに驚くできごとが。次の日、学校にその女の子がいて、しかも周りの友だちは以前から彼女を知っていて「同じクラスのあかり」だという。
    同じ日、古い地図で自分の家の辺りがかつて「帰命寺横丁」と呼ばれていたことを知るカズ。調べていくと、死者が生き返るという帰命寺さまの怖くて不思議な言い伝えにたどり着く。

    がっつり和風のお話なのに、表紙には遠くお城と魔女・裏表紙には騎士の絵に「?」と思いながら読んでいたら、なんと贅沢に作中作!
    この作中作が本編に劣らずとてもわくわくするファンタジーで、これだけでも一冊読みたいくらい。
    謎の「作者」ミア・リーの正体と、この夏に書かれた続きの物語と新しい結末が、また素敵。

    ――人生は平等に一度きり。だから生き返ってやり直すのはずるい。不公平じゃない?
    帰命寺さまの存在を否定する派の人たちの言い分は、もっともすぎるほどもっともなのだけれど。
    帰命寺さまの力で甦ったあかり、彼女を守ろうとするカズ、帰命寺さまがあってはならないと思いながら揺れる水上さん。
    それぞれの気持ちは、言葉にすれば否定・肯定と正反対のようだけど、どちらか「だけ」が正しいというものでもない。むしろ、どちら「も」正しいといえるもので、着地点をどうするのか、最後までどきどきしたけれど、そんな心配は柔らかく吹き飛ばされる。
    道理も不思議もすべて包み込む、懐の深い優しい結末だった。

  • 面白かった!
    最初は子供の読み聞かせ本だったんだけど、もしかして幽霊?ってところでチビちゃんはドン引き。
    子供にはちょっと難しい内容ではある。
    今のうちのチビちゃんにはまだかな。再読して欲しい本。

    作中の物語の方が正直、帰命寺のお話より面白くて、これが始まると読むテンポがグンと早くなる。
    ドキドキするファンタジー。
    魔法使い、宝探し、王子さま、呪い、血筋の不思議な力。

    キャラクターは帰命寺の面々の方が魅力的なのになあ。
    なんと言っても水上のばあさんが素敵。何時の間にか子供の視線に降りてきてるところとか。
    なにしろ、前向きだし。
    こういう元気なおばあさんも柏葉幸子ワールドだよね。

    帰命寺と石の鳥の話が最後は一つの結論になる。
    「昔思ってたストーリーとかえましたか?」
    そこ気になるよね。
    最後は爽やかだけど、寂しいような、でもこれがベストな終わり方なのかも。甘くもなく辛くもなく。
    少年のちょっと大人になった夏休みの出来事。

  • 主人公の小学校5年男子・カズの家は、帰命寺様といって祈れば死んだ人を返してくれる神様がおられる地、らしい…。


    カズの渾名はサード。野球部でサードだったから、というだけではなく、頭の出来も、運動能力も、女の子の人気も三番手だから、と担任の先生がつけた、っていうことなんだけど、これって酷くないですか。
    でも、本人はそんな立ち位置が結構気にいっている、というところが、なんか、「今の子」をリアルに感じさせてね・・・。

    そして、そんなカズが経験した夏のお話。
    なんと、ある日の明け方、カズの家から見知らぬ女の子が出てきたと思ったら、その子がずっと前からクラスメートだったということになっていた!!!??

    帰命寺横丁という、みるからに怪しげな町名から、これはホラー系のお話??となるところを、その町名をカズの家族が知らない(そして、町の主だった人たちは知っていて、しかもみんなで一所懸命隠している)という流れがとても面白い。

    そっか、人が蘇ってくることに対して、賛成派と反対派がいるわけね、と。

    カズが、夏休みの自由研究を錦の御旗として(*^_^*) あれこれ探る過程が小さな町のさもありなん、といった風情を感じさせるところもよかったです。

    入れ子になっている劇中劇的お話も、不思議なテイストで読み応えがあり、私はむしろ、そっちに興味をそそられたくらい。
    泥をかく特殊な能力を持つ一族。「石の鳥」に買われた女の子は、日がな水に入って宝物を探すのだが、陰鬱な筆致が異界の不気味さを際立たせ、また、ふっと気がつくと本編との関わりをあれこれ考えさせもして、と。

    サードであるカズがサードのまま、活躍して、なかなかのナイトぶりなのがよかったです。
    柏葉さんは「つづきの図書館」に続いて二作目。
    児童書の形はとっていますが、大人が読んでも十分面白い所も一緒です。

    • ハムテルさん
      感想を拝見している途中から、読みたくて仕方なくなりました。
      感想を拝見している途中から、読みたくて仕方なくなりました。
      2011/12/24
    • じゅんさん
      >ハムテル様 うん、これは面白かったですよ。(#^.^#) 同じ作者による「つづきの図書館」も児童書の形は取ってるけど十分読ませられましたし...
      >ハムテル様 うん、これは面白かったですよ。(#^.^#) 同じ作者による「つづきの図書館」も児童書の形は取ってるけど十分読ませられましたし。
      2011/12/24
  • 児童書だけどおもしろくて夢中で読んだ。電車の中で読んでいたら、物語にのめり込んで、自分が電車に乗っていることすら忘れてしまった。

    柏葉幸子さんの本、すごく久しぶりに読んだ。そして、これはピカイチだと思う。

    命、思いやり、人とのつながり、などいろいろ考えさせられた。
    挿入話の「月は左にある」も迫力があり、外側の話との関係も見事だった。

    満足。

  • 私が一番好きだった児童文学の作者が柏葉幸子さんだ。子供が大人の保護、管理の下を離れ、不思議な経験や冒険を経て成長する、王道でありながらも夢中になる物語を書く作家さんだ。
     
