ナビラとマララ 「対テロ戦争」に巻き込まれた二人の少女

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062204842

作品紹介・あらすじ

【対象年齢:小学校高学年以上】
これを読まずして世界の平和を語れない! イスラム諸国もアメリカも日本も被害者であり加害者。必要なのは異文化それぞれの価値観を理解する寛容な心。だから、教育こそが平和を守る第一歩なんですね。(三省堂書店営業企画室・内田剛さん)/解決の糸口もみつからないイスラム地域の現状ですが、この小さな小さな叫び声を聞く事で希望が生まれるのでは、と考えさせられました。(オリオン書房イオンモールむさし村山店・渡辺美幸さん)/大人も子どもも、この本をきっかけに、イスラム世界の現状について、自分に引き寄せて感じられるのではないでしょうか。(ジュンク堂書店藤沢店・鈴木沙織さん)

マララ・ユースフザイさんの名前は、広く世界に知られています。イギリスのBBCが運営するブログに、匿名ながら「イスラムの女性たちに教育を受ける権利を!」という主張を書き、そのことによってイスラム過激派の銃撃を受けて重傷を負った少女です。彼女は、生死に関わる傷を負いながらも屈することなく、教育の権利獲得のために運動し、史上最年少でノーベル平和賞を受賞しました。

一方、マララさんと同じく、パキスタンの部族地域出身の少女、ナビラ・レフマンさんの名前を、どれくらいの人が知っているでしょうか?

やはり、「教育を受けたい」と切望する彼女は、山でオクラを摘んでいるところをアメリカ軍の無人機「ドローン」にミサイルを撃ち込まれ、いっしょにいた祖母を亡くし、自らも大きなけがを負いました。

同じく「対テロ戦争」の犠牲者でありながら、ひとりはノーベル賞を受賞し、ひとりは無名のままです。この彼女たちの違いを知ることで、欧米諸国が生み出したイスラム世界への偏見や矛盾が見えてきます。

アメリカ軍が展開する無人飛行機「ドローン」による空爆の非人道な実態、イスラムと欧米諸国との関係の歴史、そして、終わりの見えない「対テロ戦争」が起きてしまった理由――。現代イスラム研究の第一人者が、大きく境遇が違ってしまった二人の少女の背景について、わかりやすく解説します。

感想・レビュー・書評

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  • テロに巻き込まれた少女たち。アフガニスタンの状況は、正確な情報をえたりきちんと理解することは難しいかもしれませんが、刻一刻と世界の情勢が変わりつつあります。
    まずは知ることから始めませんか。

  • 戦争

  • 平和への道筋は、教育と本の中にある。

    イスラエルは、一時期エジプトまで支配していたのか。1967年頃。
    この本は中東の歴史についても、かいつまみつつ詳しく解説してる。
    知らないことばかりだ。

    「ナビラはドローンによる悲劇に巻き込まれ、それから二年間、どこのコミュニティにも属していなかった。つまり広く社会と接触してこなかったために、多くのことを失ってきました」 p.150
    コミュニティに属せないだけで、失うことも多いのか。

    「語学の習得は、他の生徒や教師たちとのコミュニケーションが円滑になるだけでなく、彼女にとって、メディアを通じて自分の体験や思いを発信する時に役立ちます。彼女は心の中に閉じ込めていることがまだまだたくさんあります。それを表現してほしいと思うのです。彼女自身の表現力を高めることも私たちの重要な教育目標です。まだ内気なところもありますが、ナビラはとても賢い子どもですので、いずれ十分に話ができるようになるでしょう。彼女が日ごとに前進することを、私たちは期待しているんです」 p.152

    現代の世界で普遍的に通用する価値観や知識、テクノロジーを学ぶとともに、それらが発達してきた歴史も学ぶ必要がある。どこかからメールで送られてきたのではないのだから。

  • 銃撃されたマララさん。マララさんと大きく違うのは、銃撃したのがアメリカのCIAだということ。この本では、そこを切り口に報道のあり方やイスラムについて考えていく。
    ドローンによる攻撃をアメリカ政府の人はbug splatと呼ぶのだそうです。人を攻撃しているのに。日本軍が戦時中、人体実験をするときに人間を丸太と呼んだことを思い出します。
    報道の使命は「一番小さな声を聞くこと」(『殺人犯はそこにいる』著・清水潔より引用)、その大切さをこの本でも感じます。

  • アメリカによる対テロ戦争の大義名分のアイコンとして、聖人君子のように祭り上げられているマララ。
    かたや、イスラム過激派ではなくアメリカ・CIAが運用する無人殺人機ドローンに家族を殺されたナビラ。

    中東の泥沼化は遡ればアメリカが発端。
    世界の正義面した大国が、裏でいかにむこの市民を犠牲にしているのか。生の少女の声が胸に痛む。

  • 486

    2017年では120冊目

  • マララさんはノーベル賞をもらうなど大きく報道されているが、
    この本ではアメリカのドローンによって祖母を殺され、自身も怪我をしたナビラさんのことについて書かれている。

    彼女のような子供達がまだまだたくさんいるということを私達は知らなければならないと思った。

    イスラム世界がなぜ今のような情勢になっているのかについて、基本的な部分ではあるが子供向けらしくわかりやすく書かれているので、非常に勉強になる一冊であった。

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著者プロフィール

現代イスラム研究センター理事長。1955年生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。UCLA大学院(歴史学)修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。著書『現代イスラムの潮流』(集英社新書)『中東イスラーム民族史』(中公新書)『アメリカはイスラム国に勝てない』(PHP新書)ほか

「年 『集団的自衛権とイスラム・テロの報復』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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