たからもの 深川澪通り木戸番小屋

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 79
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062186292

作品紹介・あらすじ

江戸・深川。木戸番の笑兵衛とその妻、お捨は、人にいえない苦労の末に深川に流れてきたと噂されている。
無口だが頼りがいのある笑兵衛と、ふっくらとした優しさで人々を包み込むお捨のもとには、困難な人生に苦しむ人々が日々、訪れる。
悲しみや愁いを抱えた人たちの背中をそっと押す二人。
生きてゆくことにささやかだが確かな希望の灯をともす、八篇を収録。

今年3月に逝去した著者による、このシリーズ最後の1冊。

感想・レビュー・書評

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  • どの作品をとっても、珠玉の小話。
    傷ついている人、迷っている者、そんな物語の中の人々ばかりでなく、読者である我々にも、にそっと寄り添ってくる、木戸番小屋のお捨と、笑兵衛。
    なつかしく、そしていとおしい彼ら。
    そんな二人に、もう会うことはできない。
    ただ慙愧の念、そして合掌。

  • 深川澪通り木戸番小屋、澪つくしに続いて読了。
    これもまたいいお話だった。
    木戸番夫婦の元に、集まる人々はなんらかの問題を抱えている。問題のない人なんていないのだろう。
    短い短編からなるこのシリーズ、脇に回る人物を描く。江戸時代でありながら、今の時代にも通じる。
    独りよがりになりやすいのが普通。
    自分になんで、これほど悪いことが続くのだ、と、天を呪う人々。それも逆から考えれば、なんで、あの人は素直じゃないのだろうか?と。言葉が素直に交わせれば、解決することも存外多い。今の時代に通じることも、江戸の衣をまとうからこそ、素直に心に響くこともあろう。

  • 好きな 著者でした。合掌
    2013年に、永眠されていたのを、存じませんでした。
    『慶次郎縁側日記』シリーズは、大好きで、読んでいました。、『あんちゃん』も、良かったです。
    まだまだ、書いて欲しかったです。

    『深川澪通り木戸番小屋』の、笑兵衛とお捨て夫婦のほんわかした優しさに、著者の人柄を感じていました。

    この 『たからもの』は、8話からなっている。
    「如月の夢」「かげろう」「たからもの」「照り霞む」「七分三分」
    「まぶしい風」「暗鬼」
    どれも、人間落ち込む時がある。
    そんなときに、ただ、話を聞いてくれるだけでも、自分が落ち着く事が出来ることがある。
    ほんの一言の優しい言葉かけが、迷いを消してくれることもある。
    傷ついた心に、優しく包んでくれる木戸番夫婦。
    何の事も、ほんのりと、人情味あふれた作品ばかりである。

    最後の「暗鬼」だけ、お捨てが一瞬、新七を、疑うところが、また、この作品を、ただの、気のいい人でなく、本当の疑う事も知っている人間味のある人物を表す様に、描かれている。
    最後の、笑兵衛の「約束だからついて来るなよ」と、言いつつ、「尾けて来るなとは、言っちゃいねえ」って、、、上手い事言うね。
    本当に、これで、お終いだと思うと、残念です。

  • 木戸番屋の”お捨”さん、”笑平衛”さん、”弥太右衛門”さんを中心に、江戸の住民たちがなんやかんややらかす。
    第八話まで。
    あれこれ事情のある江戸っ子たちをお捨さんたちが優しく包み込む。事情がありながらも、最後には日常に戻っている。巻き起こる事件は現代にも通じる。
    しかし、穏やかな小説です。

  • L 深川澪通り木戸番小屋

    読了後感嘆。
    今も昔もおなじ。
    ずーんと重いけど晴れやか。
    深川澪通り木戸番小屋に匹敵する市井話はないね。

  • 久しぶりにシリーズの新作がよめる!
    でもでも・・・・・・本当に残念です。合掌

  • 再開された木戸番小屋シリーズだったがひたすら残念な最終巻。
    前作でも、どんづまりの登場人物たちに優しい声をかけ、手を握ってやるだけで問題の解決には至ってないのにちょっとだけ心に暖かいものを届ける笑兵衛お捨の夫婦だったが、本作ではさらに物語の背後に身を置いている。

    本作では特に親子の繋がりについての作品が多かった。
    第五話を「破鍋にとじ蓋」とせず「七分三部」とする辺りのセンスがいいなぁ。

    第八話「暗鬼」はめずらしくお捨の心に黒いわだかまりが浮かんで笑兵衛の機転で物語が閉じる話。この先の展開も作者の心内にはあったのだろうか。

    残念

  • 合掌
    ああ、これで「深川澪通り木戸番小屋」は終わりなんだなぁ。
    淋しい。。。

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著者プロフィール

作家

「2017年 『化土記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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