新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739955

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  • 夢野久作の「ドグラ・マグラ」、小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」とともに、日本探偵小説史上の三大奇書と並び称される作品。所謂アンチミステリーとして有名。
    ストーリーのベースは氷沼家を舞台にした連続密室殺人事件。氷沼家では昭和の初めより、祖父の光太郎をはじめ、長女の朱美が広島で爆死、洞爺丸の事故で長男の紫司郎、三男の菫三郎が水死しており、当主の氷沼蒼司、弟の氷沼紅司、従弟の氷沼藍司、同居人の伯父橙二郎が残るのみである。
    この小説のワトスン役を務める光田亜利夫(アリョーシャ)は、当主の氷沼蒼司と学年は異なるが、同じ高校の出身である。亜利夫と幼馴染で駆け出しのシャンソン歌手の奈々村久生、久生の婚約者で新聞記者の牟礼田俊夫、そしてアイちゃんこと氷沼藍司が探偵役。事件が起きる度に各自へっぽこな推理を展開し、ザ・ヒヌマ・マーダーを解明するww

    正直言って難解だった。謎を明かされた後もまだピンとこない。動機も高尚すぎてようわからん。私にはまだ無理だったようだ。

    話はゲイバーから始まり、アイヌ奇譚、マージャン大会、色彩学、五色不動縁起、シャンソン、不思議の国のアリス、薔薇談義、浅草や上野界隈の地理案内、大阪弁の奔流、戦後日本の時事モザイクなどなど、仕掛けの精緻さがものすごくてついていけない。多くの作品からの流用等、読んでいないものは気付く術もなく。第三章でチラと登場する藤間百合夫は三島由紀夫氏がモデルだそうで、三島氏は当時中井英夫が遊びに出かけていた出先まで探して、わざわざ駆けつけて感想を述べたそうだ。という話をあとがきで読むまで三島由紀夫なんぞチラとも頭に浮かばなかった。情けなか。

    「…この長い、突飛な物語が、健康で正常なこの惑星の住人に迎えられぬとしても、それは仕方もないことであろう。私は、さしあたって乙女座のM87星雲――反宇宙が存在するというそのあたりへ旅立って、おずおずとこの本を差し出すほかはない。これは、いわば反地球での反人間のための物語だからである。」
    とご本人はおっしゃってます。ウルトラマンのご親戚だったのかもしれませぬ。

    小説の内容より、中井英夫の父親が植物学者で、亡くなったとき植物葬にされたという事や、母親の髪が立つと足元まであった事、その母親が自分で訳してくれた『秘密の花園』のノートを読んで育ったことなんかが印象に残ってしまった。

  • これで3大奇書制覇が完了。面白さではドグラ・マグラと双璧です。
    意外性に富みまくりの奇想天外な展開に、ゾクゾクきたシーンがいくつもあった。一度読み始めたら止められなくなるほどの傑作ですよ。

  • 米澤穂信の100冊その98:どれほどブラックジョークに彩られたミステリを書こうとしても、何か心の中でブレーキが掛かるのは、この小説の「解決」の故だと、思えてならない。とのこと。

  • やっと読んでます。
    本邦三大ミステリーの一つ。
    黒死館、ドグラよりは断然読みやすいです。
    まだまだ序。
    下巻に期待。

  • 上巻はきつかった

  • よくわからん。
    でも、耽美というか、幻想というか、奇妙な気分で嫌いではなかった。

  • 推理小説史上の大傑作、らしいです。

  • サクサク読める。

  • 一読ではちょっとわかりにくい感じ。
    昭和29年とか船の沈没事故、ゲイバー、鞭跡など魅力的なワードが並ぶが
    ちょっとくどすぎるというか…

    歌野晶午の【世界の終わり、あるいは始まり】ほどじゃないが、仮説がぐるぐるしすぎ。
    あと…ヒロインが色んな意味でウザい。


    でもそこそこは楽しめる作品と思う。

  • これも純粋な探偵小説ではないです。
    三大奇書の一冊「ドグラ・マグラ」を読了したので、ついでに他の奇書も読破するか!ってことで挑戦。

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著者プロフィール

中井英夫(なかい ひでお)
1922~1993年。小説家。また短歌雑誌の編集者として寺山修司、塚本邦雄らを見出した。代表作は日本推理小説の三大奇書の一つとも称される『虚無への供物』、ほかに『とらんぷ譚』『黒衣の短歌史』など。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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