「分かりやすい教え方」の技術―「教え上手」になるための13のポイント (ブルーバックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062576239

感想・レビュー・書評

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  • 短い本だが、要点だけつまめば、もっと短くなる。
    というか、少し長めのネット記事のようにも感じる。

  • 精神論がほとんど。生徒に教えさせる、というのはいいと思った。
    あと、作業やプロセスを分解するのも良さそうなので、やってみたい。

  • 新しい視点に気づかせてもらった

  • 第一章
    ダメな教え方
    情熱がない教え方、力み過ぎる教え方、押し付ける教え方、褒めない教え方、双方向であることを忘れている教え方、詰め込み過ぎる教え方
    ダメな教え方をするのは誰か
    一流プレイヤーだった先生、生徒を見下す先生、失敗から学ぶことができない先生、生徒の文化を受け入れられない先生
    第二章
    教えるとはどういうことか
    説明すると教える
    スタディとラーンの違い、分かると身に付くの違い、脳に獣道を刻み込む、獣道を刻むためのプラスアルファ
    教えるの5つのポイント
    教えるとはサービスすること、教えるとは説明すること、教えるとは観察すること、教えるとは分解すること、教えるとは誘導すること
    第三章
    わかりやすく教える5つの心構え
    先生役を気楽に引き受けよ
    生徒ともに学べ、自分の性格の未熟さは気にするな、生徒に対する期待値を下げよ、生徒の長所をみっつ見つけよ、教える前に友達になれ、情熱を持て
    生徒をお客様とおもえ
    お客様扱いとは何か、必要ならプライドを捨てよ、ダメ生徒との出会いをチャンスにせよ、苦情は改善のヒントと思え、叱っても怒るな
    生徒の文化を尊重せよ
    生徒を外国人と思え、生徒の文化に気づけ、生徒の文化に反発する前に考えよ、生徒の欲しがる飴を知れ、
    生徒を可能性の種と見よ
    生徒を大輪の花のタネと思え、生徒から学べ、生徒自身にルートを見つけさせよ
    生徒を楽しませよ
    勉強=辛いという公式は捨てよ、楽しさで生徒の自主性のスイッチを入れよ、生徒が楽しんでいる状態にせよ
    わかりやすく教える8つの技術
    生徒のレベルに合わせよ
    生徒のレベルやタイプ別に分けよ、生徒のタイプに合わせて教えよ、生徒の反応から生徒の視点に気づけ、打診で視点のズレをチェックせよ、伝わっているかを常に確認せよ、大多数の生徒の反応を注視せよ
    目標を認識させよ
    理解のゴールを最初に示せ、大きなルールに気づかせよ、具体的な見通しを示せ
    魔の挫折地帯を認識させよ
    見晴らしは急に開けると教えよ、見通しを示して挫折を防げ、スランプはチャンスと教えよ、学ぶことのメリットを示せ
    目標を分解せよ
    急斜面には階段を刻め、分解で不可能を可能に買えよ、分解でコツを体感させよ、部分目標ごとにアドバイスせよ、出来るレベルにまで分解を繰り返せ、分解した部分目標を最後に組み立てよ、分解で具体的な課題に絞り込め
    腹八分目を守れ
    消化不良を起こさせるな、内容を絞り込め、もっと食べたい状態でおえよ、重要項目は強調して示せ、メリハリでトークにも見出しを付けよ、
    褒めて伸ばせ
    褒め言葉が学ぶ意欲を生む、小さな進歩を見逃すな、間髪を入れずに褒めよ、褒め言葉で誘導せよ、人格否定ではなく改善点を指摘せよ、叱ると褒めるでワンセットにせよ、褒め貯金をせよ
    反復と映像化で脳に刻み込め
    柔らかい地面にしっかり刻み込め、体得するまで繰り返させよ、繰り返しの臨界点を見つけよ、一ヶ月以内に復習させよ、まとめでダメ押しせよ、比喩で映像化せよ、記憶定着にはムチよりアメを使え
    与えるよりも引き出せ
    予備講師の教え、生徒の未理解点を浮かび上がらせる、時にはわざとわかりにくくせよ、思考回路のスイッチを入れよ、生徒自身に説明させよ、気づき、気づかせよ

