- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062194709
作品紹介・あらすじ
なぜあいつが役員に?なぜあの男が社長なんだ?人事がおかしくなるとき、会社もおかしくなる。巨艦パナソニックの凋落の原因も、実は人事抗争にあった。会社の命運を握るトップ人事は、なぜねじ曲げられたのか。誰がどう間違えたのか。名門松下電器の裏面史がいま、元役員たちの実名証言によって明らかになる!
感想・レビュー・書評
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1つの企業の人事が物語になってしまうとは。驚き。
しがないビンボーな中小企業勤務の人間にはまた違った世界。
でも先見性がなく、自分の身の保身のために権力を使われてしまったら、きっとやだ。
やってられないだろうなぁと思う。
上に就く人が一体どんな思想を持って会社を発展させ働く従業員をどう幸福にするか。
サラリーマンな社長には分からないかも。
優れた経営者の亡き後、しっかりとした人がいないと大変なことになる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
パナソニック凋落の経営。松下幸之助から
、情にとらわれて能力を見ずに好き嫌い、たまたま、などの理由で居座った社長たちが経営を誤っていく過程を様々な人の証言をベースに再構築。
後講釈の部分が多く、本当に能力不足が行き過ぎだったのかはよくわからず、あくまで参考資料にしかならない。何より、幸之助も含め社長の人材育成、登用がしょぼすぎて読んでいて不快。 -
力作。
取材、大変だったんだろうと想像する。
ここに書かれている事を全て信じる訳では無いが、無能なトップ達のために、多数の従業員、関係会社が犠牲になったと思うと、怒りがこみ上げる。
人事は、難しい。人間関係も大事だ。結局は、どれが本当に会社、社会のためになるかだろう。
パナソニックは、結局のところ、松下幸之助の呪縛から逃れていない。先行き不安を隠せない。 -
これだけの大企業が、ほんの些細なボタンの掛け違いから崩壊していく。
経営とはまさに人であり、人事である、ということを痛感させられた。全ての判断を行うのは人であり、人は権力を持ちたがる。権力は人を従え、組織を歪める。経営者たる器の人材は得がたく、容易に育てることができない。松下幸之助ですらもコントロールできなかった最後の人事。いかに仕組みによって人間の暴走に歯止めを掛けるか、が考えるべきテーマなのだと思う。それにしても、自身の身の回りでも起こり得るシチュエーションばかりで、身をつまされる思いがした。 -
森下氏や中村氏の書かれ方は少々辛辣過ぎるように感じるが、人事や組織、マネジメントは必ずしも合理的にされるものではなく、感情面が入り込む余地が大きいことは、よく伝わった。
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「創業は易し守成は難し」。「経営の神様」と謳われる松下幸之助だが人事政策と後継者育成に失策をみた気がする。会長に退いたにも関わらず組織改革に采配を揮ったり、「山の上ホテル事件」での責任者降格は結果的に経営者の品位を失墜させたように思える。特に二代目正治氏の解任を三代目の山下氏に委譲してしまったことが最大の過ちであろう。そこが混乱の始まりであった。
昨今(2015年)は大企業の不祥事が色々あったが、そういった外を向かず中で迷走する企業をみると、ユーザーファーストでプロダクトに全神経を注ぐシリコンバレー系企業に勝てない現状をまざまざと見せつけられ日本人として悲しくなる次第である。
ともすると歴代経営者の功績には触れず悪口しか書いてないようにも思えるが、丁寧な取材によって旧松下電器の魑魅魍魎の世界が垣間見える一冊である。 -
図らずも、企業もののノンフィクションを2冊続けて読みました。普段そんなに読むジャンルじゃないのにね。
個人的な恨みや打算だけで人事を進めると、大変なことになるということがよく分かります。というか、世界に誇る大企業でこんなことが行われていたなんて、知りませんでした。
私としては、この前に読んだ「しんがり」よりも、こちらの方がずっとずっと面白かった。それはひとえに、著述スタイルによるものです。 -
企業のトップ人事が良くわかる 素晴らしいレポート
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新聞評で面白いとあったので買い求める。正直、ゴシップ興味。その意味で飽きずに読んだ。面白かった。
こんな立派な会社でもこんな変なことが起こり、それが長い時間も続いていく不思議。会社って変なものだ。