    この本は、甥や姪に贈るために買ったもの。2011年に初版が出たものであり、私が夢中で読んでいた小説から30年以上の時を経て書かれたものだ。
    私も大人になってしまい、かつてのように児童文学に夢中にはなれなくなってしまった。

    しかし、だ。やはり柏葉さんの「世界」は健在だ。
    この物語は、魔法や別世界が出てくるファンタジーではなく、現実っぽい世界が舞台だが、主人公が直面する「謎」と「不思議」、そして登場人物が夢中で読む「ファンタジー小説」が合間に挿入され、「日常」にバランスよくファンタジーがミックスされている。「はてしない物語」を思わせるような作りになっている。

    柏葉幸子さんの小説としては「霧の向こうの不思議な街」や「りんご畑の特別列車」などを推したいが、これらの本を読んでいた時から30年が経ってなお、新しい小説に触れることができることを感謝したい。

  • 「帰命寺様に祈って、どこかで死んだ人に似た人をみかけると、ああ、帰命寺様にお祈りしたから生き返ってきたって思うんだろう。祈れば帰れるっていう単純なものらしい。―」祈ると生き返ることができる「帰命寺様」。生き返ったあかりの運命はいったいどうなるの?夏休み、小学五年生のカズが奮闘する。

  • 亡くなった人をまた生きさせてやりたいと願うと、どこかで生き返らせてくれるという「帰命寺様」。
    生き返ったとおぼしき女の子にたまたま気づいてしまった小学生のお話と、最初に生きていたころに女の子が読んでいた物語が交錯するファンタジー。
    しまった、真夏か真冬に読めばよかった

    面白かった。
    馬鹿だなそっちいっちゃだめー!とハラハラしたり、主人公が嫌な奴だと思った相手が本気で憎らしくみえたり、主人公の視点を素直にそのまんま楽しめた。
    作中作の物語がまた魅力的で、これなら続きが気になるのも無理はないと思える。
    どうリンクするんだろうなんてことは考えずに物語自体を追っていた。
    (でもちゃんとリンクしてる)

    決着のつけ方が見事。

    「帰命寺様」で、グアテマラにマシモンという神様の面倒を持ち回りで見るという話があったのを思い出した。こういう信仰の形は結構あるのかな。
    「魍魎の匣」の中にも昔の神主が当番制だったという蘊蓄があった。

  • ふたつの物語が併走して全体が進んでいく。
    ひとつは、突然幽霊がクラスメートになって戸惑う主人公の視点、
    もうひとつは、その幽霊が何十年も前に大好きだったという幻の連載小説そのもの。
    前者は、いわゆる普通の小学校5年生の日常が描かれていて、
    後者は、魔女の呪いにとらわれた哀しい少女たちが、
    どうにかしてそこから自分たちと世界とを救おうとする話が描かれている。
    全くテイストが違う両者なのだが、根底では、
    「死んだものがよみがえるということ」という同一のテーマで繋がっている。

    淡々としたタッチの魔法の国での話も予想外に惹きつけられて、
    一気に全部読んでしまった。
    面白い。
    のだが、柏葉ファンとしては、
    もっと登場人物たちに大胆に冒険して貰いたかったというか、
    もっと文量が多くなってもいいから、
    幽霊の女の子や「帰命寺」の謎を深めて深めて深めて、
    そしてじわじわと紐解いて欲しかった、気もする。
    猫のキリコも水上さんも、キャラが立っているだけに、
    もっと動き回るところが見たかったなぁ。

  • おもしろかった~。
    柏葉さん、大好きですっ!!

    まず表紙がよいです。
    ちょっと懐かしい感じのする裏通りにふわりと立つ少女、
    道の向こうにはホウキにのった魔女の影。
    守り人シリーズの画家さんとのこと。
    好きなものがダブルできてるとなんか嬉しい。

    この女の子が主人公なのかと思い、
    魔女の影もあることだし、霧の向こうの、をちょっとイメージしたんだが、
    全く違うものだった。

    主人公は男の子、とゆー時点で、おやっと思う。
    どうもあの少女は幽霊的なもののよう。
    この設定が素晴らしいと思う。
    命が帰る寺。
    ただし、ただ生き返るんじゃなくて、
    全く別の人間として生き直す、とゆーこと。
    カズが水上のばあちゃんとかと話すうちに、
    幽霊でもいいじゃんか、誰に迷惑かけるでなし、生きさせろよ、と
    はっきりとあかりの立場にたつ決心をするとこが好き、
    なんかちょっぴりじんとした。

    影の魔女は、
    あかりちゃんが読みたがっていた話の登場人物だった。
    この話がまたおもしろくて、
    わたしもカズたちと同じく夢中になって読んでしまった。
    続きが知りたくてたまらなかった。
    んで、それをあのばあさんが書いたとゆー展開にびっくり。
    でも続きが読めてよかった。
    そして、消えなくてよかった。

    うーん、なんかうまく言えないけど、
    とにかく、このお話は好きだ。

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著者プロフィール

1953年岩手県生まれ。東北薬科大学卒業。大学在学中に講談社児童文学新人賞を受賞、審査員であった佐藤さとる氏に認められ、デビュー作『霧のむこうのふしぎな町』で日本児童文学者協会新人賞受賞。ファンタジー作品を多く書き続けている。『ミラクル・ファミリー』で産経児童出版文化賞フジテレビ賞、『牡丹さんの不思議な毎日』で同賞大賞、『つづきの図書館』で小学館児童出版文化賞、『岬のマヨイガ』で野間児童文芸賞受賞。他に「モンスターホテル」シリーズ、「おばけ美術館」シリーズなどがある。

「2020年 『オコジョ姫とカエル王子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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