- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062176125
感想・レビュー・書評
-
憲法改正国民投票を前に高校生がプレイベントをするという、実に現代的(?)な内容。ネットとメデイアを逆利用するスーパー高校生杉本岬の活躍が清々しく、しかも参考になる。
熊谷達也は本来はマタギ小説などの冒険小説を得意分野にしていて、政治小説なんて書く人じゃない。でも、ものすごく真面目に書いている。しかも、結果的にこれからの未来を予感させるような小説になった。連載は2011年2月号から2012年1月号まで。彼は仙台在住の作家である。偶然にも大震災の大変な時に被っている。原発のゲの字も出てこない。けれども、問題意識は変わったのかもしれない。
内容(「BOOK」データベースより)
憲法改正についての国民投票実施が決まった春、函館H高校女子生徒会長の杉本岬は、全国の高校生による模擬国民投票に向けて動き出す。メディアに取り上げられ有名人になった岬だが、掲示板サイトに彼女を批判する書き込みがされ苦境に陥る。岬の同級生の田中亮輔は地元パンクバンドのギタリストだが、憎からず思っている岬を助けたいと願いながらもなすすべがない。国民投票の結果は?そして、二人の恋と未来はどうなるのか?政治オタ女子高生とイマドキパンク青年が、もやもやした日々をぶっ壊す。
という内容です。題名は「さよなら、霧の日々」という様な意味。彼らのイベントのテーマであり、ミュージカルのテーマ曲です。
私は今の高校生、このぐらいやってもおかしくないと思う。ずっと前に私のブログにコメントくれていた中学生の女の子は驚くほどしっかりしていた。この本に関して云えば、高校が理解があり過ぎるとか、杉本岬がうまいこと有名になり過ぎるとかはあるけど、よく出来た政治ラブコメ小説になっていた。
ご存知のように実際の国民投票法も対象者は18歳以上になっている(ただし、法改正が必要)。まだ社会のしがらみに汚されていない高校生たちは、現実でもそろそろ動き出してもいいんじゃないかな。高校生だけのデモを企画して「僕たちにも投票権を」と主張してもいいんだよ。
大人もふにゃふにゃしてはいられない。
最後のページに主要参考文献が載っているが、(一応護憲派の本ばかりだったが)参考にしたのはこの12冊のみだったはずがない。例えば内田樹の「9条どうでしょう」の内容は所々に出て来た気がする。
2013年4月19日読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うーむ、これは新しいジャンル「政治ラブコメ」物語である。
いままでに無かった類の小説だと思うっす。
まあ、熊谷さんの作品だから、バンドとギター弾きが出てくるのはヨシとして、杉本岬という、そこだけ読むとぜったいに男の子の名前でしかない女子高生によって演出される物語はかぁなり面白い。そして、ちょと政治のお勉強にもなるんだなん。
と、ふんとにめづらしく本の中身に触れて書いているわたしが居たりする。
これわ結構ホントめづらしい。
まあ、それだけ面白い本だった、ということにしておこう。今のところは。 -
イラストの可愛さ、タイトルからは想像もできない、憲法9条の改正問題に、国民投票の権利を持った高校3年生たちが真剣に考え、向き合い、世論を動かしていく。田舎のいち高校生の岬の自己プロデュース能力、演説能力は凄い。今の日本にもこれくらいカリスマ性のある政治家が必要なんだろうな。無理に恋愛を絡める必要はなかった気もするけど。この本の前に読んでいた豊島ミホの『純情エレジー』の装画と本作の装画が似てるなーと思ったら同じ方だった。さやかさんというようだ。多分辻村深月の『本日は大安なり』とも一緒。2012/477
-
「邂逅の森」「箕作り弥平商伝記」
での熊谷達也さんとして意識していたので、
ちょっとびっくりした。
主人公達が高校生、それでやっていけるのかな
は 読み始めてすぐに杞憂に変わっていった
ストーリーテラーとしての
熊谷節はきちんと流れていて、
「女子高校生」「憲法九条」「ロックンロール」
の三題噺を見事に描いた傑作です -
読後感が清々しい。
いろんなジャンルで、ハズレなく面白い熊谷作品。 -
高校三年生が憲法改正のことを真剣に語り合う場面にはちょっとビックリ!というか違和感というか・・・高校生って本当にこんなに考え深く世の中を見ているのでしょうか、比して大人がだらしないのでしょうか。
とにかくも、胸キュンモノのスパイスも効いて読みやすく涙する場面も多かった。
カリスマ性ってことでも得るところの多い本でした。
実在してるのなら私も追っかけちゃうんでしょうね。キュン! -
憲法改正の議論が新聞を時たま賑わしてますよね。国民投票は18歳以上にしようとか、それだったら成人も18歳以降にしなければなんて。
で、このほんの舞台はその世界が実現したもの。国民投票に参加する高校生が学園祭を通してその是非を考える。
正直、そんなに考えたことはなかったけど、この本をきっかけになりました。
皆さんも如何ですか? 昔、一世を風靡した角川の青春映画みたいで面白いですよ。 -
面白かった!
憲法改正の国民投票について...と言うと固い話かと思われるが、表紙からしてラブコメ風。18歳の高校三年生にも投票権が与えられることになり、将来総理大臣をめざすカリスマ女子高校生が、学園祭で予備選挙を行うことを計画する。荒唐無稽に思えて、結構深くいろんなことを真っ正面から考えさせる物語だった。
私はラブコメは嫌いだけど、これは固い話を分かり安くするための隠し味になっていた。読後感はさわやかで暖かい。 -
函館の高校生が主人公
オレはパンクバンドのギタリスト、幼なじみは秀麗眉目な生徒会長
身分違いの淡い恋バナかと思いきや
憲法改正の国民投票だの
今回は高校三年生も投票権あるだの
で
お堅いややこやしい中身と構えちまいましたが
憲法九条をどうするか
難しい問題だけど真面目にとりくまないばとぐっときつつ
リアルには国民投票ないのでずっともんもんしちゃうだろうという予感…
何気ない日常を続けるにはどうしたら?!自分の答えを探さねばと…