僕たちの前途

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062180825

感想・レビュー・書評

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  • 起業家予備軍でもなんでもない普通の僕からしたら古市さんも十分すごい世界に身を置いているのがよーくわかる本だけど、「スケッチ」という手法で現在・過去・未来を淡々と描いてくれる感じが心地良い。未来は白でもなく、黒でもなく。当たり前だけど、それが本質かなと。

  • 若者の考え方って、昔と全然違ってるよね

    お金がある=幸せではない
    起業する人の考えがわかって面白かった

  • 私たちはかつてないほどの「自由」がある。
    しかしそれと引き換えに日本を支えていた「確かなもの」は
    失われつつある。かつ、この「自由」もいつまで続くか分からない。

    この最後に語られる前提の社会で、どう生きていくか。
    もちろん回答は書かれいてないが、そのヒントは多数本書にある。

    ”独立して会社を起こさなくても、人を巻き込めば「新しいこと」は
    始められる。”

    ”もし会社をたちあげるなら「企業理念」を考えないといけない。
    ビジネスが軌道に乗ったらもっと忙しくなるので、はじめに
    決めておかないと会社はバラバラになる。”

    ”自分の「専門性」は人と人をつなぐ力。ただその人を知っているだけでは
    だめ。その人たちが所属する「世界」のことを知らなければならない。”

    希望を目指して、考えて行動していくしかない。その一点のみ。
    古市さんの本は、難しくなくてほんとうによいですね。

  •  『絶望の国の幸福な若者たち』で現代の若者の姿を書いた著者が、なぜか脚光を浴びている「若手起業家」のリアルを描きながらこれからの若者の働き方について書いた本。前作同様、ソフトでシニカルな語り口と、饒舌な脚注が特徴的。

     実例として挙げている、著者の友人である起業家たちは少し(だいぶ?)偏っているように感じたが、それでも少し前の時代のように「会社の歯車にはなりたくない」「起業してやるぞ」と意気込んで起業家を目指した人ばかりではなく、専門性に秀でていたために必然的に起業してしまった人もいることはわかった。

     起業家とフリーターについて考察した第五章「起業家って言うな!」や第七章「あきらめきれない若者たち」は面白く読んだ。若い世代が新しい感性で起業を目指すような社会になれば景気が良くなるかのような、ひところの風潮には同じ疑問を感じていたので、共感できた。

    ”起業家への過剰な期待は、フリーター問題と表裏一体でもあった。ついこの間まで雇用の調整弁として評価され、「夢を追う人」の象徴でもあった「フリーター」が、一転して社会不安の元凶のように描かれるようになってきたのだ。
    (中略)
     だがフリーター問題の解決策が、いきなり起業家政策となってしまうあたりに、どうしても無理を感じてしまう。ていうか、無理だろ。(P.174~175)”

     起業家とフリーターという似たような存在のあいだにある、決して越えられない違いについても残酷な考察が加えられている。

    ”ポスト工業化社会では、必然的に「起業家」と「フリーター」の働き方やメンタリティが似てしまうのだ。
     両者を分けるのは、それにお金を払いたくなるような人がいる「専門性」を持っているかどうかの違いだ。働き方というスタイルの違いではない。それにもかかわらず、「意識」さえ変えれば、誰もが「非資格型専門職」になれるかのように、人々は煽られてしまうのだ。(P.258)”

    ”「非資格型専門職」と「フリーター」の境界線はすごく曖昧に見えて、実はそこには「見えない天井」があるのだ。だけど、「フリーター」から「非資格型専門職」への移行の難しさは、「個人の努力」の問題として片付けられてしまう。
     しかも「フリーター」自身も、それを「努力」の問題だと受け入れてしまう。何と言っても、気分はプロなのだから。(P.263)”

    ”先行世代が築いた豊かさの中で、夢をあきらめきるわけでもなく、かといって本気で夢を追うわけでもなく、「このままでいいのかな」という閉塞感を抱えながら、若者たちの日々は過ぎていく。(P.265)”

     また、自分の小さな世界で仲間とつながりたがる若者の気質が、専門性も文化資本も持たないフリーターにとってますます不利に働いていると推察する。

    ”つまりある種の「共同性」は「目的性」を冷却させてしまうのである。若者たちの生活満足度の高さが一部で話題になっているが、それは日本版「貧困の文化」という「共同性」の広がりが一つの理由なのかも知れない。(P.121)”

     ただ結論は前作同様、割と平凡だ。

    ”職業というのは、やりたいことを実現するための手段であって、その本質ではない。だから「起業家になりたい」「フリーで働きたい」というのは、本当は何も言っていないに等しい。そんなスタイルの話をしているならば、どうやって人がお金を払いたくなるような武器を身につけられるかを考えたほうがいい。
     この本に登場する起業家たちがそうであったように、何も「起業」を特別なことだと考える必要はないのだろう。(P.299)”

     普通の会社に勤めて仕事をしている立場から起業ブームを客観的に見ていて、当たり前に感じていることだったので少し拍子抜けしたが、これからもニュースでは知り得ない若者のリアルを発信していってほしい。

  • やっぱり興味深い。ぽえさん。。。

    非日常だとか友達、仲間、起業家などなど
    キーワードひとつひとつに古市サンの斜めな視点が絡んでいっていて、とっても刺激的。

    一気には、読めないので、
    のんびり、気ままに読んでます。

  • 著者の会社の宣伝を兼ねた著作。
    やはり、具体的なエピソードが面白い。
    なにより、著者自身が楽しんでいることがよくわかる。

  • この本で取り上げられている、古市さんと親交のある若き起業家の生き方、考え方、能力の高さに刺激を受けました。従来の働き方に囚われない新しい働き方の可能性について考えさせられました。

  • うーん

  • 古市さんの本を読み進めて5冊目。相変わらすの皮肉表現はあるけども、今までの本よりは比較的ずっしりした印象。前半は若い起業家のドキュメンタリーでキラキラしてる?世界、後半は労働/経済政策の中で起業家がどのように捉えられてきたのかや現代社会/将来における働き方について。
    個人の働き方を考えると同時に、
    能力とやる気がある人にとって自由な社会で、そこから漏れた人へ社会保障は何をすべきかっていうのを思う本。

  • 前著「絶望の国の幸福な若者たち」が面白かったので、古市さんの本二冊目。前作同様、ペーソス効いた脚注が秀逸。

    若者の働き方とか、"起業家"が持て囃される背景について、自身もベンチャー企業のパートナーであり、その交遊関係からの知見をもとに批評する。

    起業家が成功するためには、やる気や熱意、或いは経済資本としてのお金でなく、文化資本や社会関係資本が必要だ、とフランスの思想家ブルデューを引きながら、東京ガールズコレクションの成功ストーリーをしなやかな筆致で語るあたりが、この本の真骨頂だな。

    今どきの若者は凄い!!

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著者プロフィール

1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。2011年に若者の生態を的確に描いた『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、メディアでも活躍。18年に小説『平成くん、さようなら』で芥川賞候補となる。19年『百の夜は跳ねて』で再び芥川賞候補に。著書に『奈落』『アスク・ミー・ホワイ』『ヒノマル』など。

「2023年 『僕たちの月曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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