私が失敗した理由は

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062201414

作品紹介・あらすじ

順風満帆な人生を送っている――落合美緒はそう思っていた。都心のタワーマンションに住み、二歳下の旦那とは社内結婚、優雅な二人の生活。そんな時に、美緒は妊娠する。ところが不幸なことに流産してしまい、そがきっかけで体調を崩し、会社を辞めざるを得なくなる。今までは夫婦の収入で住めていたタワーマンションにももう住めない。東京近郊のT市に移り住んだ美緒夫婦。鬱々とした気分はいっこうに回復することもなかった。

そんなある日、美緒の気持ちがパート先の同僚ムラカミの話で一転する。人生、順風満帆だったころに感じていた「ときめき」が復活したのだ。

食欲も戻り、夕食のあと、どうしてもフレンチトーストを食べたくなった美緒は、食パンを買いにコンビニへ。そこで同じく同僚のイチハラに会う。イチハラはとんでもなくおかしな格好をしていたが、美緒は大して気にすることもなく、世間話をしてその日は帰ってしまう。

ところが後日、イチハラが大量殺人事件を起こした犯人だと取り沙汰され、事件を起こしたとされるの日時が、美緒が彼女と会ったその前の時間だったことが判明するのだ。

成功をもうすぐ手中に収めそうだったイチハラは、なぜ、わざわざ人生を失敗するような大事件を起こしてしまったのか。考えるうちに燃え上がるような「ときめき」を感じた美緒は、急に『私が失敗した理由は』という本を出す企画を思いつき、かつての恋人で編集者の土谷謙也に電話をする。

事件の真相は、そして美緒の企画はどうなるのか?!

感想・レビュー・書評

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  • 今回も相関図を書きながら読みました。真梨さんの作品は、相関図なしでは、ついていけなくて...。
    ゾクゾクした「孤虫症」がちょいちょい出てきてまた、思い出してゾッとしたり(話しの中では、散々貶しているのでえ〜そんなぁと思いながら読んでました。)

    美緒と元彼謙也のやり取りがおもしろくって笑っちゃいました。こんな女...メンドクサイだろうなぁ。

    相変わらずたくさんの登場人物がバッタバッタと死んでいき、今語っている「私」は、一体誰だ!?とわからなくなることもしばしば。
    中盤、この人が犯人だろうとは思ったけど後半まさかの展開にビックリ。そういう繋がりだったのかー!!

  • ものすごい失敗した人達のケースを集めて、成功へ近づくための本を
    出版することとなるが、この本に関わった人達がどんどん死ぬ。
    誰が誰を殺したのか。
    冤罪だったのか。
    とにかく、たくさんの人が死ぬ。

    登場人物多すぎー笑
    誰が誰だったか分からなくなる、真梨幸子あるあるー笑
    そして、この一人称は誰かな?と考え、
    だんだん、沼にハマってくパターン…笑

    でも、真梨幸子さんが登場するとか、なんだか面白かった!!
    あと、孤虫症も話によく出てきたよー!!
    孤虫症読んでからの方が楽しめそうだねー。

  • グイグイと読み進めてしまったけれど、
    「あ~~⤵️」
    作中では『ドロミス』ど称しているこの類いの『イヤミス』やっぱりムリ。

    芯が「成功の秘訣」のこの小説なのだけれど、ついぞ、成功できてる人物にはお会いできずドロドロに踏み込んでしまうばかり。
    中心人物も次々入れ替わり影響しあって誰が誰やら、だれの男やら、だれの女やら。
    コワイ。

    だけど、ぐいぐい読まされる!

