ま・く・ら (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062637770

作品紹介・あらすじ

枕は落語のイントロ。バイクの車庫に居ついたホームレス、英語留学の顛末、玉子かけご飯まで小三治にかかるとたまらなく面白い。旺盛な好奇心と確かな眼、磨いた話術がくり出す枕は枕を超えた。長短18篇を取り揃えてご機嫌伺います。人生っていいなと心温まる、「まくらの小三治」の真骨頂、お楽しみの程を。

感想・レビュー・書評

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  • R2.5.27 読了。

     1998年に発売された小三治さんの落語のまくらのお話。「玉子かけ御飯」「日本の塩はまずい!」「ミツバチの話」が面白かった。
    また弟子の七代目柳亭燕路真打昇進披露口上の場をおこした「口上」は小三治さんの弟子を思う想いと弟子を育てることの難しさが語られていて良かった。

    ・「あたくしいつも申し上げるんですけど、旅をして、いいなと思う土地は、そこでおいしいもん食べたとか、いい名物を見たじゃなくて、そこでどういう人との触れ合いがあったかということが旅の楽しさだって。」
    ・「我々もみんなその家にたまたま生まれてるんです。どのくらいあたくしたちも、小学校へ上がる前、あるいは九つか十ぐらいまでの間の生まれ育ちを、ずっと一生引きずっていくかはわからないですよね。あたしは、その人の一生は子どものときに決まるんだろうと…(中略)後から性格を変えようったって無理なんですよ。今、自分の性格を悔いて苦心なすってる方々、もしおいでになったら、無駄な努力です。そう生まれついたものはそれで開き直っていくしかない。」
    ・「じゃ、幸せって一体何だっていうとね、ちょっとした幸せ、ちょっとうれしいこと、それを幸せっていうんじゃないかなって、このごろ思うんです。」
    ・「大きい幸せなんかないんですよ。ずっと探してきたけどね、結局、見当たりませんでした。」
    ・「昔の自分からしてみれば、とても根性のない人になってしまいました。でも、今とても気持ちが楽です。人はそれぞれの形でいいんだと、こう思います。」
    ・「自分のことも以前はもっと自分で責めていました。今は人を許せるとともに自分も許せるような気持ちです。」

  • どなただったか、これは傑作と絶賛されているのを見たことがあり、思い出して手に取った。確かに!たいそう楽しんで読んだ。気楽に笑いながら読むものかと思っていたが、いやいやどうして読みごたえたっぷり。

    小三治師匠と言えば、以前はテレビでよく見かけ、バイク好きであることも知っていたが、こういう「噺」をしていたんだなあ。軽妙な語りのなかに、生き生きとした好奇心と反骨精神が流れている。これは「もひとつ」あるそうなので、すぐ読むことにしよう。

    • yuu1960さん
      小三治師匠のCD聴くと驚きますよ。噺に関係ないマクラを延々と。
      マクラを喋ってる途中で、じゃあ今日はこの噺にしようかなと考えるんだとか。
      小三治師匠のCD聴くと驚きますよ。噺に関係ないマクラを延々と。
      マクラを喋ってる途中で、じゃあ今日はこの噺にしようかなと考えるんだとか。
      2017/08/11
    • たまもひさん
      CDもやはりマクラ入りですか。この本でも、あらかじめ演題が決まってるのはいやだと何回も言ってましたね。何と言うか、そういうとこらへんが実にい...
      CDもやはりマクラ入りですか。この本でも、あらかじめ演題が決まってるのはいやだと何回も言ってましたね。何と言うか、そういうとこらへんが実にいいなあと思います。CDも買おうかな。
      2017/08/12
  • 小三治師匠の落語の枕を集めたもの。面白い!そして学んだ。

    なんてったって悪口。これは噺家さんだから許されることで、普通の人が外に行って人の悪口言っちゃダメですね。
    愛情がこもってます。

    自分の駐車場のオートバイとオートバイとオートバイとオートバイの間に、つまりは4台のオートバイを持っている師匠ですが、そこに住み着いたホームレスの話。人間性がうかがえて感動しました。