    習うより慣れろは新人がどれだけ理解したかあるいは実際に議長役を満足にこなせるかどうかということへの配慮をなせて初めて成り立つ教え方である。
    褒めて伸びる生徒もいれば、叱って伸びる生徒もいます。とはいってもそれは褒めると叱るの比率を6対4にするかという程度の違いであって全く褒めないのは論外である。
    退屈な授業は決まって教師が一方的に話し続けている。生徒に質問したり、考えさせたりという逆方向をすっかりわすれている教え方である。

    教えるが目的とする知識や技能の定着とは脳にその知識や技能が永続的に刻み込まれることで、ちょうど自然の山野に獣道ができる家庭に似ています。獣道とは山野で動物が頻繁に通ることで自然にできる道です。獣道ができる様子を参考に教えるとはどういうことかをまとめるとそれは学習に対する動機づけや生徒との信頼関係によって生徒の脳を柔軟にし、そこに知識や技能を刻み込んで定着させることと言えるのではないか。

    わかりやすい説明の条件
    ・情報のサイズがある程度小さいこと
    ・情報ができるだけシンプルなこと
    ・情報が合理的なこと

    教える側と教わる側の信頼関係が土壌として必要である。なんとなく肌に合わない人がいたら簡単にできることがある。その人の長所をみっつあげてみるのです。そして、その人と顔を合わせるたびに心の中でその三つの長所を唱えるのです。これを繰り返すことによって不思議に苦手意識が段々と消えていきます。

    教える心構え1のまとめ
    先生役を気楽に引き受けよ
    ・先生を目上の人と誤解するな。
    ・生徒ともに学べ
    ・自分の未熟な性格は気にするな
    ・生徒に対する期待値を下げていらいらを回避せよ
    ・苦手な生徒の長所を三つ見つけよ
    ・まず生徒と友達になれ
    ・自分の情熱で生徒の情熱に点火せよ

    生徒が思うように進歩しないときに先生が陥りがちな罠は、生徒に責任転嫁してしまうことです。

    叱っても起こるな
    自分自身の怒りの発散を怒る
    生徒の進歩を願って改善点を指摘してあげることを叱ると呼ぶ。起こる時には相手の人格を否定した表現を使いがちである。一体何をどうすればよかったのか伝える叱る何ら指摘してくれた先生に対して自分の味方だと思って従うでしょう。

    教える心構え2のまとめ
    生徒をお客様と思え
    ・生徒の喜びを最終目標とせよ
    ・上位者気取りのプライドは捨てよ。
    ・ダメ生徒との出会いを指導技術上達のチャンスとせよ
    ・クレームを改善へのヒントとせよ。
    ・叱るときは人格否定ではなく、改善点の指摘をせよ

    日本人は説明ベタだと言われている。理由は様々な文化的背景の人々が一つの社会を構築した国ではないからである。多民族社会では話し手と聞き手が共有している前提がすくないため、通じているのかなとコミュニケーションが慎重、且つ丁寧にならざるを得ないわけです。
    先生としては生徒のことを同じ日本人というよりも文化的背景が違う外国人くらいに思って丁寧な説明をしたほうが良い。
    アメとムチ 人によっては違う
    例えばある人は「プロジェクトリーダーに推薦すること」がアメになりうるし、ある人は「5時には帰すように図ってやるよ」がアメになりうる
    生徒の文化を尊重せよ
    ・生徒を外国人と思え
    ・生徒の世代の文化を知れ
    ・マナーは時代とともに変わることに気づけ
    ・自分の時代の常識を振りかざすな
    ・生徒の欲しがるアメを知れ

    職場でもあなたがある事柄についての能力を評価され、仲間に教える立場になっても、忘れてはいけないことがあります。それは先生になっても同時に生徒でもあるということです。教えることによって相手から教えられる。教えることを通じて自分自身も成長していくのです。

    勉強は楽しいと思い込め
    ・楽しさを授業に入れるために簡単なクイズを導入した。
    大脳生理学によると、人間が楽しく感じているときは脳内にドーパミンが分泌され、脳はそれによって活性化するのです。つまり、ドーパミンが分泌している時こそ、学習効果が高まるのです。逆に失敗して、また怒鳴りつけられるのではないかという恐怖のストレスを与えると、ドーパミンの分泌が抑えられて、記憶テストの結果が悪くなることが知られています。つまり効果的に教えるには楽しませることは極めて大切なのです。