スピルバークを擁するMCAの株主となり、膨大なソフトを手中にしたのに、大阪のユニバーサルスタジオの経営を握るチャンスがあったのに、前社長の方針否定の理由だけでドブに捨てる莫迦社長。社内に幾らでも優秀な人材は居ただろうにね。
歴代の莫迦社長もまだ存命してるはずだが、本書を出版した講談社と聴取り取材と沢山の資料の読込みをした筆者を褒めたい。
最近、新聞紙上で東芝の不正経理の記事が続くが、何年か経ったら、東芝の暴露本がでるのだろうか。
追記
帯の「なぜあいつが役員に?なぜあの男が社長なんだ」というコピーは内容とはピントがずれていると思う。 -
パナソニックの二代目社長から八代目社長(現在の津賀さん)に至る社長を中心とした人事のお話。
トップ人事は重要であり、かつ複雑でもある。シンプルに経営能力が高い人が選ばれるわけではなく、人間関係から導き出されるのが日本企業の常。他人の会社とは言え、身につまされる。もっとも、こういう類の書籍を読む私自身の趣味も良くはないが。
サラリーマンが社内で出世するにはどうするか、ということなのかもしれないが、出世は手段であり、目的は自分で正しいと思う経営をすることなはずが、出世が目的になるととてもおかしなことになってしまう。
二代目の松下正治さん(当初では元凶のように描かれている)が亡くなってからの刊行ということで、ある程度は人に配慮してはいるはず。三代目の山下さんには好意的で、四代目の谷井さんには同情的。その後の森下さん・中村さん・大坪さんは無能扱い。津賀さんには期待を込めたクロージング。これらは、事実に基づいてはいるんだろうが、真実とまでは言い切れないだろう。 -
パナソニックの20年の混迷は、人事にあった、とする1冊。幸之助氏、山下氏という創業期を知るメンバー引退後の苦悩が伝わる作品。メモ。
(1)思うに森下社長の時期の松下電器の役員人事は、経営思想家で経営者の条件の著者であるピータードラッカーの言葉を借りれば、情実と馴れ合いに陥っていたと言えよう。何が正しいのではなく誰が正しいかを重視する風潮が蔓延し、人事も秀でた仕事をする可能性ではなく好きな人間は誰か好ましいかによって決定する様になっていたからだ。
(2)彼(中村)は、常に上しか見てこなかったし、取り立ててくれる上司には徹底的に媚を売り、逆らわずに仕えてきた。まさに、組織の中で生き延びる術を心得たプロのサラリーマンですよ。
(3)プラズマ事業の失敗は今振り返れば人事の失敗でもあった。プラズマの将来性を見誤ったそもそもの原因は事実を見据えて戦略を立てる人材ではなく、事実を都合良く解釈するブレーンを自身の周りに配置したからだと、中村に近かった元役員は言う。
(4)創業は易く守成は難し。能力、体力、実行力に申し分のない人物であっても、本質を見抜く優れた判断力、つまりは見識の備わった人物でなければ、リーダーとしての力と魅力と牽引力を発揮する事は出来ない。 -
2015年6月24日、図書館予約
図書館から届いたら1時間ほどで読み終わった。これを読みやすいというか、内容が薄いというかは微妙なところ。それなりに取材を重ねて、固有名詞を入れた本に仕立てあげたところはよくわかるが…結局のところ、松下幸之助の娘婿が元凶であると言いたいのだろうが、息子を社長にするためになりふり構わなかった幸之助の娘にまで食い込めていないのは取材力の限界かな。 -
会社の人事抗争のノンフィクション。話しが話しなんで、ちょっと脚色が強い気がするが、まぁ、話し半分で読みました。行動経済学にもある人は合理性ではなく、感情で判断する。という事を痛感する。何をやるにも感情って、大事ですね
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こんな人事が行われていたなんて驚き。
役員が保身に走ると、こうなっちゃうんだと。
しかし、この大企業が、と悲しくなる。 -
自分の為になるとか、新しい着想などは何もないが、単純に物語?として、面白かった。
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担当先ということもあり参考までに読んでみましたが、私自身以前の会社で上層部の人事抗争の話を嫌と言うほど聞かされていたので、この手の本はあまり好きになれないところがある。
巨大企業ですから、人事抗争はつきものと思います。
ただ、少し多すぎる気はしますね。また、決まった後の潔さが感じられず、組織の末端にしわ寄せが行っていたと思います。負の連鎖が続いてしまうのでしょうか。
素晴らしいカルチャーも多い会社なので、良い面を活かすトップ人事を期待したいです。良さを生かせれば必ず復活する会社だと思います。 -
