- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062749060
感想・レビュー・書評
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62/123
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久々にハズレの本。
印象に残った話が一つもなかった。
短編一つ一つが短いからしょうがないのかなあ。
ただ著者本人が体験談したことに近いと冒頭にもあり、それを思うとちょっと楽しいかなとは思う。 -
大ベストセラーとなった「1Q84」を買いに行ったら上巻が見事売り切れだったので、その代わりと言っては何だが購入した一冊。
わりと評判の良い短編集で、「はじめに」に書かれているように、「ここに収められた文章は原則的に事実に即している」とある。
そう、つまりこの小説は、村上春樹の人生経験・体験に即した小説なのだ。
読後感じたことは、「彼の小説は優れているんだろうけども、やっぱりこの人のことを僕は好きではないし、同級生だったら絶対に友達になっていないだろうな」ということだ。
ていうか村上春樹の小説を読むと、毎回そう思う。
(ただし「風の歌を聴け」、「1973年のピンボール」、「羊をめぐる冒険」、「ダンスダンスダンス」は除いて)
だけど読んじゃう。
今回非常に心苦しいと言うか何と言うか不愉快と言うか、感じたのは、村上春樹は基本的に鼻に付く。
いつも以上に僕の中のそういった感情のそういった度合いが増しているのはなぜかと言うと、この小説が「原則的に事実に即している」と冒頭で堂々と宣言されて書かれているからだ。
今に始まったことではないが、彼の小説の主人公や登場人物の男たちはいとも簡単にSEXする。
なんなんだっていうくらい簡単に。
低俗な表現になるし、ちょっと彼の小説のニュアンスを伝えるには適した表現ではないが、「モテる」のだ。
そして彼の小説には沢山のクラシックや洋楽が出てくる。
なんだかそれらの楽曲はとてもお洒落で素敵でセンスフルな感じがする。
上手くいえないけど、僕が生理的に彼と分かり合えないのはそういった点だ。
今回最も不愉快だった箇所を抜粋しよう。
P156
「そして僕はその昔、セックスが山火事みたいに無料だった頃のことを思い出した。本当にそれは、山火事みたいに無料だったのだ。」
繰り返すが、この小説は「原則的に事実に即している」のだ。
ということは、この「僕」は村上春樹なんだろうか。
みなさんどうだろう。
彼の顔を少しだけ思い浮かべて見て欲しい。
読書しながら思わず軽い舌打ちをしそうになってしまった、あわよくばおろかな僕は、やはり自信を持って舌打ちしてやったけども。 -
宇宙研での当番が終わってロッジと管制室を往復する日々から解放された僕は、長津田から浅草まで電車に乗って本を読んだ。宇宙研での生活は冷房が効いていて快適ではあったけれど、品揃えの充実した本屋がないために、活字中毒を起こしていたみたいだ。
活字中毒が起きると、司馬遼太郎か塩野七生か、あるいは村上春樹を読みたい衝動が湧いてくる。今回はハルキに感染していた。町田の有燐堂を物色して、帰りの電車にぴったりの長さの「回転木馬のデッドヒート」を読む事にした。
長津田からの電車の中で唯一顔を上げたのは、ちょうど多摩川の河川敷を超えるときだ。車内の乗客からちいさな歓声が漏れたからだ。この日は花火大会で、氷河の上にびっしり集まったペンギンの群れみたいに、河川敷の上に人がいっぱいだった。電車からは、濃紺や薄紅色の浴衣を着た子たちが、金魚みたいな様子で下車していった。
不思議な事だが、高校時代は小説は読めなかった。読まなかったのではなくて、文字通り読めなかった。何が面白いのか、感性がわからなかった。司馬遼太郎や塩野七生のような歴史小説は、どれだけ分厚いものであろうが、食事を抜いて夜を徹しても読めたのに。
ところが 3 年ほど前のある事件がきっかけで、唐突に村上春樹の小説が読めるようになった。(かわりにクラシックが聴けなくなったのだけれど。) ある種の喪失感に同調したとも言える。ちょうど雷雨の季節で、外の激しい雨の音を木造下宿の中で聞きながら、横に本が積まれていった。
それ以来、不定期にハルキに感染することがある。ちなみに、ある時期に、ニューヨークの友人に手紙を出したら、ハルキっぽい文体だね、と言われたことがある。ハルキの登場人物の心理を高校時代の僕はわからなかっただろう。今なら、少しわかる気がする。悲しいかな年と経験が増えていくと、昔は不可解に硬かったはずのものも、バターを暖めたバターナイフで切り開くようにわかるようになることがあるのだ。
まあ、そんなわけで、回転木馬を読了。外は、雷雨のかわりに猛暑が降っている。 -
小説のようなエッセイのような不思議な作品(短編集)。村上春樹さん独特の文章はそのままに、でも、普通の小説作品とは一線を画したものであると感じました。個人的には普通の小説の方が好み。
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後味悪い。好きじゃない。