宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062577311

感想・レビュー・書評

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  • 先日読んだサイモン・シンの「宇宙創成」という本が面白く、「宇宙の成り立ち」に興味を覚えるようになった。そこで買ってきたのが本書。「科学に興味はあるが、あまり専門的なことは分からない、という人向け」というのがブルーバックスのコンセプトだと思うので、まずはブルーバックスを買ってきて読んでみた。

    サイモン・シンの「宇宙創成」は「ビッグバン理論」がどのように成立したのか、という話が主要テーマであり、話はそこまでで完結している。たぶん、本書の発刊の方が後なのだろう、ビッグバン理論以降の理論にも、本書では触れられている。専門的なことが分からない人向け、の本ではあるが、それでも理論の説明なので、専門的なことにも触れざるを得ず、理解は簡単ではない、というか、理解できない部分も沢山ある。それでも、本書はわくわくする、面白い。
    ビッグバンが起こる前、最初に素粒子ほどの大きさの宇宙が出来、それが膨張していった(インフレーション期というらしい)後にビッグバンが起こった、とするインフレーション理論の紹介(インフレーション理論自体は本書での主要なテーマではないので、ごくごく簡単に扱われているが)。
    宇宙全体で、普通の意味での原子から出来ている物質はわずか5%程度。残りは、正体不明の暗黒物質、および、暗黒エネルギーから出来ている、という理論がある。それは、現在の物理法則では説明できない現象であり、新たな理屈が必要となる。その理屈として考えられているのは、宇宙は実は4次元ではなく、もっと多次元で出来ているとする説明、あるいは、更に宇宙は一つではなくいくつもあり、暗黒物質や暗黒エネルギーは別の宇宙から来ている、という説明、等が考えられているという。
    読んでいると、頭がくらくらしてくるような話だけれども、ものすごく刺激的で楽しい。

    基本的には理屈というか知識を説明した本なので、「感想」はうまく書けないけれども、サイモン・シンの「宇宙創成」を読んで面白く感じた人には、是非、一読をお勧めしたい。

  • この手の解説本には、いくつかは必ず難解でついていけなくなるところが出てくるが、本書は本当にわかりやすかった。

  •  講演での話を基としているらしく、読みやすい。ダークマターとダークエネルギー。その存在が影絵のように浮かび上がって来るようです。

  • サイクリック宇宙論とか、超弦とか、そこいらあたりの本が好きで読んでいる私にはそれほど得るものはなかったけど、暗黒物質、暗黒エネルギー、そこからの人間原理のところは目からうろこが落ちた感じ。

  • 著者はIPMUの機構長をつとめる理論物理学者。宇宙物理の現状を、非常にわかりやすく解説されている。
    暗黒物質というのは、学生時代からよく聞いた言葉だったが、暗黒エネルギーなるものが存在するとは...。しかもそれが宇宙の70%以上を占めているということは、宇宙を構成するものについては、ほんの一部しか理解されていないという事になる。通常の物質は宇宙全体の5%にも満たないという数字を出されて、改めて宇宙の奥深さが伝わって来た。
    本書の内容は、私が学生の頃ならあるにはあっても、SFチックでトンデモかなと思えるような感じだったが、最先端の素粒子論や宇宙論では実験での検証なども進んでかなり信憑性が増しているということに驚いた。暗黒物質もこの先10年〜20年以内には検証可能なのではないかという話は、私の生きている間に暗黒物質の正体が突き止められる可能性があるような気がして、読んでて興奮した。
    著者の「宇宙の研究をしているととても謙虚な気持ちになります」という言葉は強く印象に残った。
    異次元の存在、多元宇宙など、とにかく面白い内容である。

  • この人、語り口が非常に易しいので分かった気になる。
    新書ということもあろうが、この天才の本が何十万部単位で売れている事実、日本にはまだ未来への可能性が残されていると思う。

  • ★2012年4月24日読了『宇宙は本当にひとつなのか』村山斉著 評価B+
    話題になっていた宇宙関係の解説本。中学~高校時代に好きでよんでいたこの系統の本をひさしぶりに読んで、その理論の進歩には驚かされました。
    そしてこの本は、文系の私にも分かりやすくとても親切に書かれています。

    NHKの番組では、インフレーション宇宙とか取り上げていましたが、その他多次元宇宙の解説もあり、いまだ分からないダークマターの推測も興味深く読ませてもらいました。それにしても、この広大な宇宙で見えている星々、銀河の質量が全宇宙の数%なんて、いまだに信じられないです。まだまだわれわれ人類は謙虚に生きなければならない小さな存在です。

  • 多次元宇宙と多元宇宙についての話。それを「暗黒エネルギー」と「暗黒物質」という切り口から書いている。
    意味不明、かと思ったけどここでもやはりE=mc^2が重要となっている、ということに驚いた。それは暗黒物質が「目に見えないにも関わらず、莫大な重力を持っているのは、別次元では動いているが4次元では見ることが出来ない。だが”動いているから”重力を持つ」というものは納得。
    これは大いにあり得ることだと思う。
    また高次元がイメージしにくいものだったが、別に大きさも同じという訳ではないということも驚き。人間にとって綱渡りの綱は1次元だが、小さなアリにとって見れば2次元、という様に高次元はミクロの世界で単に見えていないだけなのかも知れない。
    改めてアインシュタインの影響が凄まじいものであると思わされた。
    宇宙方程式の宇宙項を省いたが、実際は必要であることが分かったりと。

    また偶然に今日の日経新聞に超大統一理論について載っていて、切り抜いておいた。

  • 高校以来、科学(地学)に触れていなかったけど、あまり苦労せずに読了できました。それだけ、難しいテーマをできる限り分かりやすく噛み砕いて説明してくれている、ということなんだと思います。

    「この時代に生まれたことが凄い確率」とか「地球という星が生まれたことが奇跡」などと言う人がたまにいたりしますが、この本を読んでみると、「この状態の宇宙に存在できていることが、ありえないほどの奇跡」だということが、うすらぼんやりながら分かります。
    現時点での、「宇宙」という謎に対して科学者たちがどういった視点で取り組んでいるのかを知るための入門書としては、かなり良質な本だと思います。

  • 難しかった(*_*)

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著者プロフィール

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)教授、カリフォルニア大学バークレー校Mac Adams冠教授。
1964年東京都生まれ。1991年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。東北大学助手などを経て、2007年から2018年10月までKavli IPMUの初代機構長を務めた。専門は素粒子論・宇宙論。『宇宙は何でできているのか』(幻冬舎新書)はじめ著作多数。メディアを通して研究成果を伝えることにも力を入れる。難解な素粒子論・宇宙論をわかりやすい言葉で語る。

「2020年 『そうたいせいりろん for babies』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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