異邦の騎士 改訂完全版

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062637701

感想・レビュー・書評

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  • 推理小説?
    いや、これは純愛小説だ!!
    笑いあり、涙あり、涙ありの名作
    生涯で1度は読んでほしい本の1つ

  •  公園のベンチで目を醒ました男は、自分が記憶喪失になっていることに気が付く。そこから運命的に出会った女性と逃亡にも似た同棲を始め、ちっぽけだけど二人には等身大の幸せを築いていく。ここまでだと、伊井直行『草のかんむり』の様なお伽話の体裁を採った性質の悪い比喩であり、カフカ『変身』の様に本人があたかも傍観者の様に追想している様な作品かと錯覚する。

     そしてある日、当然主人公は自分が何者かなのか詮索を始める。いや、自分だったら固執するだろう。そして唐突に語られる、日記の数々。そこで読者は真相に突入すると期待するが、さすがにそこでは終わらず、ありきたりの言葉で言わせて頂くと「二転三転」する。むしろ準備の整った舞台で、そこから悲劇の幕開けとなる。

     主人公の支えとなる占い師は影の主役ではないかとさえ感じたが、その直感は誤りではなかった。後のシリーズの主人公となる男だった。この作品『異邦の騎士』は、何も生み出すことのできない稚拙な自分と、それに対しての焦燥感を想起させるには充分だ。そして、根底に音楽が存在するというのも救いとして共感できる。

  • 御手洗潔シリーズ第4作。

    公園のベンチで目覚めた男は記憶を無くしていた……。

    とんでもないシチュエーションで始まる本作は、名探偵御手洗潔最初の事件を扱っている。もし自分がそんな状況に陥ったらどうするだろう?と思いながら読み進めるうちに、その男とシンクロしていく感覚になる。タイトルがとてもいい。あとがきで、タイトルがなかなか決まらずに苦労したとあったが、作品の世界観をみごとに表しているように思う。

  • 知り合いに島田荘司さんを教えてもらって、初めて読んだのは「暗闇坂の人喰いの木」だったんだけど、そこから「切り裂きジャック·百年の孤独」「占星術殺人事件」を読み、これが四作目かな。次は「斜め屋敷の犯罪」かなと思ってる。

    主人公の男性は記憶を失い体に怪我を負った状態で公園のベンチで目が覚める。
    目が覚めて記憶がないとわかってすぐに石川良子という女に出会い、居候させてもらう。二人は恋仲になり、主人公の男は過去の記憶も気になるが、目の前の女性との人生を歩むことに賭けようとしていたとき、石川良子宅で自分の免許証を発見する。

    そこから、過去自分は何をしてきたのか、なぜ公園のベンチで怪我を負い倒れていたのか、過去の人生を探っていく。

    御手洗潔はこの小説では脇役っぽいけど、最後しっかりこのミステリーを気持ちよく解いてくれて爽快。複雑な話ではあったが、テンポよくスリルもあっていつも島田荘司さんの分厚い小説は一気読みしてしまう。

  • 記憶を失った男。新しい人生を手に入れたとき、自分の過去を知ることとなる。男の妻と子供は自殺していた。自分は復讐しようとしていた。
    怪しい占い師・御手洗潔がいいですね。
    だんだんとスリリングな展開に。思いもよらない結末に。
    面白い。引き込まれますね。

  • 記憶を失った男が小さな幸せを見つけ、自分の記憶を失った過程を取り戻しに行くクライマックスで颯爽と現れる「騎士」。前半の淡々とした筆致から、緊張感が盛り上がっていき、「騎士」によって解決に至る場面が面白かった。

  • すごいトリックだな。
    これを真剣にやる犯人に脱帽。

    御手洗のキャラは相変わらずで、楽しい。
    また別の作品も読みたい。

  • 2018.4.23

    石岡君の話。
    記憶喪失になった石岡君が代理殺人として利用されかける話。恋愛(?)要素あり。
    石岡君の劇的自伝小説で、シリーズ恒例、後半で御手洗活躍、どどどっと展開する。
    御手洗シリーズぽくない所以は、石岡君本人の自伝なので感情描写が多く日常的でミステリというよりもサスペンス。新本格ではない。最後に全て覆すトリックが明かされるわけだけど。
    石岡君と御手洗の出会いでもある。
    トリックが複雑で面白かった。よく思いつくよなあ。
    真犯人である良子のお兄さん(益子秀司)はほんの少ししか登場しなかったけど印象深いキャラクターだった。天才医師として今後の登場に期待。闇深。
    シリーズとしては4作目だけど、執筆は1作目らしい。(あとがきより)そんなかんじ。
    全体的に重くて、御手洗の軽快さが埋もれるほどなのであまり好みではなかった。バッドエンド寄り。ただし最後のトリックは秀逸なので読む価値はある。
    私の最大のミスは、本書拝読前にレビュー漁りをしてしまったこと。「主人公があの人だったとは」というレビューをいくつも見ていたので、御手洗の過去編だと思って読み始めたが、序盤で石岡の方か。と気づく。
    石岡だったんかい!というどんでん返し体験したかった。

    そして今回も島田氏のあとがきがとても刺さった。
    漠然とした不安を抱えた生産性のない20代。ここから抜け出すためには書くしかない。何か行動しないとなあ。

  • とにかくすごい!!これはもはやミステリーではない。
    島田さんの文章表現力もすごい。

  • ご都合主義な設定、展開ではあるが、面白く、1日で読了。
    御手洗シリーズのキャラに魅力を感じるなら必読です。

    結末は救いがなさ過ぎで、その他の話の石岡君のイメージとはだいぶかけ離れてる。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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