- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062645034
作品紹介・あらすじ
殿中で吉良への刃傷沙汰により、浅野家は断絶され、赤穂浪士は仇討の機を窺う。一方、吉良方が頼りとする上杉家では、家老の千坂兵部(ちさかひょうぶ)が女忍者を用い、仇討防止に色仕掛けで浪士の骨抜きを企む。大石内蔵助が同志と密議の最中に、妖美と怪異の忍法が華と炸裂した!殺気と妖気が奔流のごとくに交錯する!
1度読みだしたら止まらない――それが風太郎作品の最大の魔力なのだ。――馳星周
感想・レビュー・書評
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相変わらずの面白さ。
ぶっ飛んだ忍者が出てくるという
風太郎パターンは同じなんだけど
ついつい読んでしまう中毒的小説。
堅い小説読んだ後にはこういうのお勧め。 -
2012/2/19読了。正月に放映された忠臣蔵のドラマがあまりにつまらなかったので、面白い忠臣蔵に触れたいと思い読んでみた。虚と実を巧みに組み合わせた風太郎忍法帖の傑作、期待に違わぬ面白さだった。
赤穂浪士を暗殺するべく吉良上野介の実子上杉綱憲が放った忍者たちと、それを阻止すると同時に赤穂浪士を色仕掛けで骨抜きするべく上杉の家老千坂兵部が放ったくノ一たちの忍法合戦がストーリーの中心。
赤穂浪士ではなく上杉家内部の忍者同士の戦いとしたところが面白い。それでいて大石はじめ赤穂浪士たちもキャラが立つよう描かれているのが凄い。風太郎忍法帖らしく奇想天外でエロチックな忍法が次々に繰り出されるのも楽しい。
しかし本書で最も印象に残るのは、くノ一たちを陰から監督する伊賀忍者無明綱太郎の視点である。忠臣蔵のテーマである「忠」に根本的な疑問を投げかけるこの男、大佛次郎の『赤穂浪士』における堀田隼人と同じく、物語をただの義挙美談ものに終わらせない重要なキャラクターである。 -
『拙者、忠義と女は大きらいでござる』
風太郎忍法帖第七作。
忠臣蔵に忍法争いを絡めるだけでも奇想天外ですが、その舞台設定も想像を超えています。
浅野家の浪士達の討入を阻止するため、忍者を放つは吉良家ではなく上杉家。主君「上杉綱憲」により主導者の討伐を命じられた「能登忍者十人衆」vs 家老「千坂兵部」により浪士討伐を阻止し色仕掛けにより浪士を骨抜きにするよう命じられた「能登くノ一六人衆」と伊賀忍者「無名綱太郎」。何とも複雑な構図です。
さらに、主人公の綱太郎は、風太郎忍法帖屈指の強さを誇りながら、忍法争いには積極的に参加せず、くノ一の補助と監視に徹するという、これまた異色な設定。
忠義と肉欲の間で揺れ動く浪士達の葛藤はもちろん、
忠臣蔵のテーマである「忠義」に投げかけられる疑問も印象的です。
世にもてはやされる忠義とその裏で生じる犠牲。
何が正しくて何が間違っているのか? -
山田風太郎の忍法帖シリーズの2つ目。
甲賀忍法帖はバジリスクのアニメがあったので忍術やキャラクターがイメージしやすかったが、今回は自分の想像力が全くついていけなかった(笑)
女忍者の使う技が常人のアイデアを超越しすぎていてもはや訳がわからない。
これが山田風太郎の作品なのか…と大いに納得した。
こんな作品が60年代に描かれていたとは。
当時の読者はどんなものを想像して読んだのだろうか。
男と交わると中身が入れ替わったり、男と交わると血管がくっついたりと、奇想天外な術のオンパレード。
歴史小説は読み慣れていなくて、中々読み進めるのが大変だったが、後半は人物名の漢字も読めるようになってきていた。
歴史小説は今後どんどん読んでいきたい。そうすればスラスラと読めるようになるのだろうか。 -
忠臣蔵って苦手です。
歴史ものは大好きなのですが、なぜか赤穂浪士だけは読まない、見ない、知らない、なのです。
しかし、山田風太郎の手にかかれば・・・
期待を裏切らないおもしろさ、相変わらず「んな、あほなぁ」と忍術に突っ込みを入れながら、あっと言う間に読んでしまいます。おもしろい!