田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

著者 :
  • 講談社
4.03
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感想 : 167
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062183895

感想・レビュー・書評

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  • ブログでオススメされていた本だったが、良書。資本主義の経済に疑問を感じていた作者が田舎でパン屋を開業するお話だが、その主軸にあるのは資本主義経済の不安定性に対しての話。それに対してのマルクスの資本論もちょくちょく出て来る。
    安い食は安い職につながる、といった一言がとても印象的。いつかこのパン屋に行きたい。以下抜粋
    ----------------------
    ・労働者がめちゃくちゃに働かされるのは、資本家(経営者)のせいではなく、資本主義の構造上のもの。
    ・マルクス「労働者が労働賃金を現金で受け取って、工場主による搾取が終わると、その時彼らには他の部分のブルジョワ階級が襲いかかる。すなわち、家主、小売商人、質屋などなどが」
    ・資本主義経済の矛盾は「生産手段」を持たない「労働者」が自分の「労働力」を売るしか無い構造から生まれる。(労働者皆で生産手段を共有するのは共産主義)
    ・毎日のお金の使い方も経済を腐らせる一つの方法だと思う。お金には未来を選ぶ投票権としての力がある。何年かに一度の選挙の一票よりも、毎日使うお金の方がよほど現実を動かす力になる。

  • 今現在、安全な食を手に入れるのはここまで大変で手間がかかることなのかと愕然とした。日頃何食べてるんだろうか。発酵とかいろいろ興味深かった。

  • 利潤を出さない(資本を増殖させない)というところがもっともユニークに感じた。資本主義のルールの外に出ないと、資本主義の抱える諸問題から自由になれないという。

  • ちょっと前に韓国で流行った本で、ずっと読んでみたくて、
    やっと購入。この本に出てくるパンが食べてみたいな。
    きっと美味しいだろうな~

    自分のやるべきこと、やりたいことを見つけた著者は本当に羨ましい。著者のような生き方ができたらいいなと思う反面、今の社会では誰かが資本主義の犠牲になっているからこそできる生活でもあるのかなと考えたりもした。

    マルクスという言葉も久しぶりに聞いたし、
    100年以上も前の時代とあまり変わっていないこの時代に自分がどう生きていくべきか考えないといけないと感じた。

  • 読了。一気に読んだ。私より1才年上の人で、いろいろな生き方ができるのだと感銘をうけた。資本論の話も少しあった。20代前半は、フリータ、後半は、大学生。31才で新卒。その後4つのパン屋で修行して、千葉でパン屋を独立開業、震災を経て、岡山へ移住して、改めてパン屋を開業した話である。子供も二人いる。こだわりを持って生きると人生回りだすのかなと思った。

  • 334

    2016年では114冊

  • これはこれで素敵な暮らし方だなぁ、と思った。
    2時間くらいでサクッと読める分量も読みやすくていいのでは。
    天然酵母にこだわる田舎のパン屋さんが、(お父さんに読めと言われた)資本論も踏まえつつ、パン屋の設立の経緯や、経済についての考え方なんかをゆるゆると述べた本。
    明確な結論があるタイプの本じゃないので、時間対効果、とか言われると厳しいですが、まぁそういう人はきっと読まないでしょう。。

    こういう面白いパン屋さんがシェアされて話題になる、というのはまぁあるんだろうなぁ、と感じました。実際韓国でこの本が話題になって、お客さんが遙々押し寄せたとか。
    小麦アレルギーのくだり(実際には輸入小麦の殺虫剤のせい!?)は少々気になる話でした。

    ちょっとだけ引っ掛かったのは、著者の行動のキッカケ。お祖父さんの夢枕でパン屋になる、お父さんのコメントで資本論を読む、パンの値付けは奥さんの意見で。みんな大事なところだけど、受け身。そんなもんなのかしら。
    あと、イラストはもやしもん的だけど問題ないのかちょっときになりましたー。

    嫌いではないです。一定層には受ける本。

  • パンの出来る仕組みと経済の仕組みがやさしめ解説されてる本
    酵母と発酵の話がこんなに人間社会と似てるなんてびっくらぽんw
    サービス残業は利潤を求める経営者と社会によって生まれるのだから、労働者はいかにして自分の労働条件を守るか、入るときから考えとかないとダメなんだな~、とか、その輪から外れる方法とか、おもしろくてわかりやすかった
    どんなものでも無理を重ね続けるとおかしくなっていくんだな
    あとパン作り行程のイラストもいい味出してるし写真のパンがうまそうw パン好きにいいと思う

  • ・チャンスは準備ができた人間の下にやってくる
    ・体全体で学ぶ
    ・1点集中は大事だけど、そればかりではいつかつまる。長い休みを取り、他の分野の事を知る事をすれば新たなアイディアが浮かびやすくなる。
    ・自分で答えを出せたものは強く、いつまでも残る。

    という事を学べた1冊でした。

    どんな菌がパンに適してるのかを知るために、著者が実際に菌を食べた話は面白かったな。

  • ロハスな本屋兼カフェで見つけた一冊。普通の書店だったら手に取らなかったかもしれないが、場の雰囲気を受けてページを繰ってみたら、読んでみようという気になった。
    著者は、原料となる小麦、水、醗酵菌にとことんこだわり、職人としての技も磨き、安くはないパンを田舎で作って売っている。ここまで来るのに色々と苦労はあっただろうが、「価値に見合った価格」をつけて(でも利潤を得ず)、週休3日の営業で、地方でパン屋を営んでいるということだけでも大したものだと思う。その意味では、(本書によれば)資本主義的な価値観へのアンチテーゼとしても面白い。そして、そういう生き方や著者が作るパンへの憧れも誘われる。
    こういう内容の本だから、キンドルよりも紙の方がいい。

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著者プロフィール

1971年生まれ。東京都東大和市出身。23歳でハンガリーに滞在。25歳で千葉大学園芸学部入学。農産物流通会社に勤務後、 31歳でパン修業を開始。2008年千葉県いすみ市で、自家製酵母と国産小麦で作るパン屋タルマーリー開業。10代にパンクバンド活動で培ったDIY精神から、起業後は自力で店を改装。2011年岡山県に移転し、野生の麹菌採取に成功。2015年鳥取県智頭町に移転。パンの技術を応用し、野生の菌だけで発酵させるビール醸造を開始。著書に『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』(講談社)、『菌の声を聴け』(ミシマ社)。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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