戦場に舞ったビラ――伝単で読み直す太平洋戦争 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062583848

作品紹介・あらすじ

「死戦を越えて誤戦となり」、「日海空軍は何処へ行つたのだらうか」、「日本降伏せり」-。太平洋戦争で撒かれた無数の伝単=宣伝ビラ。ビルマで、フィリピンで、沖縄で兵士は伝単に何を思ったか?日米「情報戦」の実態を分析しつつ、兵それぞれにとっての「戦争」を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 『文献渉猟2007』より。

  • 祖父が以前こんなことを言っていた。


    『ある日飛行機が飛んできて、空から雪の用に何かを撒いた。てっきり新しい兵器かと思って逃げたんだが、しばらくして近寄ってみるとビラだった。』


    『こっちは毎日食うものにも苦労しているのに、きれいな紙をあんなに大量に撒けるってことは、よっぽど裕福なんだろう。勝ち目はないと思った。』


    このビラのことを伝単といい、この書籍は伝単に関する話をまとめたものです。


    こんな作戦は、たいした効果が見られないため細々やっているものと思っていたのですが、読んでみるとビックリです。


    本で紹介されていたものの中だけでも100種類。


    ざっと計算すると、太平洋戦争で数億枚。これまでにばら撒かれたすべての伝単を集めると、もしかすると数十億枚になるかもしれません。


    その内容は

    ・投降を促すビラ
    ・皿一杯の寿司や、富士山の絵(故郷を思い出させるため)
    ・女房が他の男に寝取られるぞと言うようなエロ系のビラ
    ・日本を勘違いしているようなへんてこなビラ
    ・空襲予告

    など多彩です。その伝単作りには、日本軍の捕虜を参加させていたということです。


    ただでさえ、日本から遠く離れた土地で戦争をしている上に、補給線を絶たれた日本軍は情報に飢えていただろうな・・・。


    日本から入ってくる情報は快進撃ばかりなのに、増援も食料も来ない状況に疑問も感じていたと思います。


    祖父に拾ったかどうか聞いてみたのですが、その後も何度か空からビラが撒かれたのだが、近づくことが軍で禁止となったので拾わなかったということでした。残念。


    湾岸戦争なんかもビラ撒いたりしているのかな?と思ったら、やっぱり撒かれていました。


    また、オークションでも伝単は取り扱っています。しかし1枚6000円とかいう価格が付いています。


    国立国会図書館にサンプルがいくつか保存されているようなので、買うのはあきらめて図書館で見るだけで我慢します。

    兵器や戦略もいいですが、戦争好きな方はこういった本もおすすめです。

  • おもしろいんだけど、興味のない分野なので、あまり感想もない。
    欧米と日本の伝単の質の違いは、いわゆるマス広告の成熟度の差かもしれん。

  • 太平洋戦争時に日米両国が互いを欺く為にビラをばら蒔きあった。ビラを以って、両国は戦士に何を伝えたかったのか、何処まで理解出来るかは判らないが読み進めてみようと思う。

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著者プロフィール

一ノ瀬 俊也(いちのせ・としや) 1971年福岡県生まれ。九州大学大学院比較社会文化研究科博士課程中途退学。専門は、日本近現代史。博士(比較社会文化)。現在埼玉大学教養学部教授。著書に、『近代日本の徴兵制と社会』(吉川弘文館、2004)、『銃後の社会史』(吉川弘文館、2005)、『皇軍兵士の日常生活』(講談社現代新書、2009)、『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」』(文藝春秋、2012)、『日本軍と日本兵 米国報告書は語る』(講談社現代新書、2014)、『戦艦大和講義』(人文書院、2015)、『戦艦武蔵』(中公新書、2016)、『飛行機の戦争 1914-1945』(講談社現代新書、2017)など多数。

「2018年 『昭和戦争史講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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