自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)
- 講談社 (2016年1月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062579537
感想・レビュー・書評
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”本当の自分の姿に気づかないまま一生を終えるなんてもったいないーー。せっかく人間に生まれてきたのですから、自分の認知バイアスについて知っておくのは、決して悪いことではありません。(略)本書は、心の盲点を知るための手引き、いわば「心の辞書」です。(「はじめに」より)“
錯視は例として視覚的に分かりやすいが、私たちの脳には自分では気づかない「クセ」がたくさんある。本書は、そんな「認知バイアス」をドリル形式で解説したものになっている。
脳の「クセ」自体は、別に悪いものではない。なんとなれば、それらは外界から入ってきた情報を効率良く処理・解釈するよう脳が学習した「直感」であるからだ。しかし、この直感に頼りすぎていると、事実を正しく認識できない場面があるというだけではなく、思わぬ不都合を引き起こしかねないのも事実である。私たちは、自らの脳に偏見のフィルターがかかっていることに対して自覚的でなければならないのだ…
と、少し堅く書いてみたが、本書は肩肘張らず気軽に読めるものになっている。一問一問の解説も、時々専門用語が出てくるとはいえ分量が1ページ前後なのでスラスラと読める。正直なところ、1つのバイアスの解説に費やすのが1ページだけというのは少々物足りなくも感じたのだが、後書きによれば、むしろ短すぎるぐらいに文字数を絞りつつ本格的な内容を紹介するという筆者の狙いだそうだ。確かに、短い中にもよく内容が纏まっていて、一般向けだからといって騙されている感じはしない。ただ、より詳しい情報を盛って書いてもらっても、僕は喜んで読むと思う。こう書くと逆に失礼になるかもしれないが、出典の論文も明記されているのはさすが東大教授。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
認知バイアス=脳のクセについて一問二~複数択形式で学べる。
それにしても脳って信用できないんですね~。
自分の脳だけ信用できないのかと悩んでました。
いろんな’思い込み’は人間にありがちだったりするんですね。
もちろん自分にも。
80個の専門用語が出てくるけれど、文章も平易で解説も分かりやすかった。
ユニークで洗練されたイラストも良いです。
本の後ろの方に参考文献が記されているので、もっと深く知りたくなったときにも便利。
錯視用語と図形の紹介も50例。
巻末に本文に出てきた認知バイアス用語の索引がちゃんとあるのが感心した。
設問タイトルが文学や話題になった文言などのパロディになっているものもあるのに遊び心を感じてニヤリ。 -
認知的な歪みをテーマに、一問一答でバイアスに気づかせることを目的としている。
気になった台詞は、「『わかった』という錯覚は自己充実的な快感をもたらしますが、しかし、『わかったことはもうよい』という知識欲減退を誘導して思考停止も併発しますから、『わかった』という感覚には弊害も少なくないのです。」
一問一答形式なのでちょっとした待ち時間におすすめ。 -
特設サイト開設しました!
http://news.kodansha.co.jp/20160120_b02
脳にそなわった「勘違い」する思考回路
──「認知バイアス」の不思議な世界を体感。
たとえば買い物で、得だと思って選んだものが、よく考えればそうでなかったことはありませんか。こうした判断ミスをもたらす思考のクセはたくさんあり、「認知バイアス」と呼ばれます。 認知バイアスは、無意識のうちに勘違い、判断ミスを引き起こす、いわば思考の錯覚。 その不思議な世界を気鋭の脳研究者がひもときます。古典例から最新例までクイズ形式で実感することで、自分の持つ思考のクセ、他人のココロの動きまで分かります。
著者紹介:池谷 裕二
1970年、静岡県藤枝市生まれ。薬学博士。現在、東京大学薬学部教授。脳研究者。海馬の研究を通じ、脳の健康や老化について探求をつづける。日本薬理学会学術奨励賞、日本神経科学学会奨励賞、日本薬学会奨励賞、文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞などを受賞。主な著書に『記憶力を強くする』『進化しすぎた脳』『単純な脳、複雑な「私」』(ともに講談社ブルーバックス)、『海馬』『脳はこんなに悩ましい』(ともに共著、新潮文庫)、『脳には妙なクセがある』(扶桑社)などがある。-
2016/01/14
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わかります!そういうことよくありますよね!
是非池谷先生のこの本でその「謎」を解明してみてください!わかります!そういうことよくありますよね!
是非池谷先生のこの本でその「謎」を解明してみてください!2016/01/15
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池谷裕二先生の著作は面白く、欠かさず読むというここ最近の傾向。積読している期間が長かったけれども、ついに読んだよ、この作品。
心理学を齧った経験もあることから、慣れ親しんだ効果ばかり。心理学と経済学が合わさった行動経済学も脚光を浴びるようになってきて、人間って不思議、人の心のバイアスってもう非合理とか、いろいろ思うわけですが、バイアスを知り尽くして有効な一手を打ち続けるということになるのでしょう。
特筆すべきことは、
・記憶が定着するのは、テストを解くことでその知識を使ってみること
・記憶力は歳をとっても衰えない -
心理学でいう「認知バイアス」と呼ばれる脳のクセを学べる一問一答集。人間の直感って当てにならないなぁと感心します。
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「陸軍士官学校に所属する候補生のうち、10年後により出世していたのはどちらの志望動機を挙げていた人?①将来将校になって国に貢献したい、②軍隊そのものが楽しそう」
(内発的動機付け―Intrinsic Motivation)
「交通ルールを破ることが多いのは?①普通車、②高級車」
(上流階級バイアス―Upper Class Bias)
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など、読者がクイズ形式で回答し、1ページめくると解説と認知バイアスの名称が書かれています。
解説自体はとても短く簡潔に書かれており、ひとしきり感心した後はすぐに次ページへ進みたくなります。でも面白かった、の一言で終わらせてしまうには少々勿体ない本です。自分の日常に重ね、商品の適切な売り方だったり、苦手なあの人への交渉術などに活用できそうなものも。本を開いた時々で今の自分に必要と感じる数ヵ所を頭に留めるだけでも、日常が少し良い方向に進みそうな気がします。
個人的には上記に書いた「陸軍士官~」の問いと解答を読んで、“好きこそ物の上手なれ”のフレーズが浮かびました。高尚な目的や理由がなくたって、好きというシンプルな気持ちを持続させていれば自ずと成果を出せることが多いようです。仕事でもプライベートでも、様々な場面で自分のやる気を上げる活力になりそう。 -
クイズ形式になっているので、分かりやすい
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辞書的に使える。80+225項目!
説明は若干わかりにくい文章もあるけど、これだけ多くの認知バイアス事例を挙げられていること、「自分のクセに無自覚であることに無自覚」の記載。最大の未知は自分自身。