    視点のズレがないかをチェックする。
    指導中の新人に対して「僕が今何を説明しようとしているか、わかってる?」と聞くだけでも先生と生徒の間にズレがないかを確認できるのです。

    プレゼンの指導例
    ・プレゼンの準備で最も重要なことはプレゼンの最終目標をプレゼンの依頼者に事前確認することなんだ。つまりいろいろな準備作業に入る前に確認することがポイントだよ。例えば君が部長からプレゼンを指示されたとする。その場合はすぐにプレゼン用のスライド作りなんかを始めるのではなく、まず部長に「私は、このプレゼンの最終目標をこういうふうに考えて準備しようと思いますけど、よろしいでしょうか?」と確認する。
    なぜかというと、そのプレゼンでは何を目指しているか、君と部長の思惑にズレががあるといけないからだ。せっかく時間をかけて苦労して準備したプレゼンを最後にプレゼン依頼者にチェックしてもらうと全く方向違いだったなんてこともあるよ。そうするとせっかくの苦労が水の泡になるだけでなく、期日に間に合わないことになりかねないだろう。つまり君のプレゼンの基本設計がプレゼン依頼書の以降と一致していることを確認してから、色々と具体的な準備を始めるんだ。プレゼンテーマの内容を研究したり、重要事項をメモ書きで拾ったり、プレゼンの理論構成を考えたり、そして、次にスライドのデッサンを紙に描いていくとかすればいいんだよ。

    ・脳が持っている理解のメカニズムに沿った、最も効果的な方法は、理解のゴールを先に与えることです。バラバラのピースを正しくはめ込んでジグソーパズルを完成させなければならないとき、完成するとどのような絵や写真になるか知らされている場合と、知らされていない場合ではどちらがパズルを完成するのが楽でしょうか。
    よって少し複雑なことを教える場合はいきなり、詳細なことから説明するのは避けましょう。まず、「ここで教えたいことを要約するとどういうことになるだろうか?」を自問してみます。その答えがまとまったら、説明の冒頭でその要約を話してあげましょう。

    スランプはチャンスと教えよ
    努力のほどには進歩しない生徒や正しい方向性が分からず迷う生徒もいます。こうした生徒にも、そのような苦しみの後にはより大きな喜び、進歩が待っていることを知らせてあげるのです。「苦しみ」はバネを強い力で圧縮しているようなものです。バネを圧縮していた力が強ければ強いほど、解放された瞬間にバネはその分だけ強い反発力で大きく伸びます。大きな苦しみの後ほど、大きな喜び、大きな進歩につながるのです。
    「Qちゃん」の愛称で親しまれる高橋尚子も高校時代はスランプでマラソンをやめようとしていた。それに対してコーチは「このスランプは一時的現象に過ぎない。むしろ大きな進歩ができるチャンスだ」と大局観を持っていました。そして、「何も咲かない寒い冬の日は、下へ下へと寝を晴れ。やがては大きな花が咲く」と励ましたということとです。

    コツを教える。
    コツとは言葉による説明だけで伝えられるものではなく、繰り返しの練習等によって身体で覚えるものです。例えば、自転車に乗っている時、転倒しないように体のバランスを取ります。そのバランスの取り方は、言葉で説明することはできません。体で覚えて無意識にバランスが取れるようになるのです。この「言葉では表現できないが体で覚えている」のがコツなのです。「言葉では表現できないこと」を教えるのにはどうすればよいのか。それは分解することなのです。
    例えば、跳び箱
    1生徒を跳び箱に跨らせて、両打てで自分の体を支える感覚を覚えさせる。
    2手で体を少し持ち上げたまま、体重を前へ移動する動きを体感させる
    3跳び箱にまたがったまま、体を前に押し出して、ぴょんと着地させる。
    このように跳び箱を飛ぶ動作を三段階に分解し、部分ごとに繰り返して体感させることで生徒は全員コツをつかめるようになるのだそうです。

