左手に告げるなかれ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.19
  • (20)
  • (42)
  • (128)
  • (31)
  • (4)
本棚登録 : 580
感想 : 75
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062646208

作品紹介・あらすじ

「右手を見せてくれ」。スーパーで万引犯を捕捉する女性保安士・八木薔子のもとを訪れた刑事が尋ねる。3年前に別れた不倫相手の妻が殺害されたのだ。夫の不貞相手として多額の慰謝料をむしり取られた彼女にかかった殺人容疑。彼女の腕にある傷痕は何を意味するのか!?第42回江戸川乱歩賞受賞の本格長編推理。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大手証券会社に勤めていた八木薔子は社内不倫がばれた結果、不倫相手に高額な慰謝料を払い、証券会社を辞め、警備会社の保安士(万引きGメン)をしている。ある日、刑事がやってきて、不倫相手の妻が殺され、その時のアリバイを尋ねられたことから、事件に興味を持ち、犯人を突き止めるため、行動を起こす。

    盛大なネタバレをします。未読の方は下記を読まないでください。




    キャラクターは魅力的なんだけど、いまいちストーリー展開が好きになれない。仕事が出来る薔子なのに、事件の調べ中はほとんど仕事をしていない。第一章はすごく期待感にあふれて読み進められたけど、次からはなかなか…。不倫相手 木島もちっとも魅力的ではないし、父としての気概もなく(普通、母親が死んだら、娘を心配したり心中を慮ったりするんじゃないか?)、こんな父親だったら嫌だなあ、と思ってしまう。この話は探偵が犯人、犯人の一人二役のパターン。探偵も途中まで魅力的、というか薔子にとって魅力的になっているようなんだけれど、「実はこうだったんです」という読者からは推測も出来ないような事実が動機になっている感が否めない。
    薔子と森村のお仕事で関わる事件の連作短編のほうが面白いんじゃないか、と感じてしまった。

    ただ薔子のもと同僚が薔子に嫉妬して?マウント取りたくて?行った行動は「あるかもしれない」と思ってしまった。

  • 仕事をほったらかしながら出来る女を気取る主人公も、それを認める上司も、妻が殺されたのにボンヤリしている不倫旦那も、分かりやすい探偵も、ペラペラしゃべる近所の住民も、みんなバカに見えてしまった。
    事件の真相も単純。
    でも、考えてみると、アタマのいい犯人や名探偵なんかが出てくる事件より、よっぽどリアルかもと思った。

  • インパクト大のイントロ、最終章「審判」のまさかの結末・・・さらにまさかの続編あり?!一気に読んじゃいました。

  • [これぞ万人受けミステリー]だと言える本。登場人物のキャラクターや事情、人間関係、もちろん事件の内容、伏線、フェイクのバランスがとにかく良いです。

    社内不倫の露見に伴いキャリアだった過去を捨て、デパートの保安官を生業としている薔子。しかしかつての恋人の妻が殺害され、その容疑者とされてしまう。

    自らの嫌疑を晴らすために、元恋人、そして謎の探偵と共に自分なりに事件の調査を開始するうちに、最近起きているコンビニスーパーバイザー連続殺人事件とも関わりあうことに。

    私は薔子のキャラクターに好感を抱いたけれど、それはつまり大勢の読者も同様だということで、彼女を主役にしたシリーズが出来ています。

    古典ではない王道をお探しの方はどうぞ。受賞作品でもあるので、有名どころが好きな人にもお勧め。そして、バランスが良すぎて、一歩間違えば二時間サスペンスなところもあるので、ミステリーはTVで派もぜひ。頭の中での映像化しやすさは抜群。
    2010年10月26日 16:27

  • 女性が主人公だけど内容はハードボイルド。

    そのせいか、または発行が1996年と古いせいか、描写の古くささが少し気になる。
    奥さんが殺されたのに探偵役の昔の愛人に軽口で口説く、とか現実味がないなぁ。
    動機も深みが無く感じた。

    まあ、ハードボイルドってこんな感じかなと思う。あまり好みでは無い…

    強いて言えばサブキャラクターの上司のキャラが面白かった。

  • 24時間営業について。
    まさかそのコンビニが24時間営業取りやめるような時代が来るとは思うまい…。
    だけど、加盟店の大変さはこの時代から変わらなかったのね。
    24時間営業を支えるためにオーナーが犠牲になる構図。
    坂東さんはカッコいいけど、命の危険は考えなかったのかなあ…。
    万引き犯相手も、特に大けがに繋がることあるし、そんなもの承知の上でしょうってことなのか。

  •  1996年第42回江戸川乱歩賞受賞作。
     殺人の容疑をかけられた万引きGメンが、周囲の協力を得ながら自らの手で犯人に迫っていく長編ミステリー。話を伺う先々で、次の話題のきっかけになる人物が浮上し、またその人物を当たるというシンプルな流れなので、時系列で追っていきやすい。問題を解くヒントがあちこちに散りばめられていて、最後にはそれが一気に繋がる感じがして面白い。
     今から20年以上も前の作品なので、スーパーの深夜営業やバーコードシステムなど、今では一般化されているものが導入される当初という社会情勢が垣間見られるのも懐かしい感じがして、しみじみする。
     読み進めていくと「人って、なんて自分都合」と思える部分も浮き彫りになってきて、「ああ、あるある」と頷けてしまう。

  • 左手に告げるなかれ/渡辺容子:第42回大賞受賞。1996年
    不倫相手の妻に、不倫を暴かれ、キャリアを捨て会社を去った凛子(変換できないのでこれで)。いまでは、スーパーの万引き保安官。この頃はハードボイルド系女性が主人公。男が絡みたがるから、絡む。仕事そっちのけで。
    元不倫相手の妻が殺されたので、凛子に容疑がかかる。元不倫相手、突然出てきた探偵と捜査を始める。もちろん、刑事とも連絡はとっている。
    スーパーやコンビニ業界を絡めているが、結局はオタクによる殺人。そういえば、この頃出てきたね、オタクって言葉。探偵=オタク。えー こうやって変装した、と綴られているが、でもでも声でわかるよね、って永遠に思うのかな。声大事だぜ。
    時代に乗って現れた小説。

  •  第42回江戸川乱歩賞受賞作、『無制限』が某書店(BOOK・OFF)になかったので、先にこちらを読んでみた。描写がしっかりしているので読み飽きない、推理小説は不得意なのだが、それないり楽しく読まされる。ただ、題名には相変わらず違和感が残った。内容にしては大仰すぎるのかもしれない

  • 江戸川乱歩賞受賞作ということで期待して読みましたが、正直がっかり…。
    主人公仕事しなよ。

全75件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1954年、東京に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業。東京都杉並区学童クラブ指導員の後、フリーライター。筑波大学大学院(教育研究科カウンセリング専攻)修了。主な著書や個人通信に『負けるな子どもたち!──スーパーガキ大将ここにあり』(径書房)、「BURST」「もっこ橋」「暗川」「ユーカリ」「いちばんすてきな海」などがある。

「2010年 『乳がん 後悔しない治療──よりよく生きるための選択』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渡辺容子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×