    日本の塩は塩田で作っているものではなく、塩化ナトリウムなので世界一まずいってことも知りました。
    ためになるとともに、楽しく和む一冊でした。

  • 落語の最初の部分。
    とてもおもしろい。
    亡くなられたのが残念。

  • 人間国宝の落語家、柳家小三治さんの枕を文章化したもの。

    私は落語ど素人で、何にもわからないんだけど、夏目漱石も落語好きってことだったし、落語もいいかもしれないと思ってた矢先に見つけて読んでみた。

    リズムがすっごくいい。そりゃそうだよね、落語の枕なんだから。だからこそ文章で読まないで耳で聞くのがいいんだろうと思った。内容は面白かったり興味深かったりしんみりしたりいいんだけど、耳で聴くのが最高なんだろう。

  • 落語家のまくらを書き起こした本。久しぶりに小説でもノンフィクション、ノウハウ本でもないものを読んだ。話は面白い。まくらの後の落語を聴いてみたいと思った。

  • 小三治の生の枕が聞きたい。7月には聞けるはず。

  • 最近、落語がなかなかしんみりしていいと、複数の方にお勧めいただくことがありました。ならば読書の隙間に、ちょっと聴いてみようとインターネットで検索。

    落語といえば、米朝師匠だよね、と、チャレンジしたのが「立ち切れ線香」。ところが…どうしたことでしょう、師匠の上品な語り口を聴くと、なぜかすぐに瞼が…。ほんの数分のまくら部分で寝落ち。最後まで聴き終えるのに、一週間かかりました。続いて「まめだ」。これも、なぜだかすぐ寝落ち。ぽろんと涙がこぼれるラストシーンまで、これまた一週間を要しました。

    そんなネット検索の過程で、いつもヒットして出てくるのが小三治師匠。そういえば、この方のまくらが最高だと、これまた教えていただいてたのを思い出し、聴いてみましたが、小三治師匠もなぜかすぐ寝落ち。まくらの冒頭も聴き終わらないのです。
    このままでは、いつまでたっても聴けないわ、と気づきまして、文字なら少しは進むだろうとこの本「ま・く・ら」を読むにいたりました!

    というわけで、「ま・く・ら」読了。面白くて、あったかい。駐車場の長谷川さんのこと、昭和天皇への思い、英語談議などなど、軽妙な語り口のなかに深い人間愛を感じる本でした。

  • 「枕は落語のイントロ。」と裏表紙の紹介文にあります。本編に入る前の前座という感じでしょうか?噺家さんが変わる訳ではないので、前座というとおかしなことになってしまうか。お食事に例えるなら主菜を前にした、前菜にあたる部分。
    この「まくら」ですが、結構長い(笑)。本書には主菜にあたる落語の本編はなく、「まくら」を集めたものだが、1編がそれなりの分量がある。本編がどれほどかわからないが、本編より長いものもあるのではないか?と疑ってしまう。
    わたしのお気に入りは「駐車場物語」。小三治さんはバイクが好きで4台ほど所有し、駐車場の車1台分の広さに駐輪しているとのこと。そこに、ある日から人が住み始めちゃった・・・というお話。
    他にもご自身の体験を面白おかしく表現する「まくら」が楽しめる。
    一流の語り手、表現者の技を垣間見ることができる一冊。
    これまで一度も落語、寄席に参加したことがないが、行ってみたくなる。

  • 小三治師匠がしゃべっている様子が目に浮かんで、とてもおもしろかった。アメリカに3週間語学留学に行った話や、ミツバチの生態についてなど、意外な話がいろいろあった。

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著者プロフィール

噺家。本名・郡山剛蔵。1939年、東京生まれ。1959年、五代目柳家小さんに入門して、前座名・小たけ。初高座は『道具屋』。'63年、さん治で二ツ目、'69年、真打ち昇進、十代目柳家小三治を襲名。2010年に、落語協会会長に就任。1981年、芸術選奨文部大臣新人賞、2004年に芸術選奨文部科学大臣賞、2005年、紫綬褒章受章、他。『百川』『小言念仏』『野ざらし』等、数多くの得意ネタを持つ。DVDブック『落語研究会 柳家小三治全集』他、CD、DVD多数。著書に、『柳家小三治の落語1~3』『ま・く・ら』『落語家論』他。

「2013年 『落語研究会 柳家小三治大全 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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