    とかく経験の浅い生徒は、ちょっとしたつまずきで落ち込み、精神的余裕がなくなりがちです。緩く短い斜面も生徒にとっては長く急な斜面に見えてしまうのです。こんな場合には先生がその斜面に階段を刻んであげる。つまりちょっと問題を分解してあげるだけで生徒を救うことができるのです。解決している部分とこれから解決しなければならない部分とを分解し、新人の目をその未解決の問題点に向けさせることで、あと一息だな。と新人の活動全体をプラス評価し、未解決部分が小さいことを印象づけられる。

    プレゼンはもっと聞きたいと思わせる腹八分目で終わらせろ。そちらの方が、「もうちょっと聞きたかった」や「あっという間であった」「半日では足りないくらい、もっと聞きたいともいました」などと感想が寄せられる。これらの感想は「量が少なかった」という不満ではなく、「もっと食べたかったほど美味しかった」という高評価です。腹八分目だからこそもっと食べたいという感想になるのです。
    逆に詰め込み過ぎると駆け足になり、内容がずさんになる。であるからして、スライド枚数を説明中に雑談などで脱線する時間を織り込んでも駆け足になることのない量にまで絞り込んだのです。

    ところがたとえ内容量を適切な量に絞ったとしてもそれを均等にだらだらと話せば、やはり生徒の表情が曇ってきます。例えば、20個のノウハウを教えるとしても、その全てが等しく重要というわけではありません。生徒にはその中で何が重要なのかを判断する力はまだありません。しかし、この点こそが生徒が最も早く知りたい点なのです。そこで、筆者は講演や研修の冒頭で、必ず覚えて欲しい重要項目の3~4点を「本日の最重要項目」として、スライド一枚にまとめて示すことにしました。最初に重要事項を絞り込んで示すことで、「これだけでいいのか?」というお手軽感から生徒の意欲を促進し、生徒の目が輝いてくるのです。さらに講演・研修の最後にも同じスライドを本日の総まとめとして再度、示すのです。さらに「ほかにもノウハウはたくさんありますが、たった、この三点をマスターするだけで、みなさんのスキルは激変します」と励まします。

    「教える」場面では失敗に対してバツを与えるよりも、成功した時に褒める方が効果的なのです。さらに小さな進歩を発見したら間髪を入れずに褒めることが大事なのです。生徒はいわば暗闇で手探りで進んでいるようなもので多くの場合、何が正しくて、何が間違っているかよくわかっていません。例えばスポーツなら、正しい動作と間違った動作の境界線がわからないのです。そこで生徒がたまたまでも正しい動作を行ったら、すぐさまその調子と褒めてあげることで、その境界線にスポットライトを当ててあげるのです。
    例えば、子供に自転車の乗り方を教えているとしたら、まず補助輪付きの自転車を後ろから支えてやり、ちょっとこがせてみるでしょう。そんな状態でも進めたら子供にすごい上手に進めたよ。と褒めてあげます。そんな風に褒めれば、子供の「もっと自転車を乗りこなしたい」という意欲にスイッチが入ります。そうなれば、あとは「補助輪を外す」「支えた手を途中で話す」「最初から支えない」...と進むたびに、褒め言葉という餌をついばんで「一人で補助輪なしの自転車に乗る」という最終目標を達成できるはずです。「褒め言葉」で本人の学びたいのスイッチを入れることは最も効果的な教え方の一つである。

    改善点を指摘するときのポイント
    お前という言葉を主語にしてはいけない。朝日新聞が実施したアンケートによれば、職場や家庭で「お前」と呼びかけられることに対しては80パーセントの方が人格否定と捉え、「不快」「腹ただしい」と感じていました。
    「お前」と呼ばれた生徒が、人格を否定されたように感じてしまい、「自分を認めてくれない先生には教わりたくない」ともうのは当然です。そもそも人間には成長したいという基本的欲求があるのですから、その欲求実現に役立つような叱責をすればよいのです。そうすれば、あなたがどんなにきつく叱っても、生徒はあなたの改善点の指摘を自然に受け入れてくれるはずです。