★好き嫌いに終始★パナソニックのトップをたどり、豊富なエピソードで読ませる。ただ、読みものとして面白くするためか人の性格と好き嫌いだけですべてを語ってしまう。皆、能力のない人ばかりという書きぶりとはいえ、大企業のトップになるくらいだからどこかにすごみはあるはず。そのバランスを読みたかった。津賀氏のことはどうするの評価するのだろうか。
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抗争は言い過ぎたとしても混迷はしてたな。
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カリスマ経営者後の経営は、理念が後回しとなって自己の利益の為に働いてしまう。お客様に対して全力を注がなくてはいけないのに、内部に対して力を割かなくてはいけない面倒な企業では働きたくない。
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なかなか面白かった
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人事構想を軸に、パナソニックという会社の事業の歩みがわかる
IR資料よりわかりやすくて、ちょっと下世話で、割と面白い
正しいのか疑問な点
①高額商品であるテレビを購入する際に消費者は同業他社の製品と比較して選びたい
そのためプラズマテレビのメーカーを増やす必要があった
②集中と選択でプラズマに絞るのではなく、プラズマも液晶もやるべきだった
消費者が欲しいものは多様な商品構成 -
松下家の正治会長のもと社長人事が歪められ、気がつけば普通の会社で無くなってしまったパナソニックの役員会。
サントリーやトヨタのように創業家が意味をなす会社もあれば、パナソニックや三洋電機のように駄目にする会社もある。 -
島耕作シリーズに出てくるいくつかのエピソードは実際に松下電器で起きたものをベースにしていたんだね。書き手のスタンスは初代〜四代目までの社長を評価しその後はどんどん駄目になってったとしている。(現役除く)
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松下幸之助氏の意思や同社の中で創業家と経営陣の対立など泥沼の人間関係が繰り広げれていたことが本書から知ることができました。
USJの経営権やDVDの規格などが人事によって頓挫していたこと、ブラウン管・液晶・プラズマのテレビの経営戦略が今も経営に響いていること、谷井社長時代の創業家との泥沼劇や中村社長時代の恐怖政治などその時代の社長によって大きく企業のカラーが変わることやMCAとの関係やDVDの規格など選択を誤っていなければ現在よりも更なる発展をしていたであろうということなど日本を代表する大企業の実態を本書で知ることができました。
時代を代表するカリスマ亡き後、様々な思惑が重なり迷走していく姿は深く考えさせられるものがありました。
そして、創業は易く守勢は難しという言葉の意味を深く考えさせられました。
あとがきにも書かれていたように、断片的な歴史を繋ぎあわせたパナソニックの企業史は非常に意義深いものであると感じました。
感情論による後継者の選択による凋落のスパイラルから抜け出した同社が創業者が誇りに思える姿へと戻っていくであろう今後が楽しみになる一冊でした。 -
松下幸之助のイメージが変わった。経営者ではなく技術者、企業家ではなく商店の店主という感じ。その歴史や風土を現在でも引きずっている。人事に温情をはさみ、子会社なら影響がないだろうと高をくくったことが、目が届きにくく管理が行きわたなかった。
松下電器だけでなく、ソニーもシャープもおかしい。本来の果たすべき企業の役割を、消費者への貢献よりも組織・個人の延命においたことで、マーケットから離れた思想の経営に起因する。 -
経営層の人事を、当事者同士の相性で描いた作品。
家電業界の大きな潮流の中で描けば面白いかもしれないが、そうではなく、いまいち。冗長。
「…3代の社長たちの誤りを敢えて指摘し、(中略)経営の立て直しをはかろうとしているのが、パナソニック社長の津賀一宏である。」
「松下電器とパナソニックの経営を20年近くにわたって翻弄してきた”人事抗争”も、いまでは過去のものとなりつつある。」
これが結びの文章。
だらしない。
提灯記事以外のなにものでもないのではないか、と最後にがっかり。 -
カスタマー見ないと戦略を見失う。
出世にはキーマンを押さえる。
好き嫌いで人事を行うトップがいると組織が縮こまる。自分はやりたくない。誰も得をしないから。組織にとってよい方向を。どの畑出身の誰がトップになるかで、施策は変わっていく。その人の成功体験が後を引く。 -
あなたは誰が一番悪いと思いますか?