- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062197427
感想・レビュー・書評
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ジャーナリストによる、現代の政治家論。菅官房長官のことというより、田中角栄、小沢一郎、梶山静六、野中広務など、いろいろな政治家について、知っていることを脈絡なく説明している。菅義偉についてしっかり焦点を当て、研究してほしかった。また、左翼的意見が多く、歴史や安全保障に関する基本的知識に欠けているため、本質がわからず浅はかな内容になっている。論理的でもなく学術的でもない、得ることの少ない本であった。
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「菅義偉官房長官」今までの官房長官とは何か雰囲気が違う感じがしたが、田中角栄同様の這いあがりの政治家だったとは・・・。そんな菅がなんで安倍と?どう考えても合わないと思うけど。そこのところをもっと突っ込んで教えてほしかった。
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「最後の武闘派」菅官房長官の半生を描いたドキュメンタリー。胆力、行動力のある勝負師、義理を重んじ、筋を通す政治家。こんな人を敵に回すと恐ろしいだろうなぁ。
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味わい深い。
政治家は業の深い職業だ。
彼の人物像よりも、
彼を取り巻く政治家のエピソードが多すぎるきらいがある。
著者の取材不足のせいなのかか、
彼が自身のことを多くを語らない性分なのかはわからないけど。
高額ながん治療薬「オプジーボ」の薬価が半額になったのは、
本来なら2018年4月に改定されるべきところを、
「緊急的な対応」として特例での引き下げが決められた背景に、
菅氏の鶴の一声があったと訊く。
どういった根回しが行われたのかなあ。 -
前半は伝記。後半はルポ。とにかく正体不明の菅を細かな取材で迫っていく。面白い。読んだ結果さらに今後の菅に注目したくなった。
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菅さんのことが、時代背景や周辺で関わった人のエピソードをまじえ、よく調べられた内容が書かれている。面白かった。
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好き嫌いは別にして、叩き上げの政治家、土着的な政治家に魅かれます。
代表的なのは田中角栄(敬称略、以下同じ)。
最近、石原慎太郎が角栄を主人公にした小説「天才」を著して話題になっており、「角栄ブーム」が来るかもしれない、と密かに思っています。
あとは、だいぶん時代は下りますが、金丸信に野中広務に古賀誠、鈴木宗男もそうですね。
個性の際立っている政治家が多いということは云えるかもしれません。
安倍政権で叩き上げの政治家、土着的な政治家といえば、菅義偉官房長官その人でしょう。
ただ、政権のスポークスマンとしてこれだけ露出度が高いのに、菅義偉という人の性格や経歴、業績を知っている人はどれだけいるでしょう?
本書のタイトル通り、「影の総理」と云われる割には、私も含めて意外と知られていないのではないでしょうか。
その謎多き「影の権力者」の実像に迫ったのが本書。
いや、想像したよりずっと面白かったです。
菅は秋田県南の湯沢市(旧雄勝郡雄勝町)秋ノ宮の農家に姉2人、弟1人の長男として育ちました。
豪雪地帯で有名なまちで、菅は著者のインタビューに対して「大雪の中で育ったことが、知らず知らずに俺に反骨精神を植えつけたのかな」と語っています。
同級生が中卒で集団就職していく中、菅は地元の高校を出て単身上京、段ボール工場で働き、その後は築地市場の台車運び、夜は新宿の飲食店で皿洗いなどのアルバイトを重ねました。
その後、苦学して法政大へ入ります(後に沖縄普天間飛行場の辺野古移設問題で対峙する翁長雄志沖縄県知事はその2年遅れで法政大へ入学してくるから因縁を感じます)。
大卒後は電気通信設備会社で働きますが、政治にかける思いが募り、とはいえ伝手もないため大学の学生課に掛け合い、結局、法政OB会を経て中村梅吉衆議の事務所を紹介されます。
中村の事務所詰めから小此木彦三郎衆議の秘書となり、資質を見込まれて徹底的に鍛えられたそうです。
秘書から横浜市議に当選すると、事実上の人事権を掌握して「影の市長」と囁かれる存在になります。
「菅の政治家としての地歩は小此木の薫陶により横浜で築かれたのである」と著者は記します。
47歳で衆議に初当選すると、どろどろとした権力闘争の渦中に身を投じます。
98年に小渕恵三、小泉純一郎、梶山静六が争った総裁選では梶山を支援し、実力者の野中から睨まれることになります。
「加藤の乱」では、加藤に共鳴し共に立ち上がることを決意しましたが、乱は結局、当時幹事長の野中の恫喝にあって失敗に終わったのは周知の通りです。
菅は当選わずか6回で安倍政権で官房長官に駆け上りましたが、現在の安倍政権があるのは菅がいたからです。
06年からの第1次安倍内閣で「政治とカネ」の問題や参院選の惨敗、自身の体調悪化で政権を放り投げ、憔悴していた安倍に再起を促し、支え続けたのは、ほかならぬ菅だったからです。
そういう意味でも、菅を理解しなければ、安倍政権を理解することはできません。
個人的に括目したのは、小沢一郎についての章です。
小沢は云うまでもなく岩手県出身で中2まで過ごしますが、選挙を和子夫人に任せきりで、その和子夫人の「離縁状」とも呼べる手紙が世に出て政治生命が絶たれようとしています。
その小沢に対する菅の評価は痛烈です。
「小沢さんは土の匂いがしない。地中を衝いて中からムクムクと出てくるバッケ(蕗の薹)のような匂いがないんです。東京で育った人だ。故郷の岩手が、あの人からは感じられない」
閣僚辞任や議員の不祥事などが相次いでいますが、安倍政権はいまだ盤石のように映ります。
夏には参院選が控えますが、恐らく18年の総裁任期満了まで持つのではないでしょうか。
ただ、著者が昨年10月下旬に「自民党はこのままでいいのか」と質すと、菅はこう云ったそうです。
「(安倍政権は)あと三年あるから」
著者は「菅は一八年までの間に、次期総裁選に向け新たな権力闘争が蠢動することを予感しているかのようだった」と書いて筆を置きます。 -
孤掌は鳴らず 孤掌鳴らしがたし 片方の掌だけでは手を打ち鳴らせない 転じて人間は一人では行きていけない、事を成し遂げられない
桃李は言わず、下自ら蹊を成す 史記からの引用 桃やすももは何も言わないが、その花や実に引かれて人が集まり、その下には自然と道ができる 前漢の李将軍をたたえたもの
韓信の股くぐり 将来の大きな目的音ためには、一時の恥に耐えること
耳障りのいい話は上げなくてもいい。適宜しい話こそあげてくれ
野中広務 男の嫉妬は権力がからむと始末におえなくなる
田中角栄 良い政治というものは国民の生活の片隅にあるものだ。目立たず慎ましく国民の後ろに控えている。吹きすぎていく風。政治はそれでいい。