    「教える」とは「頭でわかる」と「身体で覚える」のワンセットを目標としているから「説明」という作業はこのうち前者を達成するだけです。残りの半分の体で覚える部分はまずあなたが手本を見せ、次に生徒にもやらせてみることで習得させていきます。そして失敗させ、よかった点と悪かった点をセットで伝えるのです。
    旧帝国海軍の連合艦隊司令長官として知られる山本五十六元帥の言葉に「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」があります。
    叱るときは同時に褒め言葉を添えるのが一番ですが、日頃から褒めていれば、時々叱っても生徒は素直に聞いてくれます。そこで褒めることを貯金しておく心がけが必要です。その貯金以上に叱ると、生徒は反発したり、やる気を失ったりします。そのバランスを常に意識しましょう。そうすれば生徒は「先生が怒っているのは自分を嫌っているからだ」などといった誤解することなく「改善の指摘」が素直に伝わります。
    おだてると褒めるを混同してはいけない。おだてるは相手を心理操作できる低い存在として見下していることです。それに対して褒めるとはその生徒の良い点を見つけてあげることです。

    繰り返させることで永続的理解となる
    先生の重要な役割は、生徒の小さな進歩を発見するとともにそのコツの内容を論理的に生徒に説明し、更に、生徒がその小さな成功を反復するように誘導することです。説明によって生徒が頭でわかるようになり、さらに反復させることで体で覚えるのです。
    もちろん、このプロセスはスポーツでのコツの習得に限りません。
    反復が重要だからといっても、闇雲に繰り返させるのは効果的ではありません。あることを20回繰り返すと記憶、習得できるとしましょう。ではその20回をどのレくらいの頻度で繰り返すと最も効果的に記憶できるのでしょうか。結論から言うと反復するサイクルを短くすることにより記憶が定着します。この臨界点はどこなのでしょうか。この臨界点は人によって違います。そこで生徒の記憶の臨界点がわかれば、効果的な学習プログラムを組むことができるはずです。

    人間の長期記憶を担当する脳の実際の部分には海馬と側頭葉という二箇所にまたがっています。海馬には長期記憶1、側頭葉には長期記憶2があるのです。長期記憶1の記憶保持期間はほぼ一ヶ月であることが知られています。永遠に保持される長期記憶2に移すために重要なのは一ヶ月以内に復讐させるということなのです。具体的には新しいことを学んだ最初の時点から、一週間以内に最初の復讐を行い、さらに初回の復讐時から二週間以内に二回目の復讐を行い、そして、仕上げとして二回目の復讐時から三週間以内に三回目の復讐を行えば万全と言われています。この復習三回方式によって学んだことが知識技能の永久保存版として脳に保管されるのです。
     塾や予備校の講師は授業中の技術だけでなく、帰宅した生徒にいかに復習させるかの技術も問われるそうです。
    「リスト暗記」という実験。
    被験者に20個の単語を暗記してもらい、1時間休憩してもらう。そして20個の単語を順不同でいいので書き出してもらいます。その結果一番多くの人に記憶されているのはリストの一番最初の単語である。大変面白い結果なのは二番目に記憶されているのはリスト最後の言葉なのです。つまり記憶が定着しやすい項目のVIP席は先頭だけでなく、最後もあるのです。これを余韻効果と呼びます。
    この実験結果が示すことは記憶を定着させるには先に理解のゴールを与えることと最後にまとめを与えることが効果的ということです。
    いくつかの項目を教えたら、それまでに学んできたことを包括する単純で根本的なルールをまとめとして伝えるのです。

    比喩の効果は絶大である。
    選挙の集計で開票率がたった数パーセントで当選確実が出たりするのは不思議じゃない?あれは、スープを煮込んでいる時、小さじ一杯の味見を売るだけでスープ全体の塩加減がわかるのと同じなんだよ。鍋半分のスープを味見する必要なんて無いでしょう。これは数学的には大数の法則と言うんだ。ある施行においてある事象が起きる確率をpとして、その施行を繰り返しても、ある回の施行が他の回の施行に影響を及ぼずことがないものとする。・・・」

    記憶定着には叱るよりも褒める方が良い。
    ペットに芸を仕込む時はご褒美として思い切り褒めたり、餌をやったりします。これは実は人間でも同じで、心理学の実験では被験者を長時間、緊張状態に置くと記憶テストの結果が悪くなることが知られています。