  • 登場人物がちょっとずつ絡み合ってて、まるでジグソーパズルのような本。
    まとまりが全く無いようで、しっかり一つになる。
    最後の最後まで全然気が抜けない。
    メモしておかないと、誰がどんな人だったか分からなくなるくらい登場人物はかなり多かったけど面白かった。
    この真梨幸子さんの作品は珍しくエグさがなくて良かった。
    人間のぶっ飛んだ怖さを表現するのが、すごいなぁと毎回思う。
    美緒の躁うつ病での壊れ方が、エグい表現より怖かった。

  • 幸せの絶頂の新婚生活の時期に子どもを流産して鬱になってしまった美緒。引っ越しをしてかなり回復し、スーパーのパートに出られるようにはなったものの、相変わらず人付き合いは苦手だった。しかし、面倒な同僚にある本を勧められてから、美緒のスイッチが入ってしまった。彼女の成功に突き進むための、ときめきのスイッチが。

    失敗談を積み重ねていく連作短編集みたいな形かと思ったらがっつり長編だった。しかし視点人物がくるくる入れ替わるし読者が知らないうちに事件が起きててどこに焦点を合わせて読んだらいいのか混乱。ただベースの事件はそれなりに伏線が貼ってあって、無茶苦茶に人が死んでいくのにそこだけ冷静で面白い。宮里さんはなんだったんだ。結局うかつに悪口言うと失敗するぞってことなのかな……危ない危ない、彼女がきちゃう。

  • 久しぶりに真梨さんの本を読んだ。
    そうそうこんな感じ。
    独りよがりでガツガツしてる感じ。
    表紙が凄くあっさりしていて久しぶりに読んでみようと手に取ったのだ。
    どんどん人が死んじゃう。みんな犯人??そして最後に真梨さんも出ちゃうという。
    「孤虫症」今度借りて読もっと。

  • 実に「殺人鬼フジコの衝動」以来の真梨作品。「殺人鬼~」も後味の悪い作品だったけど、これもまた、次から次へと人が死んでいくし、登場人物が全員と言っていいほど、腹に一物を抱えているし、誰を信用したらいいのか、分からないままラストへ。こういう後味の悪い作品を「イヤミス」と言うことも、この作品で知った。そもそもの始まりは高層マンションでの一家殺人事件。簡単に犯人捜しをする話ではなく、事件に興味を持つ人が連鎖的に殺されていく。読んでて、不快だけど、最後は「納得!」と言った感じで、その辺はやっぱり作家さんの実力なのだろう。

  • ファンサービスたっぷりな作品、むしろ、
    今までの真梨幸子の作品を読んでいる人に向けた本。

    真梨幸子本人、デビュー作『孤虫症』、タワーマンション四〇一二号室の登場。
    これらのキーワードでワクワクしない人は、この本の醍醐味を味わえないと思う。

    ストーリー展開としては、『人生相談』に通じるところがある印象で個人的には好きです。

    真梨幸子の本は漏れなく読んでいるけれど、
    登場人物が比較的多かったり、1人に対して複数の呼び名があったりで、初見でスッキリ顛末を整理しきるのが難しい…。
    そのため、再読が必要な作品が多いので、余程時間に余裕のない限りは、図書館で借りるではなく購入の方が良いのかも。。。と最近思い始めている。

  • 真梨さんの本は初めて読みました。
    人がたくさん死にます。笑
    でも暗くないと言うか、悲劇じゃなくて喜劇とゆうか。
    登場人物は皆勝手なこと言って自分の都合いいように主張していますが、所詮自分の人生は自分が主役、あちらの正義はこちらの悪。
    イヤミスと言われるジャンルを初めて読みましたが、私には現実の社会をもうちょっと煮詰めて濃くして面白おかしくしたもののように思えました。

  • 順調な人生を送っていた美緒は妊娠をきっかけに足を踏み外していくが、ある日ときめきを取り戻し「私が失敗した理由は」という本の企画を進めるため元カレに連絡を取る…。人が次々と死んでいきその真相は最後の一瞬に。

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著者プロフィール

1964年宮崎県生まれ。1987年多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤中症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーとなり、”イヤミス”の急先鋒として話題に。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる。そのほかの著書に、『5人のジュンコ』『私が失敗した理由は』『カウントダウン』『一九六一東京ハウス』『シェア』など多数。

「2023年 『まりも日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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