〈世界〉。 下 (講談社X文庫 み 1-24 ティーンズハート 真・運命のタロット 9)
- 講談社 (2004年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062595919
感想・レビュー・書評
-
感性の合う友人がオススメしてたので図書館で読破しました「運命のタロット」シリーズ。
第1部の「がびーん」だの(泣)に若干挫けそうになったものの、「電子書籍化のニュースで作者さんが『ティーンズ小説に合わせようと無理したので、最初の数巻に忸怩したものがある』って言ってたのはこのことだ。大丈夫、きっと後半から面白くなる!」と言い聞かせて乗り切りました。
うん、期待通り面白かったし読んでよかったけど、ずっと昔の作品なので綺麗に終わってるだろうと思いきや、テーマは書き切ったので第2部で完、第3部は未執筆かよ! 《世界》誕生がラストと予想してたのにいつまで経ってもそんな気配ないし、結末がわかってるお話だからどこで切るんだろうとは思ってたけど……!
最終巻で強く意識したのは、この作品の「届けたいテーマはティーンズ向けなのに、展開はアダルト向け」というどこまでも難儀な性質。第2部のライコのきっつい展開は、過去の自分を愛しめる大人でないと耐えきれませんが、《女教皇》から《審判》への台詞に「これはそれがまだ難しい子どもに向けた物語なんだ」とストンと納得できました。
オススメしてくれた人とは別に「未来は既に決まっている」と考えている友人がいるのですが、彼女は「でも人は未来が見えないし過去にも行けないから、未来が決まっていたとしても無気力に生きる言い訳にはならない」と至って前向きに世界を捉えていて、その考えに触れていたことはこの作品を読む上でとてもプラスだったと思います。
未来を決めるのはアカシック・レコードではなく、その時代を生きていた人間たち一人ひとりの選択。「アカシック・レコードに記されている出来事を遵守する」という考えすら選択の一つ。未来の責任はあくまで自分にあり、いるかもわからない神に転嫁することはできない。
だから《力》や《審判》は苦手だったんですが、最終巻で好きになりました。《恋人たち》や《太陽》もそうだったけど、過去を知り行動原理を理解すれば嫌いだった相手でも愛着が湧いて好きになれるので、精霊たちが転写された経緯や人間だった頃の話をもっと知りたいな。《太陽》の三重人格の由来とか。《悪魔》はカインのせいで精霊になったそうだけど、どういう経緯だったんだろ。
《死神》なんて「第2部の片桐先輩の出番もっとほしかったなぁ。完璧超人の仮面を被らざるを得なかった彼の素顔をもっと見たかった」とか呑気に考えてたら、考察サイトを読んで絶叫しました。そういうことか! それなら《死神》の行動が納得できる! 《死神》が人物紹介を担当したときの「いい傾向だ」やピンク鎧ですっかり同性愛者かと勘違いしてたけど、もしかして主要キャラクター紹介の「《愚者》をフーさんと呼ぶのは片桐だけ」はこれを裏付けていたのか(片桐が愚者をフーさんと呼ぶ描写はなかったはず)
これで行くと他にも紛れ込んでるかも。例えば《力》が安西さんで《運命の輪》が碧川さんだったら楽しいな。二人が《女帝》に拘るようになった切っ掛けがまだ描かれてないという以上の根拠はないですが。
個人的に一番気になるのは《愚者》。スワンソン親子と関わりがある誰かと睨んでいるんですが、服装から日本人の可能性も高いし、女好きなのが何かの反動なら女性の可能性もあるし、実はジョン・スワンソンであの反応は近親憎悪もアリかなと思っています。
要は第2部最終章でぶっ飛びました、っていう(苦笑) 登場済みの人物に転写前の精霊が紛れ込んでる可能性は疑ってたので、驚きながらもちょっと悔しかったです。
あと驚いたのは、作者さんが男性だったこと。何の疑いもなく碧川さんは作者のアバターだと思ってたのでびっくりしたけど、言われてみれば納得、かな。序盤からの同性愛描写や第2部でのドロドロした女らしさは、男女の性差から逸脱しているが故に男女の違いを強く考える人ならではだったかも。《吊るされた男》での性描写は若干露骨すぎた印象だけど。
グダグダになりましたが、第3部読みたいです。結末がわかっているとはいえ残っている謎が多すぎる。特に《愚者》関連。それに、転写が精霊にしかできないなら、そもそもの最初の精霊は誰だったのか。ティターンズとプロメテウスの対立はいつから始まったのか。作中疑問視されなかっただけに余計気になります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このラストに救いがあるのかないのか。
「時空を超えて何度でもめぐり会う」ってこーゆー事を言うんですね、きっと。
魔法使いの純愛がすごい。 -
やっと全巻読み終わり。なんとなくワケが判らない状態で終了。読解力がたりないよう。
そのうち全巻読み直したい。