    あるカリスマ予備校講師の教え
    「覚えたければ、どんどん人に教えなさい。人に教えれば教えるほど、自分の理解が深まります。更に、自分がまだ理解できていない点がどこなのかはっきりと自覚できます。ライバルを蹴落としたければ、そのライバルにどんどん教えなさい。一方的に教わるだけの人はどんどん馬鹿になります。」
    これは生徒から引き出すことも大切なのだという教訓を学んだ。生徒から引き出すことのメリットは2つあって、1つは生徒自身が未理解の部分を把握できることです。スラスラと話せる部分が生徒の理解できている部分で詰まる部分がまだ理解できていない部分なのです。
    教えられただけでは、頭の中で何を理解できて何を理解できていないかの線引きが出来ていません。「説明してください」と促されることでその整理が強制され、まだ理解できていない部分が浮かび上がってくるのです。

    わかりにくく説明することも生徒の考えを深める良い方法である。禅門答というものがある。これは一般の人が聞けば、のらりくらりと捉えどころのないような話である。しかし、その分かりにくさがかえって修行僧自身が深く考えることを促しているのです。

    思考回路のスイッチを入れること
    テレビ番組で健康法を紹介するとき、テープが貼ってあったパネルが用意される。これを焦らしながら剥がすことによりなんだろうと視聴者の興味をそそり、記憶力の強化を促すのである。

  • 勉強になりました。

  • 「教える」とは理解すること、
    「理解する」とは
    「永続的理解」

    例えば
    ビール瓶があったとして、そのビール瓶に水を注ぐ時に、注ぐ速さや量を考えないと当然溢れてしまう。
    それと同じように、教えたい内容を相手に教えようとした時、相手の資質を考えずに教えようとしても、その情報は溢れてしまい伝わらない。


    その教え方にはどの様な配慮が必要なのか。

    ・「けものみち」の概念

    ・「魔の挫折地帯」を知る

    ・分解する

    ・メリハリを付けて話す、すなわち「要点提示サービス」
    文章に例えるなら「見出し」がある文章

    ・お前と呼ばない

    ・叱ると褒めるでワンセット
    「糖衣錠の概念」

    ・復習三回方式(P162)

  • 前2作よりも「人を動かす」という点が入ってるので難しいなと思った。人を教えることで、自分も教わることがある。積極的にやっていきたい。

  • 人に教えるとき気をつけてることが結構書いてあって共感できた。
    例がちょっとそれではわからないような・・・とも思った。
    それは自分に合わなかっただけかなとも思うけどw

    ただ、わかりやすくて、すらすらと読んでしまった。
    自分が人に教えるときにまたなにか困ったら読んでみようかなーと思う。

  • 分かりやすい教え方を教えてくれる本。自分が著者だったらハードルが高いと思いながら手に取った。分かりやすい教え方を教える著者のお手並み拝見。結果、それなりに分かりやすかった。著者の実体験から学んだ内容で構成されているため、それが書籍にそのまま反映されている。自分自身の講師としての失敗談さえも執筆の題材にしてしまったり、末尾にまとめが載っていて読者が情報を整理できるようにする等エッセンスが各所に散りばめられている。目新しい情報は無いものの、薄っぺらさがなく好印象。

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著者プロフィール

藤沢 晃治(ふじさわ・こうじ)

慶應義塾大学卒業。管理工学を専攻し、卒論では、AI(人工知能)をテーマとしてチェスを指すプログラムを作成。大手メーカーでも専攻を活かして、ソフトウェア・エンジニアとして勤務。『「分かりやすい説明」の技術』、『「分かりやすい文章」の技術』、『「分かりやすい表現」の技術』の3部作のベストセラーなど、講談社・ブルーバックスの著作がシリーズ合計65万部を超える。2005年に退職後、数多くの企業向けの研修で活躍中。「分かりやすく伝える技術」をテーマに、日本テレビ系の教育バラエティ番組『世界一受けたい授業』にも講師として出演。TOEIC900点、英検1級、工業英検1級、通訳ガイド資格(英語)なども持つ。
その他に『日本人が「英語をモノにする」一番確実な勉強法』(三笠書房>)、『新装版「分かりやすい表現」の技術』(文響社)、『心を動かすプレゼンの技術』(角川書店)、『「判断力」を強くする』(講談社)など著書多数。

「2020年 『頭のいい段取り すぐできるコツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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