幻惑の死と使途 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 544
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  • Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730112

感想・レビュー・書評

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  • 今回はトリックというよりも、その理由や思いに興味を抱きました。

  • 210105*読了
    久しぶりの森博嗣さん、久しぶりのS&Mシリーズ。
    やっぱり森さんの小説はおもしろい!
    20年以上前の小説でポケベルとか時代を感じさせるアイテムが出てきたり、今は障害にならないことが障害になったりしていても、それすらもおもしろく感じます。

    今回のテーマはマジック。
    マジシャンがショーの最中に殺され、そして霊柩車から死体が消える…。まさにマジック。
    犯人を知った時、全てが繋がって、ミステリーの楽しさを実感。読みながら謎解きをするけれど、それが当たっていても、外れていても、どちらあっても夢中になれるし、満足できますよね。

    二人の恋を応援しているので、夏祭りのシーンが好きでした。萌絵ちゃんのはしゃぎよう!

    章立てが奇数しかなく、裏で起きていた事件が気になります。偶数のストーリーは次巻?
    萌絵の親友、杜萌が登場。そんな親友がいたのね…。彼女もとてもクレバー。二人のやり取りもテンポが良く、楽しいです。

    また森博嗣さんブームが自分に到来したので、次巻もすぐに読むつもりです。

  • 面白かったーー!!これ!前のもだけど、本当に!何も!覚えてなかった!
    犯人が分かるところで、当たり前のようにびっくりしちゃった。高校生の時何読んでたんだろう…大まかなあらすじしか覚えてない…。
    これも、犀川先生と萌絵ちゃんの関係が面白くていいなあ〜!やりとりを読んでいて本当に楽しい。
    引田天功の解説も面白かった!続きを読んでいくのが楽しみ。

  • 再読。
    時間があいて、内容覚えていなかったから、新鮮な気持ちで読めた。
    遺体消失のトリックはちょっと無理があるように思えたけど、ストーリーとして楽しめた。

  • 近頃、読書に殺人事件が足りてない!と手に取った久々の森博嗣作品。S&Mシリーズは本筋の謎解きはもちろんのこと、犀川先生の哲学的な思考、先生と萌絵の噛みあわない、それでいて胸をくすぐるやり取りがクセになる。
    この作品は、先に読んだ「夏のレプリカ」と対をなすもので、レプリカが偶数章で構成されているのに対して、こちらは奇数章のみで構成される。2冊を並べて、章立ての順に両方を交互に読めば時系列になる仕掛けだけど、もちろんひとつずつ読んでも問題ない。
    この作品から「今はもうない」までの3作の連なりが大好きで、読んでない他の作品もやっぱり読まなきゃ!と残り全部を取り急ぎ購入。
    さあ、順番にまた読んでいこう~

  • S&Mシリーズ6冊目。

    今回は、マジシャンが絡む殺人事件のため、数々のイリュージョンが出てくる。

    種明かしもされているので、類似マジックを見て、確認をしてみたい衝動に駆られる(笑)
    意地悪ですね(笑)

    自分を殺して自分を大成させる。
    それは、自己との葛藤の連続だと思う。
    とてもとても苦しいのではなかっただろうか。
    犀川先生もそれを感じた?

    萌絵ちゃんと犀川先生の関係がなんとも言えない雰囲気。
    付き合い始めたばかりのカップルのようでもあり、長年連れ添った夫婦のようでもあり。
    萌絵ちゃんは気づいてる。
    一部しか知らないということに。
    それを知ることは楽しい。

    2人を微笑ましく眺めるのも、このシリーズの面白さかも。
    (女性だけの楽しみ方かもしれないけど)

  • S&Mシリーズ第7弾。第8弾と関連性があるため、本書の章番号はすべて奇数となっている。第8弾をまだ読んでないので詳しくはわからないが、偶数章で構成されていると思われる。
    第7弾は脱出マジックを得意とするマジシャンとその弟子の殺される。二人とも脱出マジック上演中に殺され、師匠に至ってはその遺体までが消えてしまうというおまけまで。これらの謎に、犀川と萌絵が挑む。もっとも犀川の方は挑むわけではなく、萌絵のおかげでいやいや巻き込まれる、といういつもの展開。本作でも、期待ほど二人の仲は進まずちょっとイラつくが、シリーズ完結までその進展を楽しみにしたい。
    あと、脱出マジックが主ネタのため、文庫版の解説を二代目引田天功が書いているが、意外に文書がうまくてびっくり。それによれば、彼女のマジックネタはほとんど夢の中で思いついているそう。
    また、デザイン改定前の文庫版表紙には棺から這い出してくるタコの足の写真が使われているが、これは棺から遺体が消えたという本編ネタへのオマージュだろうか。その発想力にもちょっと驚き。

