- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062751315
作品紹介・あらすじ
平安朝の時代、紫式部が著した壮大な愛の物語-世界最古の長編小説・源氏物語を高雅で流れるような現代語に訳した「瀬戸内源氏」。その全54帖より、『桐壷』から「宇治十帖」の『浮舟』まで、真髄ともいえる27帖を厳選して収録。華麗なる王朝絵巻の世界がこの一冊で堪能できる。入門書にも最適。
感想・レビュー・書評
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いわゆる古典というものにはほんと試験のために読むしか感じてきませんでしたが、大河ドラマをきっかけに、瀬戸内さんの本がすごいわかりやすいということで拝読しました。
お聞きした通り、非常にわかりやすく読みやすく次々と読めましたが、光源氏がすごいとは聞いていたものの、あわこういことなのか、と大学ドラマのストーリーの世界観を合わせて感じることができました。
今度はもう少しストーリーを解説本に挑みたいと思います詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
女がもの言えない時代に、プレイボーイの光源氏にたくさんの女が翻弄されまくって嫉妬や恨みでひどい思いをする
という印象だった源氏物語には興味なかったが、ふと読んでみると平安時代という特殊な時代背景や現代との共通点、女心の底知れなさなどがなんとなくおもしろくて完読した
恋愛事情は置いといて、
この時代の病気の原因はほとんど物の怪のしわざか、心の病が原因ということになっていて、医者ではなく加持祈祷などで治療する。
現代では考えられないことだけど、実際この時代の考え方の方が真実に近いような気もする。
全ての病は精神の病からはじまってると私は認識してるし、意外と誰かの想念や怨念のようなものが誰かを病気にさせるということもあるのではないかと思う。
人間の思いの力や言葉の力は本当にものすごい
トラウマが原因で病気になるというのも、同じことだと思う。
お前はダメだダメだと言われ続けたら病気になる
現代も、医者ではどうにもならないわけのわからない病気が増えてきている。
誰かが平安時代と今は似ていると言っていたが、その通りかもしれない。
病になったり、失恋をした女たちがみんなこぞって出家したがる現象もおもしろい。
今の人たちも、出家ではなくても、心を清めていく人が増えている気がする
平安時代の閉塞感と、今の時代の閉塞感や病的な感じもなんとなく似ている
恋愛事情よりも、背景を楽しんだ -
源氏物語全54帖のうち、『桐壷』から「宇治十帖」『浮舟』までの27帖を収録したダイジェスト版。
源氏物語は長大な作品なので、解説書を除き、1冊にまとまった現代語訳はなかなかない。全体の流れを知りたいと思っていた私には、打ってつけの本だった。
平易な言葉が使用され、説明が必要な部分は補記されているので、初心者に親切で、ストーリーを追うのにもってこいだと思う。
読み始めてまず気になったのは、ひらがなの多用。例えばp.29「なにもかもがこのうえなくととのいすぎていて」のように、仮名の羅列が続く。仮名文学である原文の雰囲気には忠実なのかもしれないが、単純に読みにくかった。
また、「葵」の章、紫の上が結婚初夜での光源氏の豹変ぶりを嘆くシーンで、唐突に一人称になるのは違和感があった。ところどころ、女君たちに感情移入した著者の台詞のように聞こえたのは気のせいだろうか。
酒井順子氏の解説では、光源氏が主役というのは表向きで、彼は女を描くための狂言回しでもあると示唆しているが、私も同じ感想を持った。
ダイジェスト版を読んで言うのはおこがましいが、光源氏の人物造形に深みがないのだ。乱暴だが、「社会的地位が高く、光り輝くように美しい、恋愛依存症の男性」と言えば説明できる。
彼が養女ですら臆面もなく恋愛対象にするのには呆れるし、「若菜(下)」で、紫の上に向って「あなたは大きな悩みも悲しみもなく幸福だ」と言い切るに至っては噴飯ものだ。そのような浅はかさを持ちながら、姿形の美しさによって、すべてが正当化されている面がある。
男性陣の方は、光源氏も頭中将も夕霧も柏木も、性格に大差なく思われた(唯一、朧月夜に献身的な愛を注ぐ朱雀帝は際立って見えた)。
その一方、女性陣の内面描写は細やかで、誰一人として似通った者はいない。皆それぞれに美しく、共感をもって、鮮やかにその姿を思い浮かべることができる。「野分」で、紫の上を春の朝の樺桜に、玉蔓を夕映えの八重山吹きに例える描写がいい。
個人的には、無邪気で気どらない夕顔が最も好きだ。彼女と共に生きられたら、もしかしたら光源氏は満たされていたのでは…。
作品の主眼は、男に翻弄されて生きるしかない女の悲しさではないだろうか。男性の浅はかさとは対照的に、女性の豊かな内面が活き活きと描写されている。 -
f.2023/10/12
p.2005/7/22 -
私は、源氏物語を読むには、瀬戸内寂聴さんの翻訳が一番好きですが、文庫本で10冊と大部です。源氏物語を始めて読む人には、この全一冊版をお勧めします。巻末の酒井順子さんの解説も、お勧めです。
https://www.honzuki.jp/book/175939/review/277391/ -
あまりにも壮大な恋愛物語で完読は無理と諦めた。(1)光源氏の華やかな前半生 (2)光源氏の寂しい後半生 (3)光源氏亡き後の世界 で構成される(そうです)。
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瀬戸内源氏のダイジェスト版です。『源氏物語』前54帖の中から、27帖を収録しています。
ダイジェスト版とはいえ、登場人物たちの心情が理解できるような現代語に仕上がっていて、作品の魅力に十分に浸ることができます。 -
原文と現代文ルピもあり、とっても読みやすかったです。
それにしても光源氏のプレイボーイ振りを寂聴さんが表現するとこうも面白くなるのね。
楽しい読書でした。 -
瀬戸内寂聴が訳した源氏物語。
これ、ピンポイントで大事なとこだけ抜粋して現代訳した内容なので、読みやすい。
それにしても瀬戸内寂聴×源氏物語というと
もう頭の中にはエロしかなくて読む前もエロだろうな!という
固定概念しかない!w
と思ってたけど、読んだら意外や意外、ほとんど夜のシーンは無し。
その代わりと言ってはなんだけども
光源氏がもー色男というか、誰でもいいんかい?!みたいな
ツッコミどころ多すぎて。
紫の上とか本当にかわいそうというか…
イケメンだからってダメなもんはダメだろ!と
紫式部よく当時書いたな!と思う。
色んな光源氏の周りの取り巻きというか
惚れっぽいだけなのかもしれんけど。
しかしながら、まぁ現代にも通じるのもあるなーとか
いつの世も男と女。変わらずですな。