幸せすぎるおんなたち

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 69
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062185776

感想・レビュー・書評

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  • 日本一幸福な県・X県。そこでは女性の就業率が高く、子育て支援が充実し、子供たちの学力も全国トップレベル。ここに住めば確実に幸せになれる、といわれているのだけれど。
    ……こんな幸せ、いらない。
    数々の「実績」のからくりに唖然。働く女性たちの実態に愕然。旧弊な価値観の押し付けは、鬱陶しいレベルを超えてむしろ恐怖。それでも「幸せ」を謳歌する彼女たち……うわあ、ぜんっぜん羨ましくない!
    確実に、日本一住みたくない県ですX県。とんでもなくホラーな作品でした。

  • 秘密のケンミンSHOWでは地方の良さを存分に引き出しており、食べ物の変わった食べ方、習慣風習が面白おかしく紹介されているが、特に都会と呼ばれる人がそこで暮らそうものなら、必ずカルチャーショックがあるのは当たり前のことである。「田舎暮らしは2~3日」が限界なのかもしれない。 ご近所との付き合いが盛んなところは「井戸端会議の噂の標的にいつなるか」という恐怖に怯え、女性働きやすさNO.1の触込みは「専業主婦は怠けもの」扱いされる屈辱に変貌、子供の学力・体力NO.1は「井の中の蛙」状態ということを回りは信じたがらない。 
    県外から様々な理由でX県に夢と希望を抱いてやってきた人達に様々なギャップに苛立ち・怒り・驚きをもたらす。 
    実際に定年後に田舎暮らしを希望し実現した夫婦が馴染めずに戻ってきた事例をTVでやっていた。
    ホラー小説も書く著者らしく最初と最後の章はちょっとホラー要素あり。
    さくさく読めます。

  • 「ダ・ヴィンチ」インタビューで興味を覚えて読んだ。
    各地方には各々の伝統や風習があり、それに基づいて作られた地方的価値観というものがある。
    「その地方でしか通用しない価値観や幸福観を絶対的なものとみなす、閉鎖的な人たちの話」ではあるが、この物語の怖いところは、彼らが絶対的なものと見なすその「幸福観」というのが、行政によって定義されたものだという点だ。「幸福度ランキング全国1」をアピールするための、都合のいい「幸福観」を定義しているだけの行政に。
    「怪談風味でブラックコメディ的なイヤミス」という形を取ってはいるが、これは告発本に近い感じがする。好き嫌いが分かれそうだが、自分にはツボだった。

著者プロフィール

1975年生まれ。福井県出身。2007年に「あちん」で『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞、08年に同作でデビュー。2008年に「トンコ」で第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞。他の著書に、『太陽おばば』(双葉社)、『終末の鳥人間』(光文社)などがある。

「2013年 『幸せすぎるおんなたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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