眩暈 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (708ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630795

感想・レビュー・書評

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  • 「占星術殺人事件」を愛読する青年の戦慄すべき日記。そこには荒涼たる世界の終焉が広がり、切断された男と女が合成され両性具有者となって彼に語りかける。醜悪な現実と蠱惑の幻想世界が今、驚天動地のトリックによって大いなる融合をはたす---------新たなミステリーの空域を雄々しく飛翔する島田庄司の圧倒的傑作!

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    背表紙に書いてあった上記の文章を見たら読まずにいられないでしょう、ヤッパリ。あまりにも突拍子なく強引な推理展開。でも面白かった。細かい部分が結構そそる。

  • いや、むちゃくちゃですよほんと、ややグロな

  • 自身の「本格ミステリー宣言」を強く意識して書いたのが本作のようです。

    その作風とは、より「詩美性」「幻想性」のある謎の提示と、「精緻な論理的推理」による謎解きがベースになるものの、従来以上に論理性と幻想性サイドを強調すべきとする。

    そして以上の経緯が書かれた、綾辻行人氏との対談を含む「本格ミステリー宣言Ⅱ」中の「眩暈が内包していたもの」では次のような話が。

    この対談後にあった時綾辻氏が自身の次作のトリック構想について語ったらしく、それが島田氏が10年来温めていた構想(「眩暈」)と同じアイディアだったことから、慌てて本作を書いて発表したらしいのだが、もしそうなら、島田氏も正直に綾辻氏の構想を聞いた時に自分も同じ構想を持っていると言うべきでした。

    結果的には綾辻氏の作品(発表年から推測すれば「時計館の殺人」だと)は「眩暈」よりも数か月先行されて発売されたようなのですが・・

    では、本作の感想です。

    長い。

    そして、精神異常者(手記を書いた人間ではない)が真実を語ったようにみせる手法はトリックとしては最低です。

    これなら、どんな不可能な状態も創造できます。

    どう考えても、彼が宣言した論理性を重んじる本格ミステリーとは程遠いやり口です。

    野崎六助氏の解説も難解です、というかミステリー小説を1冊読むのにこんな予備知識を必要とされること自体が興ざめです。

  • いやはや凄い。どう考えても現実とは思えないことを論理的に説明していく。御手洗がこれは事実だと気づくきっかけとなった渦巻きの考察も素晴らしい。なぜ乾燥機がついているのかとかなぜレモンを香織が絞ってあげたのかとか細かいところが全て一つの真実を構成する要素だったなんて。これぞ本格ミステリ。

    島田さんの著作は、絶対リアルとは思えない摩訶不思議で非現実的な物事を僅かな隙間から論理で崩していく作品が多い。しかし、それらの中でも特に今回の事件は本格性を強く感じた。

  • 面白かった!同じ文章でも見える情景が異なるこの小説ならではの美しさ…

  • 中々の混乱から始まるが、ラストにすべての複線を回収するとこが島田壮司らしくていい。
    結構無理やり感はあるが。
    もっと言えば『占星術~』もっと強調してくれても良かったかなぁ??

  • こういう謎の解き方があるのね!という驚きと、自分では到底思い付かないトリックに嫉妬のしようもない。大小様々な謎を解いていく様は読んでいて圧巻。上下二段で分量はかなり多く感じたが、読み始めれば全く気にならない。やや説明が上長な気もするが、それも含めて面白い。読んで良かった!

  • 御手洗潔シリーズ。重厚な作品。どのように展開されていくのか、不安になりながら読んでいきました。最初に提示された文章からミステリアスに進んでいきます。本当に何が起こったのか、気にしながら読み続けられました。

  • 非現実的な手記を主軸に掘り出される奇怪な事件
    食品公害、サリドマイド児、太陽消滅、世界の終わり、あるはずのない四階、両性具有、アゾートの実現、、、?
    バイオレンス、セクシュアル両面でシリーズのなかでも刺激強めな内容。
    馬車道からインドネシア、北海道の果てまで今回もよく動き回ります。
    いつもながらダイナミックでエキセントリックな仕掛ですが、謎めいた悪夢的手記の内容をすべて現実世界で説明してみせるつくりに満足!手記と現実、マンションでの出来事、順序も含めて飽きさせない構成でとても楽しめました。

  • 御手洗潔シリーズ、8作目。

    相変わらずというか、最初の導入部は狂人妄想的な手記から始まる。その、いかにもあり得なさそうな妄想ごとを、御手洗が見事に現実ごととして証明していくところは興味深く読めた。確かに御手洗のようにワールド的な視野を持っていないと、思いもつかないかも。無理に小難しく、かつ、グロテスクな描写を多用するのはちょっと苦手、、、と思うが、結局最後まで一気に読み進めてしまっているんだもんな。それだけ島田作品の魅力に嵌ってしまってるのかも。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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