笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)
- 講談社 (1999年7月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062646147
感想・レビュー・書評
-
アメリカ出張のお供に、S&Mシリーズを全巻Kindleにて購入。本シリーズを久しぶりに読みましたが、本作はシンプルでテンポの良いお話だったのかなと思います。
主人公たちが今回立ち向かう謎は消失トリック。天才数学者から与えられた謎を解き明かそうとする中で、遺産相続をめぐり、殺人事件が起こってしまうというストーリー。
刊行された当時からすると結構、斬新な印象を受けるトリックだったのかなとも思いますが、現代のさまざまなミステリーのことを考えると、割とトリック自体は珍しくはないように感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
犀川助教授と萌絵がもう少し早く気づくのでは?と思ったトリックだった為この評価に
今作の気に入ったセリフは
素朴と単純って、どこが違うのかしら?
現象としては同じだ。まぁ、違いといえば、観察者の先入観かな -
さすがにトリックはすぐに分かったが、世界観はシリーズの中で一番自分好みだった。まだ3冊目だけど!
-
みなさん書いておられるけど、オリオン像のトリックは簡単で、萌絵が気が付かないわけないでしょう
そのことにモヤモヤしてストーリーにイマイチ集中出来なかった
-
数学者・天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティで、博士は庭にある巨大なオリオン像を消して見せた。しかし、翌朝になって像が再び出現した時、そこには死体があって──。
犀川と萌絵が活躍するS&Mシリーズ第三弾。偏屈な博士が住む星座を模した館!唆るぜこれは!という設定。そこに加わる、巨大な像はなぜ消えたのか!現れる二つの死体と些末だが奇妙な謎!十二年前の不可解な事故!これらの点が結ばれた先に浮かび上がるもの。それをいかに読み解くのか。どの星を繋げて、そこに何を見るのか。すべては自分で決めるしかない。それが人間の持つ自由なんだろう。
トリック自体は簡単でも、その意味付けはユニークだった。事件の謎よりも先に、本当の問いがある趣向になっている。哲学性が強い作品。主人公二人の会話劇などが楽しめる方にはお薦めしたい。一作目のようにもっと圧倒的な天才でもよかった。語り口は天才風なのに、良くも悪くも人間的でちぐはぐ感がある。提示された哲学に対して、人間ドラマが弱いのが残念。こうなった素地を深掘りしてくれたらもっと読ませてくれる話だったかも。テーマもテーマなので、余計に曖昧さがあって決定力不足が否めない。館の造形やコンセプトなどの雰囲気は好き。
p.85
「よいか、あらゆる課題は、現実と理想、あるいは事実と理論の間のギャップにある。それを自覚することだ。しかし、現実や事実は、常に真実とはいえない。それは、あくまでも、お前たちの目が観察したものだ。お前たちの頭が認識したものだ。それを自問するのだ。見ないものを考えるのが人間の思考なのだ。お前たちは、自分の姿が見えなくても、自分の存在を知っている。それが人間の能力ではないか」
p.86
人類史上最大のトリック……?
(それは、人々に神がいると信じさせたことだ)
p.173
「先生、素朴と単純って、どこが違うのかしら?」
「現象としては同じだ。まあ、違いといえば、観察者の先入観かな」
p.193,194
人間は自分の生き様を見せること以外に、他人に教えることなど、何もないのだ。一般に使われている教育という言葉は、ありもしない幻想でしかない。
p.364
「実際には複雑な問題を簡単に扱うために数学が生まれたんですけどね、人間はそれだけでは満足しなかったんです。実際の問題よりはるかに複雑なものまで、考えたくなった」
p.386
「負け方がわからなかったんだよ、君は」犀川が言う。「勝つことばかり考えていた。どうやって負けたら良いのかも、考えなくちゃ。それが名人というものさ。僕なんかね、あらゆる勝負に負けてばっかりだからね、そういった苦労は皆無だ」犀川は微笑んだ。 -
不定だ
-
再読。読み始める前まではオリオン像を消したトリックは覚えていても犯人までは思い出せなかったのだが館の見取り図を見た瞬間に犯人を思い出せた。何故オリオン像のトリックだけ覚えていたのかはたぶん最初に読んだ時はミステリ初心者でこういうトリックにまだあまり触れていなかったからだろうなぁと思う。新鮮だったんだろうね。最後の方の天王寺翔蔵博士と犀川先生のやり取りは鳥肌もの。
-
トリックはすぐ分かります。ただこの小説は読み込んでいくと面白い。タイトルの「笑わない数学者」とは一体誰なのか…。はっとさせられます。
-
哲学というか屁理屈というかその辺の記述も結構面白かった
定義するものが存在するもの
トリックもなかなか理解できるもので良かったと思う -
人間の最も弱い部分とは、他人の干渉を受けたいという感情だ。自己以外に自己の存在を求めることが、人間の本能としての幻想だ。
-
これは割と優しいトリックだったかと。このシリーズの独特な空気感はクセになるな。理系の脳ってこんなのかーと。
あと名詞のカタカナの最後の伸ばす棒?を省略するのは何でなのかしら -
シリーズ3作目
途中でトリックや犯人が分かってしまった
ヒントが多すぎた気がする
他にもわかった人が多いみたいなので、謎解きを楽しむことを期待する人には物足りないかも
エピローグが意味深 -
オリオン像
-
2020.4.14 読了
さすがにトリックは途中から読めてきたけど、結局博士は誰だったの?という疑問が残ったなぁ。
シリーズ3冊目、先生と萌絵の関係がよりおもしろくなってきた。 -
天才数学者・天王寺翔蔵の住む「三ツ星館」。そこでクリスマスイブに開かれたパーティーで、庭にあったオリオン像が消えた。一夜明け、再び現れたオリオン像の下で遺体が発見された。そして、彼女の部屋では別の遺体が・・・
パーティーに招待され居合わせた犀川と萌絵のS&Mコンビが消えたオリオンの謎と事件の謎をとくべく、真相を探っていく。
S&Mシリーズ第3弾。
展開される数学のあれこれは全くもって理解不能だけどさらっと読み飛ばし、肝心のオリオン像消失の謎は完璧に解けました!イエ-イ
それに気をよくしたものの、肝心の殺人事件の謎解きに至るや、複雑すぎて真相が明らかにされても理解に苦しみ、動機に至ってはからっきし理解不能。。。
やっぱり、謎は人間の心の中にあるんだと深く納得しました。
「円の中心から、円をまたがないで、外に出られるか?」
この問題から始まる最終章のラストはちょっとグッときた。 -
S&Mシリーズ、三作目読了。
物語のキーとなる「"オリオン像"が消える」というトリックに序盤の方から気付いてしまった為、大筋の殺人トリックも解ってしまったが、考えるうちに一つだけ矛盾点があり「違うのだろうか…」と思い読み進めていたものの、結局その矛盾点については詳しく明かされず。
お読みになられた方も同じ疑問を抱いてるだろうと思うが、酔った律子を皆で1号室へ運ぶ時、"律子の部屋をマスターキーで開けたのは君枝"だというところ。これは単なるミスなのか、ラストの曖昧さも含めあえての描写なのか…。
しかし天才数学者、翔蔵氏の言葉や思考には個人的にとても興味を掻き立てられるものがあり、退屈さを感じはしなかった。この辺りがやはり森博嗣作品の醍醐味とも思う。 -
オリオン像の謎は、何と無くそうだろうと思ってたけど…。
哲学的な話は、あまり得意でなく…。
まぁ、でも面白く読めました。