- Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062631006
作品紹介・あらすじ
朝廷に背き、蝦夷(えみし)の側に身を投じて戦った父藤原経清、叔父平永衡の名を継いだ清衡は源義家の力を借りて乱を治め、藤原に姓を改めて平泉に黄金の都を築いた。堂塔を建て勅使を迎えて栄華を誇る孫の秀衡の許に源氏との宿縁が3たび影を落とす。壮大なスケールで描く、傑作歴史小説ついに完結! (講談社文庫)
朝廷に背き、蝦夷(えみし)の側に身を投じて戦った父藤原経清、叔父平永衡の名を継いだ清衡は源義家の力を借りて乱を治め、藤原に姓を改めて平泉に黄金の都を築いた。堂塔を建て勅使を迎えて栄華を誇る孫の秀衡の許に源氏との宿縁が3たび影を落とす。壮大なスケールで描く、傑作歴史小説ついに完結!
感想・レビュー・書評
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初めて、蝦夷側からのお話を読みました。
全五巻、夢中になってました。
歴史は見方によって、こんなにも違うんだなと思いました。
どんなに不利な状況であっても、蝦夷としての誇りを忘れず、そして民の事を一番に考えていた泰衡に何度も胸が熱くなりました。
読んでよかったなと思った本でした。
いつか、藤原や安倍のゆかりの地へ行ってみたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大好きな作品の最終巻。
1巻と5巻(最終巻)のみのレビューという中途半端さですみません笑
蝦夷と朝廷との戦いを描いた大作。
最終巻は経清の子孫である泰衡が主人公。
泰衡は、史実上では保身のために義経を売ったような印象やったけど、ここでは全く違う描かれ方をしていた。
「国は滅びても人は残る」
それを信条に、繁栄を極めた平泉を滅ぼし、自分も死ぬことになっても、そこに暮らす人々を、文化を生かそうとした。
それは、同じく泰衡の祖先、経清の息子である清衡が、仏教によって人を治め、平和をはかったように。
大切なのは人と文化。それを守るためにどうするか。
少なからず、それを考えて歴史を作り上げてきた先人たちがいると思うと胸アツ…!
これは小説だし、本当のところは分からない。
けれど、こんな見方もありなのか、と思ったら、歴史の中で散っていった多くの人間の中に、もっともっとロマンが隠されているのでは、と思うと感動で胸がつまります。
歴史の奥深さを教えてくれた運命的な小説です。 -
再読。
やはり面白い。
スケールも大きく、時代小説の熱さを存分に味わえる。
さらに、東北地方に縁のある人には絶対におすすめ。
歴史とは何か。
解釈によって、視点によってこれほどにも違って見えるものかと思う。
経清、貞任の第一部も大変な引力を持っているが、
泰衡の最終章がもっとも印象的。
そもそも四代泰衡という人は、名君藤原秀衡と対比的に国を滅ぼした愚将と語られるのが常だ。
その泰衡の真意が語られるシーンは感動的。
長らく中央政権から隔絶し、幕府権力に滅ぼされた奥州藤原氏について、
信頼できる文献史料はおそらく望めないだろう。
だから、実際の平泉がどうだったのかは、誰にもわからない。
この小説も、結局は完成度の高いフィクションでしかない。
しかしこの小説は、娯楽性を備えながらも、歴史の多面性、日本人の多様性を訴えて余りある。
東北出身の筆者の心からの訴えであろうと思う。
東北地方が、現在もなお、軽んじられる傾向にあるのは確かなことだ。
それが、軽んじられている側にしか感じられないような程度であったとしても。
奥州は、戊辰戦争でも反勢力を形成した。
日本はなまじ狭いだけに、全国統一の波にいつも飲み込まれてしまってきたけれど、
東北史を見ていると、二国共存ないし連邦制の可能性もゼロではなかったのだと思う。
同じ可能性が、日本各地にあったのだろうと思う。
地方分権、道州制が叫ばれて久しい今、「炎立つ」に
地方自治の可能性についての想像力をかきたてられる、といっては言いすぎだろうか。 -
東北の地に生きる人々、そして武士の壮絶な歴史ロマン。
時代背景は『火怨』→『炎立つ』→『天を衝く』と続く。
格好良い生き方の男達に惚れますよ!涙しますよ!引き込まれますよ! -
R4.9.10~9.18
読了!
最終巻は
・藤原秀衡がご老体、泰衡が若殿としてスタート。
・基衡の存在なし!
・秀衡の野望、泰衡の苦悩。
・源義経がかき回す。
・秀衡死す。泰衡の奇策とは。
・若干荒唐無稽か…。
最終的にちょっと無理やり感あります。 -
最終巻は秀衡、泰衡、頼朝、義経の時代の話。これまでの流れから、なるほど、こういう解釈かとは思ったけど、史実が史実なので空回りしている感じでリアリティがなかった。納得感があったのは最後だけ。後日譚的にもっとあっさり締めてよかったと思う。
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藤原経清から始まる壮大な物語。歴史はわかってはいますが、蝦夷の物語をどう完結させるのか、わかりませんでした。
やられました。素晴らしい。
蝦夷の国は陸奥に暮らす全ての胸のなかにある。一人ひとりが蝦夷の国。皆が生き延びてくれれば、形としての陸奥はなくなったとしても、滅びはしない。 -
最終巻は、戦をしない、りっぱな武士の話でした。
以前、何も知らないで中尊寺に行きましたが、今度はしっかり参りたいと思いました。
「まことの武士たるは安寧にあって乱に備え、乱にあるや一人平穏を保つ者である」 -
奥州藤原の終焉、泰衡さんと源義経さん時代のお話。
初巻から150年を描いた最終巻。
歴史の流れは現代からはわかっているので、人物たちをどう描くかだと思うけれど、とにかくテンポとバランスが悪い。
蝦夷のプライドや男の友情を描きたいのだろうけれど、題材に対して作者の力量が追い付いていない感じでした。
奥州藤原氏に光を当てたのは良いと思いますが、とにかくつまらないお話だったな…というのが全5巻を読み終わった素直な感想です。
歴史モノであれば資料を集めたり色々と大変なのはわかるけれど、主役を張る人物たちが既視感のあるタイプばかりで、どの時代のダレを主役にしても同じ味付け(しかも大味)にしかならないように思いました。