    • kakapo1233さん
      hawaii0521さん、こんにちは。引田天功さんの解説が良かったですよね。追い込まれた中で、技術を磨いていった過程が素敵です。
      hawaii0521さん、こんにちは。引田天功さんの解説が良かったですよね。追い込まれた中で、技術を磨いていった過程が素敵です。
      2016/03/19
  • しばらくご無沙汰だったのですが、読み始めるとやはり面白く、一気に読んでしまいました。
    今までになく厚かったのですが、テンポよく話が進み最後までだれることがなかったです。

    今回は「名前」というのがキーワードで、なんだか夢枕獏の陰陽師を思い出しました。途中、犀川が萌絵に名前の話をしていたことから、やはり犀川はその時にはすでに有里匠幻の実体をわかっていたんですね。

    あ、突然ですがわかりました。
    もしかして次の「夏のレプリカ」では偶数の章ばかりなのかも。
    (友だちと連絡がつかないというのに萌絵がまったく心配していないのがすごく不思議なんですが…。事件に夢中ということ?)

    たぶんもう何度もいろいろなところで多くの人が取り上げてると思うんですが、インターネットとサイトについての萌絵の考察は本当に鋭いなあと思います。
    それらが今後どうなっていくのか、についての発言も秀逸ですし、情報量が多くなりすぎて、どれが重要な情報かわからなくなってしまうという点についての洋子との会話(「それはそれで、価値はないんだって初めから割り切れば、面白いんじゃないかしら。」「カラオケみたいなもんね」)が特にSNSでの付き合い方を如実に語っていて参考になります(笑)

    お話のテーマに沿ってだと思いますが、解説を引田天功(プリンセス天功)さんがされています。
    お話も良かったんですが、この解説も興味深くて面白かったです。
    実際にイリュージョンをされているところより、バラエティ番組に出ているところを目にする機会が多く、どのような人かもあまり詳しく知らなかったので、余計にこんな人だったのか~と思いました。
    番組では珍しい動物を飼っているとか世界中に家があって、お金持ちから油田や島をもらったことがある、なんていうトンデモエピソードを披露されていたり、世間知らずの天然な性格が印象に残っていますが、解説を読んでからはそれらは全部プリンセス天功を演じているだけなのかも?という風に思えてきました。
    まさにミスディレクションですね。

  • イリュージョンが絡まるトリック。このシーン、何だか気になると思ったものがいくつかあって、あたっていたり見当違いだったり。前半はなかなか入りこめず、読むのに苦労しました。
    研究室になじみ始めた萌絵なのかな?と思ったり、犀川先生も萌絵との関係も少し意識し始めたのかなと思う。ちゃんとしたシーンはないのだけれど。
    個人的には犀川先生がいるシーンの方が読みやすいかな。

  • S&Mシリーズを読み進めていて、常に心の片隅にこびりついたままの気掛かりが3つ。

    多重人格者、真賀田四季。犀川はその人格や思考経路、才能などかなり広い領域において、四季と同期している。ましてや犀川をつくる主たる人格は、四季のような存在でありたいと強く願っている。

    この作品では、とうとう犀川の思考の中に再び四季の存在が影を落とし始めた。その名前が彼の頭に浮かんだ時、私は「ああやはり…」と予感の的中に怯えた。ましてその名は、萌絵との二者択一を暗示するように、犀川の意識の表層に浮上してきたのだ。危うい。

    そして萌絵の成長。彼女は両親の死で閉じていた心の殻を、自らの知的好奇心から関わる事件の中、何度となく陥る自らの命の危険を繰り返すことで無自覚的に壊そうとしている。犀川もそれに気づいていて、よい傾向だと考えているが…彼女は同時に、その本来の天才的頭脳の覚醒にも向かっている。その精神は、普通の暮らしを送ってきた人間ならば重なるはずのない二つの成長を同時に迎えて崩壊せずにいられるのだろうか。

    そうして二人の行く末。

    私には「喜嶋先生」ご夫妻の、不可解な最後が重なって見えてならない。

    この物語は先へ進めば進むほど、犀川の主たる人格が、すべての崩壊へと導くのではないかという漠たる不安に胸がしめつけられる。

    私はミステリーを読んでいるつもりは、もはやない。いや、元々そうではなかったのかもしれない。

    明かされることのなかった森博嗣の恩師である喜嶋先生の不可解な行動の意味、「すべてがFに…」の真賀田四季と犀川の不吉なシンクロ。私の過去と未来にも重なる一面を持つ二つの事象を追い続けているのだと思う。

    私はシリーズを最初から順番に読み進めているから、ここから先はまだ知らないが、予感している。

    いつか再び、四季は犀川の前に現れる。その時、萌絵は犀川をこちら側に引き止める力を身につけているだろうか…。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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