- Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062190640
作品紹介・あらすじ
上海に住む日中混血(ダブル)の青年、カケル。
親元を離れ日々を徒然に暮らしていたが、ビザの更新のため日本に行くよう母親に言われる。一人旅のすえたどりついたのはオタクの聖地、秋葉原。その馬鹿馬鹿しくも傑作な結末とは?
――「日本語を学ぶ中国人を読者に想定した小説」、すなわち「カタカナを使わない小説」を書くというコンセプトのもと綴られるカケルの物語は、見たことのないルビ使い、日本語と漢語を大胆不敵に混交した文章で、読むものを幻惑し圧倒します。言語自体を相対化する文章表現、日中現代文化への風刺、漱石や子規他近代文学のパロディなどなど、知的な企みは、新鮮な驚きに満ちています。思わず声を出して笑ってしまう、個性的なユーモアにも注目してください。
「面白い小説」そして「優れた批評」を一度に堪能できる、今年を代表する文学が誕生しました!
感想・レビュー・書評
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中国語と日本語+Jポップ読みみたいな雰囲気。中国語が堪能な方に読んでもらったら「むかつくわー」とのこと。すごく面白かった。特にスピッツのくだり。
気の抜けた会話文と地の文の硬くも柔らかくもないあの感じ。漱石好きは楽しめる(すごく笑った)。それともやっぱり「むかつくわー」になるのかな。 -
日本語を学ぶ中国人向けの小説。全くもって読みづらい。
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読破できないかと思いながら読み始めたら意外とスルスル読めた。よく似た題名の古典的近代小説と結びつけないほうがいい。このお話はこのお話。日中のダブルらしき青年の(たぶん)普通な日々を描く。最後のところで題名の意味がわかる……ような。ちょっとスカされた感が猫にいいようにさちゃったような感じと似てるかも。
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中国語で書かれた日本語の本。趣向が面白い。文も徐々に吸い込まれるような不思議な感覚。日本人の父と中国人の母を持つ主人公のドタバタ劇が単調ようだけどジワジワ来る文章で面白い。
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あらゆるところに企みが隠されていて楽しい。日本語がかなり相対化されていて、言葉遊びも満載。それをひとつびとつ味わっているうちに読了。ただ、知的にはたいへん満足できたけれど、別世界に連れてはいかれなかった。ひとつには、恐るべき他者が描かれていないからだろう。スケッチ的には描いてあるが、それと関わりを持ちかけたとたん、主人公は猫になってしまう。
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おもしろい(興味深い)小説である。どの文字(中国の漢字、日本の漢字、ひらがな、カタカナ)をどのように配置(本文か、ルビか)するかによって、同じ出来事を描いても、全く見え方が異なるし、読み手の頭の使い方も変わる。(漱石が明治時代にやったことと同じと言えば同じなのだろうが、今までに無い角度で漢字仮名交じり文を読んでいるという感覚は、漱石の文章より本書の方が強い。)それを軽妙なストーリーとともに様々に変奏して実証している。物語としての感動はないが、その着想や構成の巧みさはお見事。読んで損はない。
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よくわからなかった。字数が少なくて、助かった。
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漢語で表現される日語に驚いていると、ラストにも驚く。
何が何やら奇想天外。
これを、解説もなく理解できる人は、さぞ教養のある人なのだろう。
そのお知り合い、どういう点がどんな風に
「むかつく」のか、教えてはくださらない
かしら? す...
そのお知り合い、どういう点がどんな風に
「むかつく」のか、教えてはくださらない
かしら? すごく興味です。
漱石好きとしては笑える箇所が多かったんですけどね。彼のいうむかつくは理屈としてむかつくというよりは単純...
漱石好きとしては笑える箇所が多かったんですけどね。彼のいうむかつくは理屈としてむかつくというよりは単純に生理的なむかつくだと思います。漱石云々じゃなくて単純に中国語の使い方というかあの文体自体が好みではなかったようですね。私は中国語が全くできないのでできるかたの気持ちや読みはわからないですが。
でも、「むかつく」は、色々考えてみるきっかけとしては面白いです。
「猫である」だって、むかつい...
でも、「むかつく」は、色々考えてみるきっかけとしては面白いです。
「猫である」だって、むかついた人がいたはずだと、改めて考えたりしています。